この章では VLE のための MVS ホストソフトウェアの構成について次の各セクションで説明します。
次の各セクションでは、ソフトウェア構成で必要になる値について説明します。これらの値は、通常はすでにハードウェア構成で設定され、IP_and VMVC_Configuration.xls
ワークシートに記録されている値と一致する必要があります。
VLE のサブシステム名。これは VLE インストールスクリプトによって設定され、次で指定されます。
VTCS CONFIG TAPEPLEX
STORMNGR
パラメータまたは CONFIG STORMNGR NAME
パラメータ
VTCS CONFIG RTD STORMNGR
パラメータ
SMC STORMNGR NAME
パラメータ
SMC SERVER
STORMNGR
パラメータ
HSC STORCLAS
STORMNGR
パラメータ
VTSS Ethernet ポートアドレスは、CONFIG RTD IPIF
パラメータによって、VTSS と VLE 間の IP 接続を構成するために必要です。VSM5 の場合、この値は VSM5「IFF Configuration Status Screen
」で指定した値と一致している必要があります。VSM 6 の場合、これは各 VTSS で一意である必要がありますが、VSM 6 TCP/IP ポートの実際の値に対応していません。
SMC/VTCS に VMVC を定義するために必要で、定義の方法はソフトウェアのバージョンによって異なります。"VLE の VMVC を MVS ホストソフトウェアに定義し、VMVC を MVC プールに含める"を参照してください。
詳細については、"VMVC の再生ポリシーの指定"を参照してください。
STORCLAS DEDUP
パラメータは、指定した STORMNGR
で VMVC に移行された VTV データが複製解除されるかどうかを指定します。次に例を示します。
STORCLAS NAME(VLEDEDUP)STORMNGR(VLE1) DEDUP(YES)
この STORCLAS
ステートメントは、VLE1
に移行されるストレージクラス VLEDEDUP
のデータを複製解除するように指定します。詳細については、ELS 7.x のコマンド、制御ステートメント、ユーティリティーに関するリファレンスを参照してください。
複製解除は、VMVC の実効容量を増やし、VTV が VMVC に書き込まれる前に、VLE によって実行されます。そのため、Oracle では、最初に複製解除を有効にしてから、SCRPT
レポートによって結果をモニターし、必要に応じて、複製解除を微調整することをお勧めします。
ETTFB (並行テープリコール/マウント機能とも呼ばれる) では、VTV が VMVC または RTD のいずれかからリコールされている間に、ホストアプリケーションがデータを読み取ることができます。ETTFB は、VTV のリコールフェーズとマウントフェーズをオーバーラップして実行されるため、アプリケーションが迅速に VTV データを読み取ることができます。まだリコールされていない VTV の一部をアプリケーションが読み取ろうとした場合、アプリケーションの入出力要求は、必要な VTV データがリコールされるまでブロックされます。VLE の ETTFB により、最初のバイトへのアプリケーションアクセスが 1 秒足らずで行われ、VLE を VTSS の真の拡張にします。そのため、VLE ETTFB は、VTV データに連続的にアクセスするアプリケーションに適した選択です。VLE ETTFB は一般的に、HSM やイメージ管理アプリケーションなど、単一の VTV に複数のファイルをスタックするアプリケーションにはメリットがありません。これらの種類のアプリケーションでは、目的のデータは多くの場合 VTV の先頭ではなく、VTV 内のランダムな位置にあります。
ETTFB はデフォルトで無効になっています。ETTFB は CONFIG GLOBAL FASTRECL
パラメータを使用するとグローバルに有効にできます。ETTFB をグローバルに有効にした場合、CONFIG VTSS NOERLYMNT
パラメータを使用すると個々の VTSS でそれを無効にできます。
ETTFB リコールエラーが発生した VTV は、CDS の VTV レコードにエラーフラグが設定されます。これらの VTV は、あとで ETTFB 用に選択されません。エラーフラグをリセットする場合、次のいずれかを実行します。
