負荷分散を使用すると、シングルポイント障害を発生させることなく、信頼性に優れた、高性能なサービスを受けることができるように、サポート対象のユーザー数を増やすことができます。
SGD では、次の負荷分散メカニズムがサポートされています。
ユーザーセッションの負荷分散 – ユーザーがアレイ内のどの SGD サーバーにログインするかを決定します
詳細については、「ユーザーセッションの負荷分散」を参照してください。
アプリケーションセッションの負荷分散 – アレイ内のどの SGD サーバーがユーザーのアプリケーションセッションを管理するかを決定します
詳細については、「アプリケーションセッションの負荷分散」を参照してください。
アプリケーションの負荷分散 – どのアプリケーションサーバーがユーザーのアプリケーションを実行するかを決定します
詳細については、「アプリケーションの負荷分散」を参照してください。
負荷分散グループ – 高速ネットワークでリンクされた SGD サーバーとアプリケーションサーバーを選択することによって、最適なユーザー操作性の実現を試みます
詳細については、「負荷分散グループ」を参照してください。
ユーザーセッションの負荷分散は、ログイン先の SGD サーバーの選択に関連しています。ユーザーは、アレイ内の任意の SGD サーバーにログインして、同じアプリケーションにアクセスできます。
ユーザーセッションの負荷分散は、SGD に最初に接続する前に行われます。多数のメカニズムを使って、適切な SGD サーバーを選択できます。例:
SGD Gateway
ラウンドロビンまたはダイナミック DNS
外部ハードウェアロードバランサ
SGD 負荷分散 JSP (JavaServer Pages) テクノロジページ
部門別に異なる SGD サーバーを割り当て、各部門に 1 つの URL を提供する
ユーザーセッションの負荷分散におけるもっとも重要な要素は、セッションの持続性です。ユーザーセッションは、ユーザーが SGD サーバーにログインした時点で始まり、そのサーバーによって所有されます。ユーザーが SGD とやりとりすると、さらに要求が HTTP 接続を介して SGD サーバーに送信されます。ネットワーク接続の負荷分散が行われている場合、HTTP 要求はアレイ内の任意の SGD サーバーに転送される可能性があります。HTTP 要求がそのユーザーセッションを所有していない SGD サーバーに送信されると、次のことが発生する可能性があります。
ユーザーセッションがその SGD サーバーに移り、実行中のすべてのアプリケーションのウィンドウが消える。これは、セッションの乗っ取りと呼ばれることがあります。
ユーザーのセッションの可視状態が正しく表示されなくなる。
ユーザーセッションの負荷分散を正常に行うには、HTTP 要求が常に正しい SGD サーバーに送信されるように持続する必要があります。
デフォルトの SGD インストールで HTTP 接続を持続させるためには、追加構成を行う必要があります。SGD では、次のメカニズムがサポートされています。
SGD Gateway。SGD Gateway には、SGD への HTTP 接続の負荷分散を管理する Apache Web サーバーが含まれています。
負荷分散-JSP テクノロジページ。負荷分散 JSP テクノロジページには Cookie を設定するJavaScript テクノロジスクリプトが含まれており、その Cookie が、HTTP 要求を正しいサーバーにリダイレクトするために使用されます。
Gateway は負荷分散ユーザーセッションの最善の対処方法を提供します。負荷分散 JSP テクノロジページは、SGD の今後のリリースでは使用できない可能性があります。
SGD Gateway をインストール、構成、および使用する方法の手順については、『オラクル Secure Global Desktop Gateway 管理者ガイド (リリース 4.7 用)』を参照してください。
負荷分散 JSP テクノロジページは、ブラウザが次のように構成されている場合にのみ使用できます。
Cookies が有効になっている
JavaScript ソフトウェアが有効になっている
Java テクノロジが有効になっている
負荷分散-JSP テクノロジページは、次の方法で使用できます。
ラウンドロビンメカニズムを使用して、JSP テクノロジページが SGD サーバーをリストから選択する。
JSP テクノロジページをこの方法で使用するには、アレイの 1 つのメンバーで負荷分散 JSP テクノロジページを構成します。「負荷分散 JSP テクノロジページを使用してユーザーセッションを分散する」を参照してください。
JSP テクノロジページが SGD サーバーを選択するための外部メカニズムをサポートする。
JSP テクノロジページをこの方法で使用するには、アレイのすべてのメンバーで負荷分散 JSP テクノロジページを構成します。「外部メカニズムを使用してユーザーセッションを分散する」を参照してください。
負荷分散 JSP テクノロジページを使用してユーザーセッションを分散する場合は、アレイメンバーの 1 つが負荷分散サーバーとして機能します。通常、これはアレイ内のプライマリ SGD サーバーです。負荷分散サーバーで、ユーザーセッションをホストできる SGD サーバーのリストを使用して負荷分散 JSP テクノロジページを構成します。ユーザーが負荷分散サーバーに接続すると、負荷分散 JSP テクノロジページはラウンドロビンメカニズムを使用してリスト内の SGD サーバーにユーザーをリダイレクトします。
ユーザーは、負荷分散 JSP テクノロジページに接続する URL を使って負荷分散サーバーに接続する必要があります。通常、これは https://
になります (ここで、server.example.com
/sgd
は SGD サーバーの名前)。
server.example.com
HTTPS (HTTP over Secure Socket Layer) 接続を使用するには、SGD を次のように構成します。
負荷分散サーバーに対して、HTTP 接続を使用します。
負荷分散 JSP テクノロジページで SGD サーバーの HTTPS URL を構成します。
負荷分散サーバーとして機能するアレイメンバーを 1 つ選択します。次の手順では、アレイ内のプライマリ SGD サーバーを使用しています。
アレイ内のプライマリ SGD サーバーにスーパーユーザー (root) としてログインします。
負荷分散 JSP テクノロジページを /sgd
Web アプリケーションディレクトリにコピーします。
次に例を示します。
# cd /opt/tarantella/webserver/tomcat/tomcat-version
/webapps/sgd/
# cp -rp admin/loaddist/ swcd/
ファイルをコピーする際は、-p
オプションを使用して、ファイルのアクセス権を保持してください。
負荷分散 JSP テクノロジページを編集します。
負荷分散-JSP テクノロジページは、swcd.jsp
です。
負荷分散の対象となる SGD サーバーの外部 DNS 名を追加します。
詳細については、「外部 DNS 名の設定」を参照してください。
hosts = new Array
セクションを修正します。例:
hosts[0]="http://www1.example.com" hosts[1]="http://www2.example.com" ... hosts[4]="http://www5.example.com"
セキュア接続を使用している場合は、URL が https://
で始まっていることを確認してください。
