Oracle VDI はデスクトップをプールにまとめます。プールは、デスクトップの集合 (コンテナ) です。通常は、ユーザーの種類ごとに異なるプールを作成します。たとえば、社内の技術チームは、マーケティング部門とは異なるデスクトップ要件がある可能性があります。
プール設定を NAT ネットワークから Windows RDP を使用するホストネットワークに変更する場合、実行中の既存のデスクトップを停止して再起動しないと、それらのデスクトップに対する後続のユーザー要求が失敗します。
この問題は、既存の実行中のデスクトップが NAT を使用し、公開 IP アドレスを持たないために発生します。プール設定が変更されると、そのデスクトップに対する後続の要求は非公開 (つまりアクセスできない) NAT IP 経由でデスクトップにアクセスしようとします。
Microsoft リモートデスクトッププロバイダごとに作成できるプールは 1 つだけです。
Oracle VDI Manager で、「プール」に移動します。
会社を選択します。
「プール」テーブルで、「新規」をクリックします。
新規プールウィザードが表示されます。
Oracle VDI および Microsoft Hyper-V デスクトッププロバイダについては、次のプールの種類のうちの 1 つを選択します。
動的プールには、複製されたフレキシブルなデスクトップを挿入できます。「動的プール」を選択した場合、プール内のデスクトップは一時的にユーザーに割り当てられます。それらは、ユーザーがログアウトするたびにリサイクルされます。このプールの種類は、ユーザーとデスクトップの割り当てが頻繁に変化するので動的と見なされます。
拡張プールには、複製された個人用デスクトップを挿入できます。「拡張プール」を選択した場合、プール内のデスクトップは永続的にユーザーに割り当てられます。ユーザーは、自身のデスクトップ設定を失うことなく、ログインとログアウトを行うことができます。デスクトップはリサイクルされません。
手動プールは、最初は空です。個人用デスクトップをインポートすることにより、手動によって満たされます。複製されたデスクトップの割り当てを選択しない場合は、「手動プール」の種類を使用する必要があります。
Microsoft リモートデスクトッププロバイダの場合は、プールの種類は適用されません。
プールを作成します。
# /opt/SUNWvda/sbin/vda pool-create -p name=pool name
,provider=desktop provider name
例 - Oracle VDI デスクトッププロバイダのプールを作成する
example% /opt/SUNWvda/sbin/vda pool-create \ -p name="Templates",provider="VB provider",assignment-type=personal
例 - VMware vCenter デスクトッププロバイダを作成し、テンプレートを指定して、プールにデスクトップを追加する
example% /opt/SUNWvda/sbin/vda provider-list-templates "VC provider" NAME ID PATH XP-Template vm-134 [Datacenters, ADatacenter, vm] XPClone vm-629 [Datacenters, ADatacenter, vm] example% /opt/SUNWvda/sbin/vda pool-create \ -p name="VC pool",provider="VC provider",template=vm-134,preferred-size=30,\ free-size=5,max-size=35,power-state=on,assignment-type=flexible,\ recycle-policy=reuse,idle-timeout=2
プールごとのネットワーク構成機能により、管理者がデスクトップを配置するサブネットを指定できるようになります。Oracle VDI、Microsoft Hyper-V、および VMware vCenter デスクトッププロバイダの場合、Oracle VDI により、プロバイダのホストで設定されているネットワークが検出され、特定のプールでこれらのネットワークのうちどのネットワークを使用するかを管理者が選択できるようになります。
Oracle VDI では、ネットワークの構成は次の 2 つのレベルで行われます。
デスクトッププロバイダ (Oracle VDI および Microsoft Hyper-V のみ) - Oracle VDI Hypervisor または Microsoft Hyper-V ホストのいずれかで使用可能な各サブネットは、一意のレベルによって識別されます。デフォルトでは、このラベルはサブネットアドレスですが、デスクトッププロバイダの「ネットワーク」タブでラベルを変更できます。ホストがデスクトッププロバイダに追加されると、Oracle VDI により、そのホスト上で使用可能なサブネットが検出され、それに応じて「ネットワーク」テーブルが更新されます。プロバイダ内のどのホストでもサブネットが使用可能でない場合、Oracle VDI は警告を表示します。デスクトッププロバイダの「ホスト」タブでホストを選択することにより、特定のホストの使用可能なサブネットの一覧を表示できます。ホストのネットワークに変更を加える場合、「ネットワーク」タブの「再表示」ボタンをクリックして、Oracle VDI によりホスト上で使用可能なサブネットを再スキャンできるようにします。
デスクトッププール