VTV について VTVMAINT SCRATCH(ON)
コマンドを入力します。
VTV を新しい MVC コピーに移行します。
VTV をインポートします。
新しいバージョンの VTV を作成します。
VTV をスクラッチします。
VSM システムに VLE を追加するには、次の各セクションで説明するタスクが必要です。
この章で参照されているコマンドおよび制御ステートメントの詳細については、ELS 7.x のコマンド、制御ステートメント、ユーティリティーに関するリファレンスを参照してください。
ELS 7.2 では、基本レベルでサポートが含まれます。ELS 7.0 および 7.1 では、最新の SMP/E
で HOLDDATA
および表 2-1 で説明されている PTF を受け取り、GROUPEXTEND
を使用して SMP/E APPLY
を実行します。
VLE では、ホストへの TCP/IP 接続を行うために、SMC に OMVS RACF セキュリティーエントリが含まれている必要があります。
OMVS とは、RACF ユーザー ID に関連付けられるセグメントのことです。SMC によって起動されるタスクは、RACF STARTED
クラス定義内または ICHRIN03 LNKLST
モジュールで OMVS に関連付けられたユーザー ID を持つ必要があります。SMC タスクに関連付けられるユーザー ID には、次のように RACF 内で OMVS セグメントが定義されている必要があります。
ADDUSER userid DFLTGRP(groupname)OWNER(owner)OMVS(UID(uidnumber))
または、ユーザー ID はすでに存在しているが、その ID に OMVS セグメントが含まれていない場合は次のとおりです。
ALTUSER userid OMVS(UID(uidnumber))
SMC は VTCS と VLE との間のすべての通信を管理するので、SMC に VLE サーバーへの接続方法を知らせる必要があります。そうするには、VLE システムごとに SMC STORMNGR
ステートメントを 1 つずつ追加するとともに、VLE 用の TCP/IP 制御パスを定義する SMC SERVER
ステートメントを 1 つ以上追加します。7.0 以上の場合は、例 2-1 に示すように、SMC CMDS
ファイル内でこれを行うことをお勧めします。
例 2-1 VLE 用の SMC コマンド
TAPEPLEX NAME(TMVSA)LOCSUB(SLS0) SERVER NAME(ALTSERV) TAPEPLEX(TMVSA) + HOSTNAME(MVSX) PORT(8888) STORMNGR NAME(VLE1) SERVER NAME(VLE1)+ STORMNGR(VLE1)IP(192.168.1.10)PORT(60000)
例 2-1 には次のものが含まれます。
TAPEPLEX
ステートメント。同じ MVS ホスト (SLS0
) 上で HSC/VTCS を実行する単一の TapePlex TMVSA
を定義しています。
SERVER
ステートメント。別のホストで実行されるバックアップ用 HSC/VTCS サブシステム (ALTSERV
) を定義しています。
VLE (VLE1
) を定義する STORMNGR
コマンド。
VLE への UUI 通信パスを定義する 2 つ目の SERVER
コマンド。ここでは:
サーバー名は VLE1
です
STORMNGR
パラメータの値は VLE1
です
IP
パラメータの値は、UUI 通信用の VLE ポートの IP アドレス 192.168.1.10 です
PORT
パラメータの値は 60000 です。VLE との SMC 通信用の SERVER PORT
パラメータでは、この値が常に使用されます。
VTCS CONFIG
デッキを更新し、VLE および VTSS システムから VLE への接続を定義する必要があります。VTCS は次のように VLE 1.4 を制御できます。
VTCS 7.0 以上の場合、CONFIG TAPEPLEX
ステートメントは、VTCS の実行元であり、例 2-2 に示すように、CONFIG TAPEPLEX STORMNGR
パラメータに定義された VLE のリストを提供する TapePlex を定義します。