プライマリサーバーでユーザーセッションをホストする場合にのみ、プライマリ SGD サーバーをリストに含めてください。
LBHOST
変数を設定します。
次のように、最初のコメント記号 (//
) を削除します。
var LBHOST = null // Not in Load Balancer/Round Robin DNS mode
変更を保存します。
負荷分散 JSP テクノロジページを使用するよう SGD エントリポイント JSP テクノロジページを構成します。
エントリポイント JSP テクノロジページは、index.jsp
です。
最初の行を次のように変更します。
<%@ include file="swcd/swcd.jsp" %>
変更を保存します。
ハードウェアロードバランサやラウンドロビン DNS などの外部メカニズムを使用してユーザーセッションの負荷分散を行う場合は、次の要素が重要になります。
外部 DNS 名。アレイ内の SGD サーバーに、外部 DNS 名で直接アクセスできる必要があります。外部ロードバランサがファイアウォール、スイッチ、またはルーターとして機能している場合は、外部 DNS 名によるアクセスを許可するよう設定する必要があります。「外部 DNS 名の設定」を参照してください。
AIP (Adaptive Internet Protocol) 接続。 AIP 接続はアプリケーションセッションをホストしている SGD サーバーに転送される必要があります。外部ロードバランサは、アレイ内のほかの SGD サーバーに接続を分散してはいけません。
AIP は HTTP ではありません。SGD セキュリティーサービスを有効にすると、AIP 接続は SSL (Secure Sockets Layer) を使用して暗号化されます。外部ロードバランサは、AIP 要求の SSL を復号化する場合、残りの内容を処理することはできません。
URL リライティング。外部ロードバランサは、URL を書き換えるよう構成できます。SGD サーバーの外部 DNS 名と一致しないホスト名を含んでいる URL を使用して SGD に接続する場合、その影響は不明です。
複数の HTTPS 接続の仮想ホスティング。外部ロードバランサおよび SGD Web サーバーに対して HTTPS 接続を使用するには、2 つの証明書が必要です。1 つはロードバランサの DNS 名の証明書、もう 1 つは SGD サーバーの外部 DNS 名の証明書です。これを行うには、仮想ホスティングを使用して、同じホスト上に 2 つの Web サーバーをそれぞれ異なる DNS 名で作成します。ただし、これらの Web サーバーでは、異なる TCP ポートまたは異なる IP アドレスを使用する必要があります。
外部メカニズムを使用してユーザーセッションを分散するには、アレイ内のすべての SGD サーバーで負荷分散 JSP テクノロジページの構成を行います。
ハードウェアロードバランサを使用している場合は、SGD サーバーに外部 DNS 名でアクセスすることを許可するようにロードバランサを構成する必要があります。通常、ロードバランサは SSL アクセラレータでもあります。この構成では、SGD への接続は次のように処理されます。
ユーザーは、ロードバランサの DNS 名に HTTPS 接続を確立します。
ロードバランサは、SSL 要求を復号化し、選択された SGD サーバーの外部 DNS 名に HTTP 要求として転送します。
SGD サーバーの負荷分散 JSP テクノロジページは、負荷分散 Cookie を調べ、必要に応じて HTTP 要求を正しい SGD サーバーにリダイレクトします。
ユーザーは、ロードバランサの DNS 名を含んでいる URL を使用して SGD に接続する必要があります (たとえば、https://
)。
loadbalancer
.example.com/sgd
SGD セキュリティーサービスが有効になっており、かつ外部ロードバランサが SSL 接続を復号化して、それを暗号化されていない接続として転送するよう構成されている場合は、セキュアなポートでプレーンテキスト接続を受け入れるようアレイ内の各 SGD サーバーを構成する必要があります。詳細については、「外部 SSL アクセラレータの使用」を参照してください。
ロードバランサと SGD サーバーの間で HTTPS 接続を使用するには、負荷分散 JSP テクノロジページ内の URL が https://
で始まっていることを確認してください。その後、次のいずれかの構成を行います。
負荷分散された HTTPS 接続を終了してから、SGD サーバーの外部 DNS 名に対する HTTPS 接続として接続を再生成するよう、外部ロードバランサを構成します。
SGD ホストに追加の IP アドレスを割り当て、このアドレスを使用するようホストを構成します。追加の IP アドレスで待機するよう SGD Web サーバーを構成し、ロードバランサの SSL 証明書をこのアドレスに関連付けます。SGD サーバーの外部 DNS 名をサーバーの元の IP アドレスに関連付けるよう SGD Web サーバーを構成します。追加の IP アドレスを使用するようロードバランサを設定します。
SGD をファイアウォール越えモードで使用すると、外部ロードバランサの使用時に必要となる構成を簡素化することにも役立ちます。ファイアウォール越えでは、SGD への HTTP 接続と AIP 接続がすべて単一のポート (通常は TCP ポート 443) 経由で確立されます。「ファイアウォール越え」を参照してください。
My Desktop の機能の詳細については、「My Desktop の使用」を参照してください。
アレイ内のすべての SGD サーバーを同じ方法で構成する必要があります。
SGD ホスト上でスーパーユーザー (root) としてログインします。
負荷分散 JSP テクノロジページファイルを /sgd/mydesktop
Web アプリケーションディレクトリにコピーします。
次に例を示します。
# cd /opt/tarantella/webserver/tomcat/tomcat-version
/webapps/sgd/
# cp -rp admin/loaddist/ mydesktop/swcd/
ファイルをコピーする際は、-p
オプションを使用して、ファイルのアクセス権を保持してください。
負荷分散 JSP テクノロジページを使用するように My Desktop を設定します。
My Desktop のエントリポイント JSP テクノロジページの名前を変更します。
エントリポイント JSP テクノロジページは、mydesktop/index.jsp
です。
次に例を示します。
# mv mydesktop/index.jsp mydesktop/mydesktop.jsp
My Desktop の新しいエントリポイント JSP テクノロジページを作成します。
次の内容を含む新しい JSP テクノロジページファイル mydesktop/index.jsp
を作成します。
<%@ include file="/mydesktop/swcd/swcd.jsp" %>
My Desktop の JSP テクノロジページファイルのファイルアクセス権を確認します。
# chmod root:ttaserv mydesktop/index.jsp mydesktop/mydesktop.jsp
負荷分散 JSP テクノロジページを編集します。
負荷分散 JSP テクノロジページは、mydesktop/swcd/swcd.jsp
です。
負荷分散の対象となる SGD サーバーの外部 DNS 名を追加し、LBHOST
