ここでは、文字型アプリケーションオブジェクトを設定する方法について説明します。また、端末エミュレータのマッピングについても説明します。
このセクションの内容は、次のとおりです。
VT420、Wyse 60、または SCO コンソールの文字型アプリケーションをユーザーに提供する場合は、文字型アプリケーションオブジェクトを使用します。
Administration Console では、文字型アプリケーションオブジェクトの設定が次のタブに分けられています。
「一般」タブ – これらの設定は、ユーザーのリンクを作成するときに使用される名前とアイコンを制御します。
「起動」タブ – これらの設定は、アプリケーションを起動する方法と、アプリケーションセッションを中断および再開できるかどうかを制御します。
「プレゼンテーション」タブ – これらの設定は、アプリケーションをユーザーに表示する方法を制御します
「パフォーマンス」タブ – これらの設定は、アプリケーションのパフォーマンスを最適化するために使用されます
「クライアントデバイス」タブ – これらの設定は、ユーザーのクライアントデバイスがアプリケーションと対話する方法を制御します
次の表に、文字型アプリケーションオブジェクトを設定するためにもっとも一般的に使用される設定と、その使用方法を示します。
属性 | 説明 |
---|---|
名前 | ユーザーに表示される名前。 |
アイコン | ユーザーに表示されるアイコン。 |
アプリケーションコマンド | ユーザーがリンクをクリックしたときに起動されるアプリケーションへのフルパス。 アプリケーションのインストール先は、すべてのアプリケーションサーバー上で同じ場所でなければいけません。 VMS (Virtual Memory System) 文字型アプリケーションを設定する方法の詳細については、「VMS アプリケーションの構成」も参照してください。 |
コマンドの引数 | アプリケーションの起動時に使用するすべてのコマンド行引数。 |
接続方法 | SGD がアプリケーションサーバーに接続するために使用するメカニズム (ssh や telnet など)。 |
セッション数 | ユーザーが実行できるアプリケーションのインスタンスの数。デフォルト値は 3 です。 |
アプリケーションの再開機能 | アプリケーションを再開可能にする期間を指定します。次のオプションが使用できます。
|
ウィンドウを閉じるアクション | ユーザーがウィンドウマネージャーデコレーションを使って、メインアプリケーションウィンドウを閉じた場合の処理。この属性を適用できるのは、独立ウィンドウを使用するアプリケーションに限られます。 |
ウィンドウタイプ | アプリケーションをユーザーに表示する方法。 「独立ウィンドウ」が選択されている場合は、「ウィンドウのサイズ」の「高さ」と「幅」を指定するか、または「クライアントの最大サイズ」チェックボックスを選択する必要があります。 端末ウィンドウに表示するカラム数と行数を指定します。 |
エミュレーションタイプ | エミュレートする文字型アプリケーションのタイプ。SGD は、VT420、Wyse 60、または SCO コンソールの文字型アプリケーションをサポートしています。 |
端末タイプ | アプリケーションの端末タイプ。デフォルトの端末タイプを受け入れるか、または「カスタム」フィールドにユーザー独自のタイプを入力します。 |
アプリケーションの負荷分散 | SGD がアプリケーションの実行にもっとも適したアプリケーションサーバーを選択する方法。 詳細については、「アプリケーションの負荷分散」を参照してください。 |
「ホストしているアプリケーションサーバー」タブ | 「編集可能な割り当て」テーブルを使用して、アプリケーションを実行できるアプリケーションサーバーまたはアプリケーションサーバーのグループを選択します。 アプリケーションのインストール先は、すべてのアプリケーションサーバー上で同じ場所でなければいけません。 |
「割り当て済みのユーザープロファイル」タブ | 「編集可能な割り当て」テーブルを使用して、アプリケーションを表示できるユーザーを選択します。ディレクトリオブジェクトまたはディレクトリ (軽量) オブジェクトを選択すると、多数のユーザーに一度にアプリケーションを提供できます。また、LDAP ディレクトリを使用してアプリケーションを割り当てることもできます。「LDAP 割り当て」を参照してください。 |
ユーロ文字を使用および表示するには、端末セッションが 8 ビット文字を表示できる必要があります。これを保証するには、コマンド stty -istrip を入力します。また、クライアントデバイスも、ユーロ文字を入力できるように設定されている必要があります。
コマンド行では、tarantella object new_charapp コマンドを使用して文字型アプリケーションオブジェクトを作成します。また、tarantella object script コマンドを使用して、複数の文字型アプリケーションオブジェクトを一度に作成することもできます。「バッチスクリプトを使用した SGD 組織階層の移植」を参照してください。
文字型アプリケーションオブジェクトは、o=applications
組織階層内でのみ作成できます。
SGD 端末エミュレータは、ユーザーのクライアントキーボード上のキーを実際の端末にあるキーに関連付けます。端末エミュレータのタイプ (SCO コンソール、Wyse 60、VT420) ごとに、デフォルトのキーボードマッピングがあります。
