5.4. コピー&ペースト

このセクションでは、SGD 経由で表示されるアプリケーションのコピー&ペーストに関する一般的な問題についても説明します。

このセクションの内容は、次のとおりです。

5.4.1. コピー&ペーストの使用

ユーザーは、SGD 経由で表示されるアプリケーション間でテキストをコピー&ペーストできます。ユーザーはまた、クライアントデバイス上で実行されているアプリケーションと SGD 経由で表示されるアプリケーションの間でテキストをコピー&ペーストすることもできます。SGD は、Unicode 文字のコピー&ペーストをサポートしています。

Windows アプリケーションX アプリケーションの場合は、コピー元のアプリケーションの通常の方法を使用してコピーしてから、コピー先のアプリケーションの通常の方法を使用してペーストします。

文字型アプリケーションの場合は、マウスの右ボタンでクリックしてから、必要に応じて「コピー」または「ペースト」を選択します。文字型アプリケーションでテキストのカラムを選択するには、Shift キーを押しながらテキストを選択します。

ユーザーが (たとえば、セキュリティーレベルが異なるために) 許可されていないコピー&ペースト操作を試みた場合は、コピーされたデータの代わりに オラクル Secure Global Desktop Software: Copied data not available to this application というメッセージがペーストされます。

SGD 管理者は、Windows アプリケーションおよび X アプリケーションでのコピー&ペースト操作を完全に制御できます。「アプリケーションでのコピー&ペーストの制御」を参照してください。

5.4.2. アプリケーションでのコピー&ペーストの制御

Administration Console では、次を実行することによって、SGD 経由で表示される Windows アプリケーションおよび X アプリケーションでのコピー&ペースト操作を制御できます。

  • SGD アレイでのグローバルなコピー&ペースト設定の構成

  • 特定のユーザーのコピー&ペーストを設定する

  • 特定のアプリケーションのコピー&ペーストを設定する

5.4.2.1. SGD アレイでのグローバルなコピー&ペースト設定の構成

「グローバル設定」 → 「クライアントデバイス」タブで、SGD での全体としてのコピー&ペーストは有効に設定されています。

「クライアントの Clipboard Security Level」属性を使用すると、SGD Client にセキュリティーレベルを割り当てることができます。SGD Client のセキュリティーレベルがソースアプリケーションと同等以上の場合にのみ、データを SGD からクライアントデバイス上で実行されているアプリケーションにコピーできます。これにより、SGD 管理者は SGD の外部のデータフローをセキュリティー保護できます。デフォルトの「クライアントの Clipboard Security Level」は 3 です。

5.4.2.2. 特定のユーザーのコピー&ペーストを設定する

組織オブジェクト、組織単位オブジェクト、またはユーザープロファイルオブジェクトの「クライアントデバイス」タブの「コピー&ペーストの使用を許可するかを制御できます。

この属性の設定は組織階層内の親オブジェクトから継承できるため、SGD 管理者は、各ユーザープロファイルオブジェクトを編集しなくても多数のユーザーのコピー&ペーストは有効に設定されています。

5.4.2.3. 特定のアプリケーションのコピー&ペーストを設定する

Windows アプリケーションおよび X アプリケーションオブジェクトの「クライアントデバイス」タブの「コピー&ペーストを有効/無効にできます。

アプリケーションには、クリップボードセキュリティーレベルも割り当てることができます。ユーザーは、SGD 経由で表示されるアプリケーションのセキュリティーレベルがソースアプリケーションと同等以上の場合にのみ、そのアプリケーションにデータをコピー&SGD 管理者は、特定のアプリケーションを経由して使用可能なデータをセキュリティー保護できます。デフォルトのセキュリティーレベルは 3 です。

セキュリティーレベルを設定する場合、数が大きくなるについてセキュリティーレベルも高くなります。

注記

SGD 経由で表示される文字型アプリケーションは、クライアント上で実行されているアプリケーションと同じとして扱われます。これは、文字型アプリケーションでは、コピー&ペースト操作にローカルクライアントクリップボードが使用されるためです。

5.4.3. クリップボードセキュリティーレベルの使用例

この例では、コピー&ペーストが組織内のすべてのユーザーに対して有効になっています。「クライアントの Clipboard Security Level」属性は、デフォルト設定の 3 に設定されています。次の表は、SGD 経由で表示されるアプリケーションのセキュリティーレベルを示しています。