変数を設定します。
負荷分散 JSP テクノロジページを使用してユーザーセッションを分散する場合は、「負荷分散-JSP テクノロジページを設定してユーザーセッションを分散する方法」の手順 3 の指示に従ってください。
外部メカニズムを使用してユーザーセッションを分散する場合は、「外部負荷分散メカニズムのために負荷分散-JSP テクノロジページを設定する方法」の手順 3 の指示に従ってください。
TARGET
変数を設定します。
ユーザーを Webtop にではなく My Desktop に送るように、TARGET
変数を変更する必要があります。
var TARGET="/sgd/mydesktop/mydesktop.jsp"
変更を保存します。
次に示す手順は、外部負荷分散メカニズムを使用している場合に SGD サーバーの負荷分散 JSP テクノロジページを構成する手順例です。
アレイ内のすべての SGD サーバーを同じ方法で構成する必要があります。
SGD ホスト上でスーパーユーザー (root) としてログインします。
負荷分散 JSP テクノロジページファイルを /sgd
Web アプリケーションディレクトリにコピーします。
次に例を示します。
# cd /opt/tarantella/webserver/tomcat/tomcat-version
/webapps/sgd/
# cp -rp admin/loaddist/ swcd/
ファイルをコピーする際は、-p
オプションを使用して、ファイルのアクセス権を保持してください。
負荷分散 JSP テクノロジページを編集します。
負荷分散-JSP テクノロジページは、swcd.jsp
です。
負荷分散の対象となる SGD サーバーの外部 DNS 名を追加します。
詳細については、「外部 DNS 名の設定」を参照してください。
hosts = new Array
セクションを修正します。例:
hosts[0]="http://www1.example.com" hosts[1]="http://www2.example.com" ... hosts[4]="http://www5.example.com"
LBHOST
変数を設定します。
最初のコメント記号 (//
) を削除し、SGD サーバーの外部 DNS 名を入力します。例:
var LBHOST="http://www1.example.com" // LB mode
変更を保存します。
負荷分散 JSP テクノロジページを使用するよう SGD エントリポイント JSP テクノロジページを構成します。
エントリポイント JSP テクノロジページは、index.jsp
です。
最初の行を次のように変更します。
<%@ include file="swcd/swcd.jsp" %>
変更を保存します
ここでは、負荷分散-JSP テクノロジページで使用できる追加の設定について説明します。
負荷分散-JSP テクノロジページは、ユーザーを標準 Webtop に接続します。カスタマイズされた Webtop など、別の Webtop を使用するには、次の行を修正します。
var TARGET="/sgd/standard.jsp"
負荷分散 JSP テクノロジページは、/sgd/swcd/
ディレクトリにある画像を使用して英語のスプラッシュ画面を表示します。ローカライズされたスプラッシュ画面を表示するには、スプラッシュ画面画像のデフォルトの格納場所を次の行で変更します。
// ** Location of gif files <% // If the gifs are located in the locale dependent resource use the Path below String path = getContextPath(request) + "/resources/images/splash/locale=" + getBestSupportedLocale(request) + "/"; // Default location //String path="swcd/"; %>
次に、負荷分散 JSP テクノロジページで使用されるその他の変数を示します。
SGDLDCOOKIE
負荷分散のために使用される Cookie の名前。
デフォルトは SGD_SWCDCOOKIE
です。
TIMEOUT
負荷分散 JSP テクノロジページが、選択されたホストの SGD Web サーバーから応答を待つ時間 (ミリ秒単位)。このタイムアウト時間が経過すると、リスト内の次のホストが試されます。
デフォルトは 10000 ミリ秒です。
TESTGIF
負荷分散 JSP テクノロジページが、選択されたホストの SGD Web サーバーから取得を試みるファイル。これは、ホストが使用可能かどうかを調べるために使用されます。
デフォルトは /sgd/resources/images/webtop/secure.gif
です。
アプリケーションセッションの負荷分散は、アプリケーションセッションを管理する SGD サーバーの選択に関連しています。
アプリケーションセッションは、セッションを開始したユーザーのユーザー識別情報、プロトコルエンジンプロセスといった、セッションに関する一連のデータで構成されます。プロトコルエンジンプロセスは SGD サーバー上で実行され、次のタスクを実行します。
アプリケーションサーバー上のアプリケーションへの接続を維持します。
アプリケーションの表示データを保存します。
AIP 接続経由でクライアントデバイスとのデータの送受信を行います。
プロトコルエンジンプロセスは、アレイ内の任意の SGD サーバー上で実行することができます。これはユーザーセッションをホストしているサーバー、つまりユーザーがログインした SGD サーバーと同じである必要はありません。
SGD は、アレイ内のすべての SGD サーバーにわたってアプリケーションセッションの負荷を分散できます。サーバーが多ければ多いほど、各メンバーの負荷は低くなります。Administration Console では、アプリケーションセッションの負荷分散を「グローバル設定」 → 「パフォーマンス」タブで構成します。アプリケーションセッションをホストする SGD サーバーを選択するための方法として、次のいずれかを使用するように SGD を構成できます。
ユーザーセッションをホストしているサーバー – ユーザーセッションをホストしている SGD サーバー
最小の CPU 使用量 – CPU (中央演算処理装置) のアイドル時間がもっとも長い SGD サーバー
最少のアプリケーションセッション – 最少のアプリケーションセッションをホストしている SGD サーバー
デフォルトでは、SGD はユーザーセッションをホストしているサーバーを使用してアプリケーションセッションの負荷分散を行います。
アプリケーションの負荷分散は、次の処理に関連しています。
ユーザーが最良のパフォーマンスを得られるように、アプリケーションを実行するアプリケーションサーバーを選択する
各アプリケーションサーバーのワークロードが相対的に似たものになるように、アプリケーションの起動を分散させる
SGD 管理者は、アプリケーションを実行できるアプリケーションサーバーを定義し、使用する負荷分散方式を選択することによって、アプリケーションの負荷分散を管理します。
アプリケーションオブジェクトにアプリケーションサーバーオブジェクトを割り当てることによって、そのアプリケーションを実行できるアプリケーションサーバーを定義します。