特定のアプリケーションのデフォルトのマッピングを変更したり、追加のマッピングを定義したりするために、オブジェクトの「キーボードマップ」属性を使用して独自のキーボードマップファイルを指定できます。
エミュレータは、/opt/tarantella/etc/data/keymaps
ディレクトリ内の次のサンプルキーマップファイルと同等の組み込みのキーボードマップを備えています。
ansikey.txt
– SCO コンソールエミュレータ用
vt420key.txt
– VT420 エミュレータ用
w60key.txt
– Wyse 60 エミュレータ用
これらのキーボードマップを変更しても、SGD によって使用されるデフォルトのマッピングは変更されません。これを行うには、文字型アプリケーションオブジェクトの --keymap
属性を使用してキーボードマップを指定するしか方法がありません。
ユーザー独自のキーボードマップを作成するには、サンプルのキーボードマップファイルのコピーを作成して、アプリケーションに合わせて変更します。キーボードマップは任意のテキストエディタで変更できます。
マッピングの形式は次のとおりです。
ClientKeys
=Translation
ここで、ClientKeys
はユーザーがクライアントデバイスで押す 1 つまたは複数のキーであり、Translation
はアプリケーションサーバー上のアプリケーションに送信される 1 つまたは複数のキーストロークです。次に例を示します。
PageDown=Next
上記のマッピングでは、ユーザーが Page Down キーを押すと、エミュレータがキーストローク Next をアプリケーションサーバーに送ります。
特定のキーにユーザー定義のマッピングがある場合、デフォルト設定は無効にされます。ユーザー定義のマッピングが存在しない場合は、デフォルトのマッピングがアプリケーションサーバーに送信されます。
文字列を二重引用符 (") で囲むことにより、キーを 1 回押すだけで完全な文字列を送信できます。次に例を示します。
F1="hello world"
文字列をマッピングする際に印字されない文字を入力するには、次の表に示すコードを使用します。
コード | 意味 |
---|---|
\r | キャリッジリターン |
\n | ラインフィード |
\" | 二重引用符 |
\e | エスケープ |
\t | タブ |
\ |
8 進数値 |
\x |
16 進数値 |
マッピングで修飾キー (Shift、Control、Alt など) を指定するには、キーをプラス記号 (+) で区切ります。次に例を示します。
Shift+NUMLOCK=INSLINE Shift+F1="\0330a" Alt+Shift+Control+DELETE="\003[33~"
文字型アプリケーションの独自のキーボードマップを指定するには、次のコマンドを使用します。
$ tarantella object edit --nameobj
--keymapkeymap
ここで、obj
は文字型アプリケーションオブジェクトであり、keymap
はキーボードマップファイルのパス名です。
フルパス名または相対パス名を使用できます。相対パス名は、/opt/tarantella/etc/data/keymaps
ディレクトリに相対的です。
たとえば、次の例では、/opt/tarantella/etc/data/keymaps
に格納されている指定されたキーボードマップを使用します。
$ tarantella object edit --nameobj
--keymapmykeymap.txt
SGD キーボードマップで有効なキー名のリストを次に示します。「クライアントデバイスのキー」のリストは、ユーザーのクライアントデバイスのキーを表すキー名を示しています。これらのキーの名前は、「アプリケーションサーバーのキーストローク」に示すエミュレータキーの名前にマッピングでき、そのキーストロークが最終的にアプリケーションサーバー上のアプリケーションに送信されます。
これらのキー名間のデフォルトのマッピングは、SGD に付属のキーボードマップに示されています。キーボードマップにキーがない場合、そのキーはマッピングされていません。
SGD は、ユーザーのクライアントデバイスの次のキーをサポートしています。
CURSOR_DOWN
CURSOR_LEFT
CURSOR_RIGHT
CURSOR_UP
DELETE
END
F1 から F12
HOME
INSERT
KP0 から KP9
KPADD
KPDELETE
KPDIVIDE
KPENTER
KPMULTIPLY
KPSUBSTRACT
NUMLOCK
PAGEDOWN
PAGEUP
SCO コンソールアプリケーションでは、次のアプリケーションサーバーのキーストロークがサポートされています。
CURSOR_DOWN
CURSOR_LEFT
CURSOR_RIGHT
CURSOR_UP
DELETE
END
F1 から F12
HOME
INSERT
KP0 から KP9
KPADD
KPDIVIDE
KPDOT
KPMULTIPLY
KPSUBSTRACT
NUMLOCK
PAGEDOWN
PAGEUP
VT420 アプリケーションでは、次のアプリケーションサーバーのキーストロークがサポートされています。
CURSOR_DOWN
CURSOR_LEFT
CURSOR_RIGHT
CURSOR_UP
F1 から F20
FIND
INSERT
KP0 から KP9
KPCOMMA
KPDOT
KPENTER
KPMINUS
NEXT
PF1 から PF4
PREV
REMOVE
SELECT