例 2-2 VTCS 7.0 CONFIG VLE
TAPEPLEX THISPLEX=TMVSA STORMNGR=VLE1 VTSS NAME=VTSS1 LOW=70 HIGH=80 MAXMIG=8 MINMIG=4 RETAIN=5 RTDPATH NAME=VL1RTD1 STORMNGR=VLE1 IPIF=0A:0 RTDPATH NAME=VL1RTD2 STORMNGR=VLE1 IPIF=0A:1 RTDPATH NAME=VL1RTD3 STORMNGR=VLE1 IPIF=0I:0 RTDPATH NAME=VL1RTD4 STORMNGR=VLE1 IPIF=0I:1 RTDPATH NAME=VL1RTD5 STORMNGR=VLE1 IPIF=1A:0 RTDPATH NAME=VL1RTD6 STORMNGR=VLE1 IPIF=1A:1 RTDPATH NAME=VL1RTD7 STORMNGR=VLE1 IPIF=1I:0 RTDPATH NAME=VL1RTD8 STORMNGR=VLE1 IPIF=1I:1 VTD LOW=6900 HIGH=69FF
例 2-2 では次に注意してください。
CONFIG
TAPEPLEX
ステートメント。これは VTCS の実行元の TapePlex として TMVSA
と、接続されているすべての VLE (この例では、VLE1
という名前の単一の VLE) の名前を定義します。
CONFIG RTDPATH
ステートメント。これは VTSS から VLE へのパスごとに単一の VLE RTD を定義します。この例では、VTSS1
の CONFIG RTDPATH
ステートメントは次を指定しています。
RTDPATH
の名前。
定義された VLE (STORMNGR=VLE1
) への接続。
ci:p 形式での VTSS と VLE ポート間の各接続の IPIF
値。ここでは:
c は 0 または 1 です。
i は A または I です。
P は 0 - 3 です。
注: VSM5 の場合、この値は VSM5「IFF Configuration Status Screen」で指定した値と一致している必要があります。VSM 6 の場合、これは各 VTSS で一意である必要がありますが、VSM 6 TCP/IP ポートの実際の値に対応していません。 |
VTCS 7.1 以上のシステムでは当然、 に示すように、VTCS 7.0 と同様に VLE 1.4 を制御できます。ただし、このモードでは VLE RTD ターゲットの数は、VTSS からのパスの数によって制限されます。さらに、VLE RTD は固定の VTSS パスに割り当てられます。VTSS から VLE へのパスは VTSS と VLE 間でデータ転送が行われているかどうかに関係なく、VTCS によって常に予約されています。
ただし、VTCS 7.1 (表 2-1 に説明されている PTF を含む) 以上では、VTSS から VLE に存在するパスより多くの VLE RTD ターゲットを持つ VLE を定義できます。つまり:
VTSS から VLE へのパスは、VTSS と VLE 間のデータ転送が必要でないかぎり、予約されません。
多くの VLE RTD 操作を同時に行うことができます。たとえば、VMVC の監査では、VTSS と VLE 間のデータ転送は必要ありません。
例 2-3 に示すように、VLE は、CONFIG TAPEPLEX STORMNGR
パラメータではなく、CONFIG STORMNGR
ステートメントによって定義されます。CONFIG STORMNGR ステートメントは VTCS の接続先の VLE を指定します。さらに、VLE ごとに CONFIG STORMNGR VLEDEV
パラメータで、VLE がエミュレートする RTD デバイスの数と名前を定義します。デバイス数を多く定義する (VLE あたり最大 96 デバイス) ほど、VTCS が VLE にスケジュールできる同時アクティビティーのレベルが高くなります。
例 2-3 VTCS 7.1 CONFIG VLE