Administration Console では、この操作を、アプリケーションの「ホストしているアプリケーションサーバー」タブで実行します。あるいは、アプリケーションをアプリケーションサーバーに割り当てることもできます。この操作は、アプリケーションサーバーオブジェクトの「ホストされているアプリケーション」タブで実行します。
また、アプリケーションのグループをアプリケーションサーバーに割り当てたり、アプリケーションサーバーのグループをアプリケーションに割り当てたりすることもできます。グループは、アプリケーションサーバーのプール (アプリケーションサーバーファームとも呼ばれる) や、アプリケーションのプールを作成する場合に役立ちます。
Administration Console では、アプリケーションサーバーオブジェクトの「一般」タブで「アプリケーション起動」チェックボックスを選択および選択解除することもできます。これによって、アプリケーションサーバーが、アプリケーション実行可能またはアプリケーション実行不可能としてマークされます。これは、たとえば、保守作業中にサーバーを一時的に使用不可にする場合に有効です。
SGD がユーザーにとって最適なアプリケーションサーバーを決定する際に使用する負荷分散方式を選択します。
Administration Console では、デフォルトの負荷分散方式を「グローバル設定」 → 「パフォーマンス」タブで構成します。個々のアプリケーションに対しては、アプリケーションオブジェクトの「パフォーマンス」タブで異なる方式を選択することによって、グローバル負荷分散方式を上書きすることができます。
SGD では、デフォルトで、各サーバーが SGD を介してホストしているアプリケーションセッションの数をカウントしてから、セッション数がもっとも少ないサーバーを選択することによってアプリケーションの負荷分散を行う方法が使用されます。また、SGD では、ユーザーがアプリケーションを起動したときのアプリケーションサーバーの正確な負荷に基づいて、アプリケーションの負荷分散を行う方法も提供されます。これは Advanced Load Management と呼ばれます。Advanced Load Management を使用するには、すべてのアプリケーションサーバーに SGD 拡張モジュールをインストールする必要があります。
負荷分散方式およびほかの要因が負荷分散にどのように影響するかについての詳細は、「アプリケーションの負荷分散の仕組み」 を参照してください。
SGD は、負荷分散グループを使用して、SGD サーバーとアプリケーションサーバー間で高速リンクを使って接続を確立します。
SGD のプロトコルエンジンは、アプリケーションサーバーと SGD サーバー間で使用されるネイティブプロトコル (X11 など) を、SGD サーバーとクライアントデバイス間で使用される AIP に変換します。AIP は低帯域幅用に最適化されていますが、ネイティブプロトコルは最適化されていません。
ネットワークに低速リンクが含まれている場合は、負荷分散グループを使用して、アプリケーションのパフォーマンスを向上させることができます。負荷分散グループは、SGD サーバーとアプリケーションサーバーをまとめてグループ化するために使用します。ユーザーがアプリケーションを実行すると、SGD は、そのアプリケーションサーバーと同じグループにある SGD サーバー上でプロトコルエンジンプロセスを稼働させることを試みます。この処理は、グループ内のすべてのアプリケーションサーバーと SGD サーバーが高速リンクで接続されている場合に最適に機能します。
Administration Console では、負荷分散グループを、SGD サーバーまたはアプリケーションサーバーの「パフォーマンス」タブで定義します。負荷分散グループ名は単に、文字列または文字列のコンマ区切りリストです。この名前は、世界の地名や建物のコードなど、どのようなものでもかまいません。
アプリケーションの負荷分散は、特定のアプリケーションのパフォーマンスを最適化するためのアプリケーションサーバーを選択することが目的です。SGD では、アプリケーションを起動するときに、アプリケーションオブジェクトの「ホストしているアプリケーションサーバー」タブに一覧表示されるアプリケーションサーバーを使用して、アプリケーションサーバーの候補リストが作成されます。その後、SGD は、どの候補がユーザーにとって最適であるのかを決定する必要があります。このとき、次の点が考慮されます。
動的アプリケーションサーバー
アプリケーションサーバーが使用できるかどうか
アプリケーションサーバーフィルタ
負荷分散グループ
サーバーアフィニティー
アプリケーションサーバーの相対的な処理能力
もっとも負荷の少ないアプリケーションサーバー
以降のセクションでは、これらの項目および SGD の構成がアプリケーションサーバーの選択にどのように影響するかについて説明します。
動的アプリケーションサーバーがアプリケーションに構成されている場合は、アプリケーションの負荷分散の標準 SGD メカニズムをオーバーライドできます。これは、一部の仮想サーバーブローカ (VSB) ではユーザーがアプリケーションの実行場所を選択できるためです。詳細については、「動的アプリケーションサーバー」を参照してください。
動的アプリケーションサーバーを使用すると、次のアプリケーションサーバー属性が、ユーザーに提示されるアプリケーションサーバーのリストに影響を与えます。
「アプリケーション起動」 (--available
) – 詳細については、「アプリケーションサーバーが使用できるかどうか」を参照してください
「ユーザー割り当て」 (--userassign
) – 詳細については、「アプリケーションサーバーフィルタ」を参照してください
「最大数」 (--maxcount
) – 詳細については、「アプリケーションサーバーフィルタ」を参照してください
アプリケーションが起動するときに、アプリケーションサーバーの候補リストの中で、現在使用できないサーバーがあるかどうかが SGD により確認されます。使用できないアプリケーションサーバーは、リストから削除されます。
アプリケーションサーバーオブジェクトの「アプリケーション起動」 (--available false
) 属性を使用して、アプリケーションサーバーを使用できないものとしてマークすることができます。この作業は、アプリケーションサーバーの保守中にアプリケーションサーバーを使用できない状態にする場合などに行ないます。
SGD Advanced Load Management を使用している場合は、負荷分散サービスから SGD に定期的に keep alive パケットが送信されます。これらのパケットが停止したアプリケーションサーバーについては、SGD では接続が切断されていると見なされ、負荷分散サービスが接続を再度確立するまで「使用できない」サーバーとして処理されます。
アプリケーションサーバーオブジェクトには「最大数」(--maxcount
) 属性と「ユーザー割り当て」 (--userassign
) 属性があり、ユーザーに対してアプリケーションを実行するアプリケーションサーバーをフィルタするために使用できます。
「最大数」属性は、アプリケーションサーバー上で実行可能なアプリケーションの数を制限するために使用されます。制限に達すると、SGD ではそれ以上のアプリケーションを実行するためのアプリケーションサーバーは選択されません。たとえば、アプリケーションサーバーのグループをアプリケーションに割り当て、各アプリケーションサーバーオブジェクトの「最大数」の設定が 1 である場合、SGD は別のアプリケーションサーバーでアプリケーションの各インスタンスを実行し、各アプリケーションサーバーが使用されるのは一度だけです。
