4.3. RANDR X の拡張機能の使用

SGD は、RANDR X の拡張機能をサポートしています。RANDR のフルネームは、X Resize, Rotate, and Reflect Extension (X サイズ変更、回転、および反射拡張機能) です。

SGD は RANDR を使用して、次に示すような、アプリケーションに対する拡張された表示サポートを提供します。

SGD は RANDR のすべての機能を使用しているわけではありません。SGD 経由で表示されるアプリケーションでは、反射、回転、拡大縮小、およびパンニングはサポートされていません。

RANDR のサポートは、次のアプリケーションオブジェクトに対して構成できます。

4.3.1. RANDR のクライアント要件

RANDR の表示機能を使用するには、クライアントデバイスが次のように RANDR をサポートしている必要があります。

  • UNIX および Linux プラットフォームのクライアントデバイス。サポートされる表示機能は、クライアントデバイス上でどのバージョンの RANDR が使用できるかによって異なります。クライアントデバイス上で必要なバージョンの RANDR が使用できない場合、SGD は XINERAMA を使用します (使用可能な場合)。

  • Mac OS X プラットフォームのクライアントデバイス。このプラットフォームでは、RANDR はサポートされていません。XINERAMA インタフェースが使用されます。

  • Windows プラットフォームのクライアントデバイス。クライアントプラットフォームは、RANDR の表示機能をサポートする Microsoft Windows のバージョンである必要があります。

サポートされるクライアントプラットフォームについての詳細は、『オラクル Secure Global Desktop のプラットフォームサポートおよびリリースノート (リリース 4.7 用)』を参照してください。

4.3.2. RANDR の構成

アプリケーションで複数のモニターおよび動的なセッションサイズ変更機能を使用できるようにするには、次のように RANDR を有効にする必要があります。

  1. RANDR 拡張機能の使用をアレイでグローバルに有効にします。

    また、必要に応じて、組織階層内の特定のユーザーの RANDR 拡張機能へのアクセスを構成することもできます。

  2. アプリケーションオブジェクトの RANDR 拡張機能を有効にします。

4.3.2.1. SGD アレイでの RANDR 拡張機能の有効化

デフォルトでは、RANDR 拡張機能の使用はアレイで無効になっています。

  1. RANDR 拡張機能の使用をアレイで有効にします。

    Administration Console で、「グローバル設定」 → 「クライアントデバイス」タブに移動し、「RandR 拡張機能」チェックボックスを選択します。

    また、次のコマンドを使用して RANDR をアレイで有効にすることもできます。

    $ tarantella config edit --array-xrandr-enabled 1
  2. (オプション) 個々のユーザーの RANDR 拡張機能の使用を構成します。

    Administration Console で、ユーザープロファイル、組織単位、または組織オブジェクトの「クライアントデバイス」タブに移動します。

    オブジェクトの「RandR 拡張機能」(--orgxrandr) 属性を構成します。

4.3.2.2. アプリケーションの RANDR 拡張機能の有効化

個々のアプリケーションオブジェクトの RANDR 拡張機能の使用を有効にすることができます。

Administration Console で、アプリケーションオブジェクトの「プレゼンテーション」タブに移動し、「ウィンドウのサイズ: RandR 拡張機能」チェックボックスを選択します。この属性は、X、Windows、5250、および 3270 アプリケーションで使用できます。

また、次のコマンドを使用してアプリケーションオブジェクトの RANDR を有効にすることもできます。

$ tarantella object edit --name obj --xrandr 1

4.3.3. RANDR によるユーザーエクスペリエンス

このセクションでは、SGD でサポートされているさまざまな「ウィンドウタイプ」構成で RANDR を使用している場合のユーザーエクスペリエンスについて説明します。

注記

Windows アプリケーションの場合は、Microsoft Windows Server 2008 R2 および Microsoft Windows 7 アプリケーションサーバーを使用しているときに最適なユーザーエクスペリエンスが得られます。

Windows アプリケーションの場合、ディスプレイの動的な変更は、新しいアプリケーションセッションでのみ有効になります。ディスプレイの変更を表示するには、ユーザーが Windows アプリケーションを閉じて再起動する必要があります。