TAPEPLEX THISPLEX=TMVSC STORMNGR NAME=VLE1 VLEDEV(S000-S05F) STORMNGR NAME=VLE2 VLEDEV(S000-S05F) VTSS NAME=VTSS1 LOW=70 HIGH=80 MAXMIG=8 MINMIG=4 RETAIN=5 RTDPATH NAME=VL1RTD1 STORMNGR=VLE1 IPIF=0A:0 RTDPATH NAME=VL1RTD2 STORMNGR=VLE1 IPIF=0A:1 RTDPATH NAME=VL1RTD3 STORMNGR=VLE1 IPIF=0I:0 RTDPATH NAME=VL1RTD4 STORMNGR=VLE1 IPIF=0I:1 RTDPATH NAME=VL1RTD5 STORMNGR=VLE2 IPIF=1A:0 RTDPATH NAME=VL1RTD6 STORMNGR=VLE2 IPIF=1A:1 RTDPATH NAME=VL1RTD7 STORMNGR=VLE2 IPIF=1I:0 RTDPATH NAME=VL1RTD8 STORMNGR=VLE2 IPIF=1I:1 VTD LOW=6900 HIGH=69FF
例 2-3 では、次に注意してください。
CONFIG
TAPEPLEX
ステートメントは単に、VTCS の実行元である TapePlex として TMVSC
を定義するようになりました。接続されている VLE を定義しません。
CONFIG STORMNGR
ステートメント。このシステムに構成されている VLE (この例ではVLE1
と VLE2
) を定義します。これらのステートメントは、VLEDEV
パラメータによって、VLE デバイスの数も指定します。この例では、各 VLE に最大 96 のエミュレートされたデバイスがあり、これにより、VTCS は VLE ごとに最高 96 個のプロセスをスケジュールできます。VLE デバイスアドレスは Sxxx の形式です (ここで xxx は 16 進値です)。たとえば、 S000 - S05F は 96 個のエミュレートされたデバイスを表します。
VTSS1 用の CONFIG RTDPATH
ステートメント。次のことを指定しています。
RTDPATH
の名前
定義された VLE への接続 (STORMNGR=VLE1、STORMNGR=VLE2
)
ci:p 形式での VTSS と VLE ポート間の各接続の IPIF
値。ここでは:
c は 0 または 1 です。
i は A または I です。
P は 0 - 3 です。
注: VSM5 の場合、この値は VSM5「IFF Configuration Status Screen 」で指定した値と一致している必要があります。VSM 6 の場合、これは各 VTSS で一意である必要がありますが、VSM 6 TCP/IP ポートの実際の値に対応していません。 |
VLE の MVC メディア (VMVC) では断片化が発生するため、実際の MVC とまったく同様に再生する必要があります。ただし、VMVC の再生処理では、標準の再生に比べてずっと少ないリソースしか使用されません。VMVC の再生しきい値は、CONFIG RECLAIM VLTHRES
パラメータ経由で指定します。VLTHRES
に小さい値を設定するほど、VTCS が VMVC に対して再生を実行する頻度が多くなり、VMVS の実効容量が増えます (断片化が少なくなる)。
VMVC volser は、MVS ホストソフトウェアと VLE の両方に定義する必要があります。VLE への VMVC の定義は、VLE 構成の一部として行います。次の各セクションでは、VMVC を MVS ホストソフトウェアに定義する方法について説明します。
VMVC プールを定義する HSC POOLPARM/VOLPARM ステートメントをコーディングします。
たとえば、VLE1 と VLE2 に 2 つの別のプールを定義するには:
POOLPARM NAME(LEPOOL1)TYPE(MVC) VOLPARM VOLSER(VL0000-VL880) POOLPARM NAME(LEPOOL2)TYPE(MVC) VOLPARM VOLSER(VL2000-VL2880)
SET VOLPARM を実行して POOLPARM/VOLPARM ステートメントを検証します。
SET VOLPARM APPLY(NO)
APPLY(NO)
は、ステートメントをロードせずに検証します。結果が適切であれば、手順 3 に進みます。それ以外の場合は、ボリューム定義を修正してからこの手順を再実行し、定義が有効になった場合は手順 3 に進みます。