「ユーザー割り当て」属性は、ユーザーのユーザー識別情報 (完全指定ユーザー名) に基づいてアプリケーションサーバーをフィルタするために使用されます。これにより、アプリケーションサーバーの使用が LDAP グループの特定のユーザーまたはメンバーに制限されます。検索フィルタには、次のいずれかを使用できます。
RFC2254 に準拠する LDAP 検索フィルタ
RFC1959 に準拠する LDAP URL
scottasessionowner=
フィルタ
ユーザー識別情報が LDAP 識別情報ではない場合でも、SGD では LDAP ベースの検索フィルタが適用されます。
「ユーザー割り当て」の検索フィルタの設定方法については、「ユーザー割り当て」を参照してください。
「最大数」属性と「ユーザー割り当て」属性は個別または一緒に使用して、ユーザーに対してアプリケーションを実行できるアプリケーションサーバーを制御することができます。次の表に、アプリケーションサーバーの選択時にこれらの属性を使用した場合の影響を示します。
ユーザー割り当て | 最大数 | 影響 |
---|---|---|
なし | 設定しない | アプリケーションサーバーがすべてのユーザーに対して実行できるアプリケーションの数に制限はありません。 |
なし |
|
アプリケーションサーバーは、すべてのユーザーに対して、 |
ユーザー検索フィルタ | 設定しない | アプリケーションサーバーが検索フィルタに一致するユーザーに対して実行できるアプリケーションの数に制限はありません。 |
ユーザー検索フィルタ |
|
アプリケーションサーバーは、検索フィルタに一致するユーザーに対してのみ、 |
LDAP グループ検索フィルタ | 設定しない | アプリケーションサーバーが LDAP グループのメンバーに対してのみ実行できるアプリケーションの数に制限はありません。 |
LDAP グループ検索フィルタ |
|
アプリケーションサーバーは、LDAP グループのメンバーに対してのみ、 |
負荷分散グループは、SGD サーバーとアプリケーションサーバーをまとめてグループ化するために使用します。ユーザーがアプリケーションを実行すると、SGD は、そのアプリケーションサーバーと同じ負荷分散グループにある SGD サーバー上でプロトコルエンジンプロセスを稼働させることを試みます。この処理は、グループ内のすべてのアプリケーションサーバーと SGD サーバーが高速リンクで接続されている場合に最適に機能します。
詳細については、「負荷分散グループ」 を参照してください。
アプリケーションの起動時に SGD では、そのユーザーがいずれかのアプリケーションサーバー上でほかのアプリケーションをすでに実行中であるかどうかが考慮されます。これは、サーバーアフィニティーと呼ばれます。サーバーアフィニティーとは、ユーザーが最後に起動したアプリケーションと同じアプリケーションサーバー上で、SGD がアプリケーションを実行しようとすることです。
サーバーアフィニティーが有効に機能するには、アプリケーションが同じアプリケーションサーバーセットに関連付けられている必要があります。
サーバーアフィニティーはパーセントで表現されます。現在設定できる値は次の 2 つだけです。
0
– 実行中のアプリケーションはアプリケーションサーバーの選択に影響しません。
100
– 選択されたアプリケーションを実行するときに、既存のアプリケーションサーバーができるだけ再利用される必要があります。これはデフォルト値です。
サーバーアフィニティーの値を変更するには、次のコマンドを実行します。
$ tarantella config edit \ --tarantella-config-applaunch-appserveraffinity 0|100
Windows アプリケーションを使用している場合、この値を変更することはお勧めしません。これは、複数のアプリケーションサーバーを使用する場合に、問題 (特にローミングプロファイルの問題) が発生するためです。また、同じアプリケーション群に属する複数のアプリケーションを互いに異なるサーバー上で実行すると、ライセンスの問題が発生することがあります。
SGD では、アプリケーションサーバーの相対的な処理能力を考慮して、アプリケーションの起動場所を決定できます。
相対的な処理能力は、パーセントで表現されます。デフォルトでは、すべてのサーバーに値 100 が割り当てられます。サーバーの負荷分散プロパティー weighting
を編集してその負荷係数を増減すると、SGD によってアプリケーションサーバーが選択される可能性を増減できます。負荷係数の詳細については、「アプリケーションの負荷分散の調整」を参照してください。
アプリケーションサーバーの相対的な処理能力を使用して、次の操作を実行できます。
特定のサーバー上で起動するアプリケーションセッションの数を減らす (たとえば、特定のサーバーを SGD 以外のプロセスで使用する場合)
特定のサーバー上で起動するアプリケーションセッションの数を増やす。たとえば、あるサーバーが CPU 容量は小さくても IO(入出力) 性能が優れている場合に、この操作を行います。
負荷係数の使用方法の詳細については、「もっとも負荷の少ないアプリケーションサーバー」 の負荷計算を参照してください。
2 つのアプリケーションサーバー london および paris が動作しています。paris の負荷係数は 50 で、london の負荷係数は 100 です。その他のアプリケーション起動条件がすべて満たされていて、現時点でサーバーの負荷が同じ場合には、アプリケーションを起動するために選択される可能性は london の方が高くなります。
SGD では、もっとも負荷の少ないアプリケーションサーバーを選択する方式がいくつかサポートされています。
デフォルトの方式は、Administration Console の「グローバル設定」 → 「パフォーマンス」タブで設定します。アプリケーションオブジェクトの「パフォーマンス」タブに異なる方式を指定することで、デフォルトを上書きできます。この方法を利用すれば、アプリケーションの負荷分散をさまざまな方法で行うことができます。
アプリケーションの負荷分散の方式として、次のものがサポートされています。
最少アプリケーションセッション数
最小 CPU 使用量
最大空きメモリー
「最小 CPU 使用量」方式および「最大空きメモリー」方式では、ユーザーがアプリケーションを起動した時点のアプリケーションサーバーの実際の負荷が計算されます。これは Advanced Load Management と呼ばれます。詳細については、「Advanced Load Management の仕組み」を参照してください。
「最少アプリケーションセッション数」方式を使用した場合は、実行中のアプリケーションセッションがもっとも少ないアプリケーションサーバーが SGD で選択されます。これは、SGD から運用しているアプリケーションセッション数のみに基づいて行われます。
これはデフォルトの方式です。
アプリケーションの起動時にアレイからアプリケーションサーバーの負荷情報を取得できないなどの理由で、Advanced Load Management の使用で問題が発生した場合は、代わりに「最少アプリケーションセッション数」方式が使用されます。こうした状況は、プライマリ SGD サーバーを再起動しているときなどに発生することがあります。
アプリケーションサーバーの負荷計算には、次の数式が使用されます。
number of application sessions x 100 /server weighting
ここでは、SGD がアプリケーション負荷分散の「最少アプリケーションセッション数」方式を使用して負荷を計算する例を紹介します。