Wyse 60 アプリケーションでは、次のアプリケーションサーバーのキーストロークがサポートされています。
CLRLINE
CLRSCR
CURSOR_DOWN
CURSOR_LEFT
CURSOR_RIGHT
CURSOR_UP
DELCHAR
DELETE
DELLINE
F1 から F16
HOME
INSCHAR
INSERT
INSLINE
KP0 から KP9
KPCOMMA
KPDELETE
KPENTER
KPMINUS
NEXT
PREV
REPLACE
SEND
SHIFTHOME
端末エミュレータの属性マップを使用すると、太字や下線などの文字属性が SGD 端末エミュレータに表示される方法を変更できます。たとえば、通常は太字の下線付きで表示されるテキストを SGD 端末エミュレータに赤で表示されるように指定できますが、赤でかつ太字の下線付きで表示されるようには指定できません。
SGD には、デフォルトの属性マップ /opt/tarantella/etc/data/attrmap.txt
が用意されています。これは、文字属性を論理色 Color_15
(白) にマッピングします。また、ユーザー独自の属性マップを作成することもできます。
スーパーユーザー (root) として、操作の対象とする /opt/tarantella/etc/data/attrmap.txt
のコピーを作成します。
コピーした新しいファイルを編集し、文字属性を選択した色にマッピングします。
アプリケーションオブジェクトの「属性マップ」属性にこのファイルの名前を使用します。
SGD 属性マップを使用すると、次の属性をマップできます。
Normal
Bold
Dim
Blinking
Underline
Inverse
属性の組み合わせをマップするには、属性をプラス記号 + で区切ります (Bold+Underline
など)。
端末エミュレータで色を表示するために、SGD は論理色を RGB 値にマップします。たとえば、論理色 Color_9
は RGB 値 128 0 0
(赤) に対応します。
属性マップで属性を色にマッピングする場合、論理色名を指定します。次に例を示します。
太字で下線付きのテキストを赤色のテキストに変更:
Bold+Underline=Color_9
反転して点滅しているテキストを薄赤色のテキストに変更:
Inverse+Blinking=Color_1
論理色と RGB 値 のマッピングの一覧表については、attrmap.txt
のコメントを参照してください。
端末エミュレータで使うカラーマップを編集することにより、デフォルトの色マッピングを変更できます。「端末エミュレータのカラーマップ」を参照してください。
Wyse 60 端末には白黒のみが表示されます。ただし、SGD Wyse 60 端末エミュレータを使用すると、Wyse 60 アプリケーションで色を表示できます。そのためには、属性マップを使うことにより、Wyse 60 アプリケーションの文字属性を色にマッピングします。
SCO コンソール (ANSI) と VT420 端末は、16 色をサポートしています。SGD 端末エミュレータは、カラーマップを使用して、これらの色のアプリケーションセッションでの表示方法を決定します。
Wyse 60 端末は白黒です。切り換えることができるのは、カラーマップを使う背景の色と文字の色 (白と黒) に限られます。しかし、太字や下線などの文字属性を端末エミュレータでサポートする 16 色の論理色のいずれかにマッピングできます。「端末エミュレータの属性マップ」を参照してください。
カラーマップは、Color_0
から Color_15
までの論理色を、SGD がこれらの色を表すために使用する色と RGB 値にマップします。デフォルトのマッピングは次のとおりです。
論理色 | 端末の色 | SGD によって使用される RGB 値 |
---|---|---|
| 黒 | 0 0 0 |
| 明るい赤 | 255 0 0 |
| 明るい緑 | 0 255 0 |
| 黄色 | 255 255 0 |
| 明るい青 | 0 0 255 |
| 明るいマゼンタ | 255 0 255 |
| 明るいシアン | 0 255 255 |
| 明るい白 | 255 255 255 |
| グレー | 128 128 128 |
| 赤 | 128 0 0 |
| 緑 | 0 128 0 |
| 茶色 | 128 128 0 |
| 青 | 0 0 128 |
| マゼンタ | 128 0 128 |
| シアン | 0 128 128 |
| 白 | 192 192 192 |
特定のアプリケーションのデフォルト値を変更するには、独自のカラーマップを作成し、それをアプリケーションオブジェクトの「カラーマップ」属性で指定します。
テキスト形式のデフォルトのカラーマップ /opt/tarantella/etc/data/colormap.txt
が提供されています。
赤色をより明るくするには、Color_9
の RGB 設定を 192 0 0
に変更します。
明るい緑で表示される項目を黄色で表示されるように変更するには、Color_2
の RGB 設定を黄色の RGB 値である 255 255 0
に変更します。
また、黒色と白色とで、文字色を背景色とを交換することもよくあります。この場合には、文字の色と背景の色そのものを変更するのではなく、黒 (Color_0
) と白 (Color_15
) の表示方法を変更します。したがって、アプリケーションの背景が白で、それを黒の背景に変更する場合は、Color_15
の値を黒の RGB 値である 0 0 0
に変更します。