アプリケーション

アプリケーションのクリップボードセキュリティーレベル

XFinance

3

XClaim

4

Write-o-Win

4

Slide-o-Win

2

SGD ユーザーがこれらのアプリケーションを実行する場合は、次のコピー&ペースト操作が許可されます。

アプリケーション

SGD ユーザーがデータをペーストできる元のアプリケーション

XFinance

  • Slide-o-Win。このアプリケーションは、下位のセキュリティーレベルを持ちます。

  • クライアントデバイス上で実行中のアプリケーション。クライアントデバイスは、同等のセキュリティーレベルを持ちます。

XClaim

  • XFinance および Slide-o-Win。これらのアプリケーションは、下位のセキュリティーレベルを持ちます。

  • クライアントデバイス上で実行中のアプリケーション。クライアントデバイスは、下位のセキュリティーレベルを持ちます。

  • Write-o-Win。このアプリケーションは、同等のセキュリティーレベルを持ちます。

Write-o-Win

  • XFinance および Slide-o-Win。これらのアプリケーションは、下位のセキュリティーレベルを持ちます。

  • クライアントデバイス上で実行中のアプリケーション。クライアントデバイスは、下位のセキュリティーレベルを持ちます。

  • XClaim。このアプリケーションは、同等のセキュリティーレベルを持ちます。

Slide-o-Win

  • コピー&ペーストは許可されません。すべてのアプリケーションおよびクライアントデバイスが高位のセキュリティーレベルを持ちます。

5.4.4. コピー&ペーストの設定に関するヒント

SGD オブジェクトのコピー&ペースト設定を構成する必要のある SGD 管理者のためのいくつかのヒントを次に示します。

  • クライアントデバイス上で実行されているアプリケーションから SGD 経由で表示されるすべてのアプリケーションへのコピー&ペーストを無効にするには、「クライアントの Clipboard Security Level」属性の値を、組織階層内のすべてのアプリケーションのもっとも大きい「アプリケーションの Clipboard Security Level」属性値より大きくする必要があります。

  • SGD 経由で表示されるすべてのアプリケーションからクライアントデバイス上で実行されているアプリケーションへのコピー&ペーストを無効にするには、「クライアントの Clipboard Security Level」属性の値を、組織階層内のすべてのアプリケーションのもっとも小さい「アプリケーションの Clipboard Security Level」属性値より小さくする必要があります。

  • クライアントデバイス間のすべてのコピー&ペースト操作を無効にするには、Administration Console の「グローバル設定」 → 「クライアントデバイス」タブで、「コピー&ペースト」チェックボックスの選択を解除します。

  • SGD 経由でアクセスされる個々の Windows アプリケーションまたは X アプリケーションのすべてのコピー&ペースト操作を無効にするには、Administration Console のそのアプリケーションの「クライアントデバイス」タブで、「コピー&ペースト」チェックボックスの選択を解除します。

  • コピー&ペースト設定の管理が簡略化されます。

  • ASCII 以外のテキストをコピー&ペーストしたときに最適な結果を得るには、UTF-8 ロケールで SGD を実行してください。これを行うことができず、SGD ホストに UTF-8 ロケールがインストールされている場合は、TTA_TEXTCONV_LANG 環境変数を設定することによって UTF-8 ロケールを指定できます。次に例を示します。

    TTA_TEXTCONVLANG=en_US.UTF8; export TTA_TEXTCONVLANG

    この環境変数を有効にするには、SGD を再起動する必要があります。

5.4.5. コピー&ペーストのトラブルシューティング

Windows アプリケーションおよび X アプリケーションでは、ユーザーは次の条件でのみテキストをコピー&ペーストできます。

  • Administration Console で、「グローバル設定」 → 「クライアントデバイス」タブに移動し、SGD での全体としてのコピー&ペーストは、デフォルトで有効に設定されています。

  • コピー&ペーストは、デフォルトで有効に設定されています。

  • SGD 経由で表示される別の Windows アプリケーションまたは X アプリケーションにデータをペーストできるようにするには、ソースアプリケーションの「アプリケーションの Clipboard Security Level」をターゲットアプリケーション以下にする必要があります。ソースアプリケーションとは、データのコピー元のアプリケーションです。ターゲットアプリケーションとは、データのペースト先のアプリケーションです。デフォルトのセキュリティーレベルは 3 です。

  • クライアントデバイス上で実行されているアプリケーションにデータをペーストできるようにするには、ソースアプリケーションの「アプリケーションの Clipboard Security Level」を「クライアントの Clipboard Security Level」以下にする必要があります。「クライアントの Clipboard Security Level」は、Administration Console の「グローバル設定」 → 「クライアントデバイス」タブに表示されます。デフォルトの「クライアントの Clipboard Security Level」は 3 です。

これらの条件が満たされない場合は、コピーされたデータの代わりに オラクル Secure Global Desktop Software: Copied data not available to this application というメッセージがペーストされます。

X アプリケーションで Unicode テキストをコピー&ペーストするには、その X アプリケーションが Unicode をサポートしている必要があります。たとえば、共通デスクトップ環境 (CDE) や Motif アプリケーションは Unicode をサポートしていません。