現在、アプリケーションサーバー london では 10 個のアプリケーションセッションが動作しています。負荷係数値は 100 です。
現在、アプリケーションサーバー paris では 12 個のアプリケーションセッションが動作しています。負荷係数値は 100 です。
london の負荷値は、次のとおりです。
10 x 100/100 = 10
paris の負荷値は、次のとおりです。
12 x 100/100 = 12
その他のアプリケーション起動条件が満たされている場合は、SGD ではそれ以降の 2 つのアプリケーションセッションの起動に london が使用されます。london のサーバー負荷係数値を 50 に下げた場合、london の負荷は 20 (10 x 100 / 50) になるため、SGDではそれ以降の 8 個のアプリケーションセッションの起動には paris が選択されます。
「最小 CPU 使用量」方式を使用した場合は、CPU アイドル時間のもっとも長いアプリケーションサーバーが SGD で選択されます。この方式は、プロセッササイクルを大量に必要とするアプリケーションに適しています。
この方式では、アプリケーションサーバーの負荷が CPU 性能 (単位は BogoMips) および CPU 使用量に基づいて測定されます。測定は、負荷分散サービスが行ないます。
使用可能な容量の計算には、次の数式が使用されます。
(BogoMips x CPU idle %) x weighting /100
ここでは、SGD がアプリケーション負荷分散の「最小 CPU 使用量」方式を使用して負荷を計算する例を紹介します。
アプリケーションサーバー london の CPU 性能は 500 BogoMips、サーバー負荷係数値は 75、CPU アイドル率は 25% です。
アプリケーションサーバー paris の CPU 性能は 100 BogoMips 、サーバー負荷係数値は 100、CPU アイドル率は 50% です。
london の使用可能な容量は、次のとおりです。
(500 x 25) x 75/100 = 9375
paris の使用可能な容量は、次のとおりです。
(100 x 50) x 100/100 = 5000
その他のアプリケーション起動条件が満たされている場合は、paris の方が CPU 使用率が低く、サーバーの負荷係数値が高くても、london がアプリケーションサーバーとして選択されます。
「最大空きメモリー」方式を使用した場合は、空き仮想メモリー容量のもっとも多いアプリケーションサーバーが SGD で選択されます。この方式は、大量のメモリーを必要とするアプリケーションに適しています。
この方式では、アプリケーションサーバーの実仮想メモリーと現在使用中のメモリー容量を比較して、アプリケーションサーバーの負荷が測定されます。測定は、負荷分散サービスが行ないます。
使用可能な容量の計算には、次の数式が使用されます。
virtual memory free x weighting /100
ここでは、SGD がアプリケーション負荷分散の「最大空きメモリー」方式を使用して負荷を計算する例を紹介します。
アプリケーションサーバー london のサーバー負荷係数値は 100、仮想メモリーの空き容量は 250M バイトです。
アプリケーションサーバー paris のサーバー負荷係数値は 75、仮想メモリーの空き容量は 500M バイトです。
london の使用可能な容量は、次のとおりです。
250 x 100/100 = 250
paris の使用可能な容量は、次のとおりです。
500 x 75/100 = 375
その他のアプリケーション起動条件が満たされている場合は、paris がアプリケーションサーバーとして選択されます。
Advanced Load Management では、アプリケーションが起動された時点でそのアプリケーションサーバーに割り当てられている空きメモリー量または空き CPU 時間のどちらかに基づいてアプリケーションの負荷を分散できます。これらの方式を使用して負荷分散を行えるのは、X アプリケーション、Windows アプリケーション、および文字型アプリケーションに対してだけです。
Advanced Load Management を使用するには、すべてのアプリケーションサーバーに SGD 拡張モジュールをインストールする必要があります。これにより、アプリケーションサーバーの CPU やメモリーの負荷に関する情報を SGD にリアルタイムで提供する負荷分散サービスがインストールされます。また、アプリケーションサーバーが使用不可かどうかを SGD が容易に検出できるようにもします (たとえば、リブートする場合など)。
負荷分散サービスの動作方法の概要を、次に示します。
プライマリ SGD サーバーは、起動するたびに、負荷分散のために考慮する必要のあるアプリケーションサーバーのリストを作成します。このリストは、ホストのアプリケーションへの割り当てまたはアプリケーションからの削除が行われるたびに更新されます。
プライマリ SGD サーバーは、負荷分散対象アプリケーションサーバーのそれぞれに接続し、初期の負荷情報を要求します。そのために、各アプリケーションサーバーの TCP ポート 3579 上の負荷分散サービスに接続します。また、この接続が確立できれば、アプリケーションサーバーがアプリケーションを実行可能であることを確認できたことにもなります。
プライマリ SGD サーバーは、アレイ内のセカンダリサーバーに更新を送信します。この更新には、各方式に対する容量値と、使用不可のアプリケーションサーバーに関する情報が含まれています。
負荷分散サービスは、UDP (ユーザーデータグラムプロトコル) ポート 3579 を使用して、定期的な更新をプライマリ SGD サーバーに送信します。この更新は、負荷に変化がない場合でも発生します。この定期的な更新が途絶えるかどうかによって、SGD は、各アプリケーションサーバーがアプリケーションを実行可能かどうかを判断することができます。
プライマリ SGD サーバーは、アレイ内のセカンダリサーバーに定期的な更新を送信します。この更新には、各方式に対する容量値と、使用不可のアプリケーションサーバーに関する情報が含まれています。この更新は、負荷に変化がない場合でも発生します。
負荷分散サービスは常に、プライマリ SGD サーバーに対してアプリケーションサーバーの負荷データを送信します。プライマリサーバーが使用不可の場合は Advanced Load Management も使用できないため、セカンダリサーバーは代わりに、セッションに基づくデフォルトの負荷分散に戻ります。
プライマリまたはセカンダリの SGD サーバーは、更新で受け取る負荷情報に基づいてアプリケーションの起動を行います。
SGD 管理者は、アプリケーションの負荷分散プロパティーを編集することによって、アプリケーションの負荷分散を調整できます。これらのプロパティーは、Advanced Load Management に使用される負荷分散サービスがどのように動作するか、および SGD がアプリケーションサーバーの負荷をどのように計算するかを制御します。アプリケーションの負荷分散をグローバルに調整することも、個々のアプリケーションサーバーに対して調整することもできます。負荷分散プロパティーの編集方法の詳細については、「アプリケーションの負荷分散プロパティーの編集」 を参照してください。
アプリケーションの負荷分散を調整する前に、必ず次の項目を読み、理解しておいてください。
アプリケーションの負荷分散の動作を次の点で調整することができます。
アプリケーションサーバーの相対的な処理能力