キオスク

  • 大きなキオスクモードのアプリケーションセッションをそれより小さなディスプレイで再開すると、そのセッションのサイズが自動的に変更されます。スクロールバーは表示されません。

  • ユーザーはプルダウンヘッダーを使用して、アプリケーションウィンドウを最小化したり、閉じたりすることができます。

    このヘッダーには、「統合ウィンドウ」表示に切り替えるためのアイコンが含まれています。キオスクモードを使用して再表示するには、ウィンドウ装飾または Ctrl+Alt+Break のキーボードショートカットを使用します。

  • 複数のモニターが使用されている場合は、次の内容が適用されます。

    • アプリケーションウィンドウは、使用可能なモニターに自動的に広がります。

    • アプリケーションウィンドウは、クライアントデバイス上のモニター構成に従って表示されます。クライアントのモニター構成が変更されると、そのセッションのサイズが自動的に変更されます。

    • 直線状でないモニター配置がサポートされます。

クライアントウィンドウ管理

  • 大きな「クライアントウィンドウ管理」(CWM) アプリケーションセッションをそれより小さなディスプレイで再開すると、そのセッションのサイズが自動的に変更されます。

  • 異なるディスプレイでセッションを再開すると、ウィンドウの配置が自動的に再構成されます。

  • 複数のモニターが使用されている場合は、次の内容が適用されます。

    • アプリケーションウィンドウを表示するために、すべてのクライアントモニターを使用できます。アプリケーションウィンドウは、デフォルトではプライマリモニターに表示されます。セッションサイズによっては、ほかのモニターも使用される可能性があります。

    • アプリケーションウィンドウは、クライアントデバイス上のモニター構成に従って表示されます。クライアントのモニター構成が変更されると、そのセッションのサイズが自動的に変更されます。

    • 直線状でないモニター配置がサポートされます。

独立ウィンドウ

  • 大きな「独立ウィンドウ」アプリケーションセッションをそれより小さなディスプレイで再開すると、そのセッションのサイズが自動的に変更されます。

  • アプリケーションウィンドウのサイズは、マウスでドラッグすることによって大きくできます。アプリケーションウィンドウは、もっとも近い使用可能なウィンドウサイズに調整されます。サイズの調整は、サイズ変更時に Shift キーを押すことによってオーバーライドできます。

  • 複数のモニターが使用されている場合、アプリケーションウィンドウは、デフォルトではプライマリモニターに表示されます。アプリケーションウィンドウを別のモニターに移動できます。

シームレスウィンドウ

  • 大きな「シームレスウィンドウ」アプリケーションセッションをそれより小さなディスプレイで再開すると、そのアプリケーションウィンドウのサイズが自動的に変更されます。ただし、セッションのサイズは変更されません。ディスプレイの動的な変更は、新しいアプリケーションセッションでのみ有効になります。

  • 複数のモニターが使用されている場合は、次の内容が適用されます。

    • アプリケーションウィンドウを表示するために、すべてのクライアントモニターを使用できます。アプリケーションウィンドウは、デフォルトではプライマリモニターに表示されます。セッションサイズによっては、ほかのモニターも使用される可能性があります。

    • アプリケーションウィンドウは、クライアントデバイス上のモニター構成に従って表示されます。

    • 直線状でないモニター配置がサポートされます。

4.3.4. RANDR の使用に代わる手段

RANDR を使用していないアプリケーションセッションでは、複数のモニターおよびセッションサイズ変更機能を次のように使用できます。

  • キオスクモードのアプリケーションの場合は、<KioskArea> のクライアントプロファイルの設定を使用して、複数のモニターディスプレイの設定を構成できます。「RANDR を使用しない場合の複数のモニターディスプレイの構成」を参照してください。

  • CWM アプリケーションの場合は、「Windows サイズ: 可変ルートウィンドウサイズ」(--variablerootsize) 属性を使用して、ルートウィンドウのサイズをユーザーの画面に合わせて変更できます。

  • キオスクモードのアプリケーションの場合は、「ウィンドウのサイズ: ウィンドウに合わせて拡大縮小する」(--scalable) 属性を使用して、キオスクウィンドウをユーザーの画面に合わせて拡大縮小できます。「キオスクアプリケーションがフルスクリーン表示されない場合」を参照してください。