SET VOLPARM を実行して POOLPARM/VOLPARM ステートメントをロードします。
SET VOLPARM APPLY(YES)
次の各セクションでは、VLE システムにデータが送信されるように MVS ホストソフトウェアのポリシーを更新する方法について説明します。
マネージメントクラスは、VTCS が VTV を管理する方法を指定します。HSC MGMTclas
制御ステートメントはマネージメントクラスとその属性を定義します。たとえば、MGMTclas
ステートメントの DELSCR
パラメータで、VTSS からスクラッチされた VTV を VTCS が削除するかどうかを指定します。さらにマネージメントクラスは、移行された VTV の格納場所を指定するストレージクラスを指すこともできます。HSC STORclas
制御ステートメントはストレージクラスとその属性を定義します。STORCLAS STORMNGR
キーワードによって、VLE システムを移行された VTV の格納先として指定します。次に例を示します。
STOR NAME(VLOCAL) STORMNGR(VLESERV1) DEDUP(YES) STOR NAME(VREMOTE) STORMNGR(VLESERV2)DEDUP(YES)
上のステートメントは、VLE1
上に「ローカル」のストレージクラス (VLOCAL
) を、VLE2
上に「リモート」のストレージクラス (VREMOTE
) を定義しています。これらの STORCLAS
ステートメントが指定しているように、ストレージクラス VLOCLAL
または VREMOTE
への移行はすべて、指定された VLE に転送される必要があります。両方のストレージクラスに複製解除が指定されていることにも注意してください。
必要であれば、これより制限を緩めることもできます。たとえば、VMVC と MVC の両方を含む MVCPOOL を定義すれば、VLE への移行を行うが、VLE がいっぱいになるか使用不可能になった場合にはそのまま続けて実際のテープメディア (MVC) への移行を行うような移行ポリシーを設定できます。たとえば、MVC プール DR
を次のように定義します。
POOLPARM NAME(DR)TYPE(MVC) VOLPARM VOLSER(VL0000-VL0100) VOLPARM VOLSER(ACS000-ACS099)
したがって、プール DR
には、MVC と VMVC の両方が含まれています。プール DR を指定するストレージクラスは、まず VMVC への移行を行い、VMVC が使用不可能な場合にのみ MVC を使用します。次に例を示します。
STOR NAME(DRCLASS) MVCPOOL(DR)DEDUP(YES)
この方法は、ACS と VLE の両方が VTSS システムに接続された構成を使用する場合に役立ちます。
次に、VLE への移行を指定するには、定義した VLE ストレージクラスを MGMTCLAS MIGPOL
パラメータ経由で指定します。次に例を示します。
MGMT NAME(M1) MIGPOL(VLOCAL,VREMOTE) MGMT NAME(M2) MIGPOL(DRCLASS)
マネージメントクラス M1
は、VTV コピーの 1 つを「リモート」の VLE に、もう 1 つのコピーを「ローカル」の VLE に移行します。マネージメントクラス M2
は、単一の VTV コピーを、MVC と VMVC の両方を含む「混在」MVC プールを指しているストレージクラスに移行します。
注: VLE への移行を指示することに加え、次の点も考慮してください。 |
MGMTclas ステートメントの ARCHAge
と ARCHPol
パラメータを使って、マネージメントクラスの VTV にアーカイブポリシーを設定できます。VTV の古さが ARCHAge
値を超えている場合、VTV は ARCHPol
パラメータで指定されているストレージクラス別のアーカイブに適していることになります。アーカイブポリシーを使用すれば、古くなった VTV を VMVC から MVC にアーカイブ (移動) できます。詳細については、『HSC および VTCS の管理』を参照してください。
STORSEL
ステートメントを使用すると、VTCS に VLE メディアからのリコールを優先させることができます。詳細については、『HSC および VTCS の管理』を参照してください。