負荷分散待機ポート
SGD サーバーがアプリケーションサーバーに更新を送信するように要求する
負荷計算の頻度
プライマリ SGD サーバーに更新を送信する頻度
CPU およびメモリーのデータの信頼性
アレイのメンバーに更新を送信する頻度
この調整については、以降のセクションで説明します。
アプリケーションサーバーの相対的な処理能力の調整を除き、この調整は Advanced Load Management を使用している場合にのみ使用できます。
weighting
プロパティーを使用すると、アプリケーションサーバーの相対的な処理能力を考慮して、アプリケーションの起動場所を SGD で決定できます。詳細については、「アプリケーションサーバーの相対的な処理能力」 を参照してください。
アレイ内のプライマリ SGD サーバーは、TCP ポート 3579 を使用してアプリケーションサーバーの SGD 負荷分散サービスと対話します。この動作は、listeningport
プロパティーによって制御されます。
負荷分散サービスは、UDP ポート 3579 を使用して、更新をプライマリ SGD サーバーに送信します。この動作は、probe.listeningport
プロパティーによって制御されます。
これらのポートは Internet Assigned Numbers Authority (IANA) に登録され、SGD 専用として予約されています。これらのプロパティーの変更は、Oracle のサポートから依頼された場合にのみ行なってください。プライマリ SGD サーバーとアプリケーションサーバーの間にファイアウォールがある場合は、これらのポートを開く必要があります。
connectretries
プロパティーは、負荷の更新を要求するために、プライマリ SGD サーバーからアプリケーションへの接続を試みる回数です。試行の間隔は、shorttimeout
プロパティーによって制御されます。これらの接続に失敗すると、SGD サーバーは、longtimeout
プロパティーに指定されている期間が経過してからもう一度接続を試みます。
たとえば、これらのプロパティーのデフォルトを使用した場合、プライマリ SGD サーバーは、アプリケーションサーバーへの接続を 20 秒間隔 (shorttimeout
) で 5 回 (connectretries
) 試みます。5 回とも失敗した場合には、SGD は 600 秒 (longtimeout
) 経過してから、20 秒間隔でさらに 5 回の接続を試みます。
アプリケーションサーバーの再起動に時間がかかる場合などには、タイムアウトのプロパティーを変更してみてください。
scaninterval
プロパティーは、SGD サーバーの負荷分散対象アプリケーションサーバーリストを走査する間隔を制御しています。走査では、負荷の更新を要求するために通信 (connectretries
) する必要があるアプリケーションサーバーが確認されます。
sockettimeout
プロパティーは、SGD サーバーが負荷分散サービスへの接続を試みても収集できるデータがなかった場合の、エラーが返されるまでの時間を制御しています。
probe.samplerate
プロパティーと probe.windowsize
プロパティーは、負荷分散サービスがアプリケーションサーバーの平均負荷を計算する頻度を制御しています。
たとえば、probe.samplerate
を 10 秒、probe.windowsize
を 5 に設定するとします。50 秒 (5 x 10) が経過すると、平均値の計算に必要な測定が 5 回実行されています。さらに 10 秒が経過すると、負荷分散サービスは次の測定を実行し、一番古い測定を破棄して新しい平均負荷を計算します。
計算の頻度は、アプリケーションサーバーの負荷が変化する頻度の予測に基づいて増減できます。たとえば、ユーザーが 1 日の始めにアプリケーションを起動し、その日の終わりにアプリケーションを閉じる場合は、負荷計算の頻度を下げます。逆に、ユーザーがアプリケーションの起動と停止を繰り返す場合は、負荷計算の頻度を上げます。
replyfrequency
プロパティーは、負荷分散サービスがプライマリ SGD サーバーに更新を送信する間隔を制御しています。
percentagechange
プロパティーは、使用される CPU/メモリーの増減率のしきい値を制御しています。使用率がこのしきい値以上に増減したら、プライマリ SGD サーバーに報告されるものとします。負荷分散サービスは、使用率が変化するとすぐに、更新を送信します。たとえば、アプリケーションサーバーが 30% の CPU 負荷で動作し、percentchange
の値が 10 の場合は、負荷が 20% または 40% になると更新が発生します。負荷分散サービスは、使用率が突然大きく変化する状況にも対応していて、たとえば、percentagechange
の値が 20% であるのに、サーバーの CPU 負荷が 81% に達した場合にも調整を行います。
replyfrequency
の更新は、負荷が変化していない場合や、percentagechange
の更新が発生した場合にも送信されます。percentage change
計算の基になる値は、replyfrequency
の更新が送信されるたびに再設定されます。
updatelimit
x replyfrequency
秒の間にアプリケーションサーバーから更新が送信されない場合、SGD はアプリケーションサーバーとの「接続が切断されている」と見なします。つまり、そのアプリケーションサーバーは、SGD サーバーとの接続を再度確立できる状態になるまでは、アプリケーションを起動できないサーバーと見なされます。
SGD は、updatelimit
x replyfrequency
秒の間にアプリケーションサーバーから更新が送信されない場合、CPU およびメモリーに関して受信したデータの信頼性が低いと見なします。
負荷分散サービスは、負荷が変化していない場合でも更新を送信します。
信頼性の低いデータは、アプリケーションをどのサーバーで起動するかを決定するときに無視されます。つまり、そのアプリケーションサーバーはキューの最後に移動し、アプリケーションを起動するために他のサーバーが利用できないか適切でない場合にだけ使用されます。
SGD のアプリケーション負荷分散は、アプリケーションサーバーの負荷分散のプロパティーを編集することによって調整できます。負荷分散プロパティーは、プロパティーファイルに保存されていて、テキストエディタを使って編集できます。次の 3 つのプロパティーファイルがあります。
グローバルプロパティーファイル – このファイルには、アレイ内のすべての SGD サーバーに対するデフォルト設定が含まれています。
アプリケーションサーバーのプロパティーファイル – このファイルを使用すると、特定のアプリケーションサーバーについて、グローバルプロパティーファイルでのデフォルト設定の一部をオーバーライドできます。
負荷分散サービスのプロパティーファイル – このファイルには、UNIX または Linux プラットフォームのアプリケーションサーバー上で負荷分散サービスが初回起動時または再起動時に使用する設定が含まれています。
このセクションでは、プロパティーファイルの編集方法と編集可能なプロパティーについて説明します。プロパティーの使用方法の詳細については、「アプリケーションの負荷分散の調整」 を参照してください。
アプリケーションが起動できなくなる可能性があるため、これらのプロパティーを編集する際は慎重に行なってください。
SGD サーバーにログインしているユーザーがいないこと、および SGD サーバー上で実行されているアプリケーションセッション (中断されているアプリケーションセッションを含む) が存在しないことを確認してください。
プライマリ SGD サーバーにスーパーユーザー (root) としてログインします。
負荷分散プロパティーファイルは、アレイ内のプライマリ SGD サーバーでのみ作成してください。このファイルは、プライマリサーバーからセカンダリサーバーにコピーされます。
/opt/tarantella/var/serverconfig/global/t3hostdata
ディレクトリに移動します。
負荷分散プロパティーファイルを作成します。
template.properties
ファイルをコピーして、同じディレクトリに
という名前のファイルを作成します (ここで、hostname
.propertieshostname
はアプリケーションサーバーの名前で、たとえば paris.example.com.properties
)。
負荷分散プロパティーファイルを編集します。
プロパティーファイルをテキストエディタで開きます。
アプリケーションサーバーの完全修飾名を追加します。
tarantella.config.tier3hostdata.name
プロパティーが含まれている行を見つけます。
「=
」の後ろに、アプリケーションサーバーの完全修飾名を入力します。
名前は引用符で囲み、ホスト名の各部分はバックスラッシュを使用してエスケープします。次に例を示します。
".../_ens/o\=例/cn\=paris"
サーバー固有のプロパティーを設定します。
オーバーライドするプロパティーが含まれている行の #
を削除して、コメントを解除します。
コメントを解除するのは、グローバルなデフォルトに変更を加えるプロパティーだけです。
上書きするプロパティーの値を変更します。
template.properties
ファイルには、サーバー固有のファイルを作成するときに役立つコメントが記述されています。
変更を保存してファイルを閉じます。
プライマリ SGD サーバーをウォームリスタートします。
# tarantella restart sgd --warm
グローバル負荷分散プロパティーファイルには、アレイ内のすべての SGD サーバーに対するデフォルトの負荷分散プロパティーが含まれています。
このファイルは /opt/tarantella/var/serverconfig/global/tier3lb.properties
です。
これらの負荷分散プロパティーは、アレイ内のプライマリ SGD サーバーでのみ編集してください。変更されたプロパティーファイルは、プライマリサーバーからセカンダリサーバーにコピーされます。
tier3lb.properties
プロパティーファイルのプロパティーには、tarantella.config.tier3lb.weighting
のように、プロパティー名の前に tarantella.config.tier3lb
という接頭辞が付いています。
次の表に、変更可能なプロパティーと、SGD が最初にインストールされたときのプロパティーのデフォルト値を示します。また、各プロパティーがどのような目的で使用されるかについても説明します。
プロパティー | デフォルト値 | 目的 |
---|---|---|
|
| CPU および メモリーの使用量の更新を要求するために、SGD サーバーからアプリケーションサーバーに接続を試みる回数。 |
|
| 負荷分散サービスから送信されるデータを待機するために SGD サーバーが使用する UDP ポート。 |
|
| SGD サーバーが次にアプリケーションサーバーへの一連の接続を試みるまでの一時停止期間 (秒)。 |
|
| 失われたサンプルの数。アプリケーションサーバーに関する CPU および メモリーのデータの信頼性を計算するために使用されます。 |
|
| SGD サーバーからの要求 (更新の送信をいつ開始するかなど) を待機するときに負荷分散サービスが使用する TCP ポート。 |
|
| 使用される CPU および メモリーの増減率のしきい値 (使用率がこのしきい値以上に増減したら、SGD サーバーに報告される)。 |
|
| 負荷分散サービスが測定した CPU およびメモリーの値を SGD サーバーに送信する間隔 (秒)。このプロパティーの最小値は 2 です。 |
|
| CPU およびメモリーを測定する間隔 (秒)。このプロパティーの最小値は 1 です。 |
|
| CPU およびメモリーの平均使用率を計算するために使用される、CPU およびメモリーの測定回数。このプロパティーの最小値は 1 です。 |
|
| SGD サーバーの負荷分散対象アプリケーションサーバーリストを走査する間隔 (秒)。 |
|
| SGD サーバーが次にアプリケーションサーバーへの接続を試みるまでの間隔 (秒)。 |
|
| ソケットのタイムアウト (秒)。 |
|
| 負荷分散サービスがいつ更新データの送信を停止したかの計算に使用される制限。 |
|
| 負荷測定の重み付け (他のアプリケーションサーバーに対する相対値)。 |
次のプロパティーも tier3lb.properties
プロパティーファイルにありますが、決して変更しないでください。
tarantella.config.type=server tarantella.config.name=tier3lb
アプリケーションサーバー固有の負荷分散プロパティーファイルを作成することにより、グローバル負荷分散プロパティーの一部を上書きできます。「アプリケーションサーバーの負荷分散プロパティーファイルを作成する方法」で説明するように、このファイルを手動で作成する必要があります。
上書きできるグローバルプロパティーは次のとおりです。
probe.listeningport
probe.percentchange
probe.replyfrequency
probe.samplerate
probe.windowsize
weighting
サーバー固有のプロパティーファイルのプロパティーには、tarantella.config.tier3hostdata.weighting
のように、プロパティー名の前に tarantella.config.tier3hostdata
という接頭辞が付いています。
負荷分散サービスのプロパティーファイルには、UNIX または Linux プラットフォームのアプリケーションサーバー上で負荷分散サービスが初回起動時および再起動のたびに使用する設定が含まれています。
これらのプロパティーの変更は、Oracle のサポートから依頼された場合か、アプリケーションサーバーの物理メモリーまたは仮想メモリーを変更したときに SGD 拡張モジュールを再インストールしなかった場合のみ行なってください。
負荷分散サービスのプロパティーファイルは /opt/tta_tem/var/serverconfig/local/tier3loadbalancing.properties
です。
これらのプロパティーを変更する場合は、手動で負荷分散サービスを停止して再起動する必要があります。
上書きできるプロパティーは次のとおりです。
probe.listeningport
probe.percentchange
probe.replyfrequency
probe.samplerate
probe.windowsize
weighting
負荷分散サービスのプロパティーファイルのプロパティーには、tarantella.config.tier3loadbalancing.weighting
のように、プロパティー名の前に tarantella.config.tier3loadbalancing
という接頭辞が付いています。