ELS 7.0 以上で実行している場合は、HSC MIGRSEL
および MIGRVTV
を使って VLE への移行を微調整できます。これらのステートメントを使用すると、あるマネージメントクラスでのデータの移行を、あるストレージクラスで開始したあとに別のストレージクラスで開始できます。この方法は通常、クリティカルな DR コピーができるだけ先に行われることを保証するために使用されます。詳細については、『HSC および VTCS の構成』を参照してください。
VLE 1.1 以上のシステムで複数の VLE が相互に、および VTSS に接続されている場合、デフォルトで VTCS は VLE と VLE 間の接続を優先して複数の VTV コピーを作成します。この動作は、「FROMLST パラメータの使用」に説明するとおりに制御できます。
FROMLST を指定しない場合、デフォルトの動作は次のようになります。
クラスタ VTSS で、コピーがクラスタ内の複数の VTSS に存在する場合、VTV は使用可能なすべての VTSS をソースとすることができます。これは、VTSS および接続された ACS が互いに地理的に離れている場合は最適でない可能性があります。
VLE と VLE との接続で、VTV のコピーが VTSS と一方の VLE に存在し、それを接続された VLE に移行する場合、デフォルトで VLE と VLE との接続が使用されます。同様に、これは接続された VLE が互いに地理的に離れている場合は最適でない可能性があります。たとえば ローカル VLE (LOCVLE) とリモート VLE (REMVLE) が VTSSA に接続された DR のシナリオなどです。2 つの VTV コピーを移行したいと考えます。
まず、VTSSA から LOCVLE へローカルコピーします
2 番目に、LOCVLE から REMVLE へ、VLE と VLE 間のコピーを使用してコピーします。VLE と VLE 間のレプリケーションを行います (VTSS と VLE 間に対比して)
目的のとおりに VTV コピーを行うには、次を実行します。
VTSSLST ステートメントを作成し、VTSSA のみを含む VTSS リストを作成します。
VTSSLST NAME(VSM2VLE) VTSS(VTSSA)
VTV コピーを REMVLE に送信する STORCLAS ステートメントを作成します。
STORCLAS NAME(FORREMOT) STORMNGR(REMVLE)
REMVLE への移行コピーを遅らせる MIGRVTV ステートメントを作成します。
MIGRVTV STOR(FORREMOT) IMMDELAY(360)
移行の遅延は 360 分で、ローカルサイトへの移行を最初に実行してから、VLE と VLE 間のコピーによってリモートサイトへの移行を実行できます。360 分は例の値にすぎず、最大 9998 の値を指定できます (自動移行を使用してのみ VTV が移行されるため、9999 は指定しないでください)。
VTV コピーを LOCVLE に送信する STORCLAS ステートメントを作成します。
STORCLAS NAME(FORLOCAL) STORMNGR(LOCVLE) FROMLST(VSM2VLE)
注: FROMLST パラメータは、ローカル VTV コピーのコピー元を VTSSA にするように指定することに注意してください。 |
最後に、1 つはローカルサイトへ、もう 1 つはリモートサイトへの 2 つの VTV コピーを指定する MGMTCLAS ステートメントを作成します。
MGMTCLAS NAME(DRVLE) MIGPOL(FORLOCAL,FORREMOT)
VLE にデータをルーティングするには、まず VLE マネージメントクラスを指定した SMC POLICY コマンドを作成します。次に、目的のワークロードを SMC VLE ポリシーにルーティングする SMC TAPEREQ ステートメントを作成します。次に例を示します。
POLICY NAME(VLEWORK) MEDIA(VIRTUAL) MGMT(VLECLASS)
TAPEREQ DSN(VLETEST.**) POLICY(VLEMIGR)
上の例では、VLETEST を HLQ として持つすべてのテープデータセットに VLEWORK ポリシーを割り当てています。