Oracle VDI および Microsoft Hyper-V デスクトッププロバイダのみ - プールには 1 つ以上のネットワークを割り当てることができます。プールが作成されると、Oracle VDI では、プールのデスクトッププロバイダのすべてのホストでネットワークが使用可能であるかどうかを確認し、これらのネットワークのいずれかをプールに割り当てます。プロバイダのどのホストにも使用可能なネットワークがない場合、管理者は、プールの「設定」タブを使用してプールで使用されるネットワークを明示的に指定する必要があります。プール内でデスクトップがインポートまたは複製されると、Oracle VDI はデスクトップ上にネットワークデバイスを作成し、プールに対し有効になっているネットワークに置かれるようにデバイスを構成します。プールに対して 1 つ以上のネットワークが構成されている場合、Oracle VDI では、デスクトップへの RDP 接続を確立しようとするときに主ネットワークとして構成されているネットワークを使用します。プールの主ネットワークは、「設定」タブで構成できます。
VMware vCenter デスクトッププロバイダのみ - VMware vCenter プールのデフォルトの動作では、VMware vCenter テンプレートと仮想マシンを使用して格納されたネットワーク設定が使用されます。プールの「設定」タブでカスタマイズされたネットワーク設定の使用を有効にすることによって、指定されたプールのこの動作を置き換えることができます。
プールごとのネットワーク構成機能は、ホストネットワーキングが使用されている場合に Oracle VDI デスクトッププロバイダプールでのみ使用できます。
Oracle VDI Manager で、「プール」に移動します。
プールを選択します。
「設定」タブに移動して、プール内のデスクトップでどのネットワークを設定するかを指定します。
そのプールに新しいデスクトップが作成されると、選択した各ネットワーク用のネットワークアダプタがそのデスクトップに作成されます。
注 (Oracle VDI および Hyper-V デスクトッププロバイダ):
デスクトッププロバイダのネットワークリストの名前を変更または更新する - 「デスクトッププロバイダ」カテゴリを選択して、対象の Oracle VDI または Microsoft Hyper-V デスクトッププロバイダを選択します。「ネットワーク」タブを選択して、デスクトッププロバイダで設定されたネットワークを表示します。Oracle VM VirtualBox ホストまたは Microsoft Hyper-V ホストのネットワーク設定の変更が完了したら、「更新」ボタンをクリックして、プロバイダのネットワークリストを再スキャンします。
特定のホストのネットワークの読み取り専用リストを表示する - 「デスクトッププロバイダ」カテゴリに移動して、デスクトッププロバイダを選択します。次に、「ホスト」タブでホストを選択します。
注 (VMware vCenter デスクトッププロバイダ):
「デスクトッププロバイダ」カテゴリで VMware vCenter ネットワークにはアクセスできません。代わりに VMware vCenter を使用してネットワークを作成および管理します。
Oracle VDI では、ユーザーが各自のデスクトップに接続したときに、Sun Ray セッションにより使用される RDP オプションを設定できます。
仮想デスクトップで実際に使用できるオプションは、プールで選択した RDP プロトコル、デスクトップのオペレーティングシステム、および仮想デスクトップ自体の設定によって異なります。詳細については、次を参照してください。
Oracle VDI Manager で、「プール」に移動します。
プールを選択します。
「設定」タブに移動します。
Sun Ray セクションで、「Sun Ray RDP 設定の編集」リンクをクリックします。
目的の RDP 設定を有効にし、「保存」をクリックします。
「戻る」をクリックし、Sun Ray セクションの「カスタマイズした設定の使用」オプションを選択します。
「保存」をクリックします。
Sun Ray Windows コネクタ (uttsc
)
は、Sun Ray からユーザーのデスクトップへの RDP
接続の構成を可能にする広範なオプションをサポートしています。
Oracle VDI
では、これらのオプションのサブセットをプールごとに設定できます。次の表は、サポートされているオプションの一覧です。Oracle VDI
の Sun Ray 設定を Sun Ray Windows コネクタ
uttsc
設定と比較する方法の詳細については、「付録B Oracle VDI にバンドルされているソフトウェアのデフォルト」セクションを参照してください。
名前 | 説明 | デフォルト値 |
---|---|---|
一般 | ||
ロケール | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションに使用されるロケールを識別するために使用します。
有効なロケール ID
は、 | en-US |
キーボードの配列 | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションに使用されるキーボードの種類を識別する場合に使用します。 この設定の有効な値には、「All Sun and PC USB Keyboards」、「Sun Type6 Japanese Keyboard」、および「Sun Korean Keyboard」があります。 | すべての Sun および PC USB キーボード |
ホットデスク | この設定は、ホットデスク発生時の RDP セッションの切断と再接続動作を設定する場合に使用します。 | デバイスクライアントアクセスライセンスモードが設定されている場合は、RDP セッションの切断と再接続が実行されます。 デバイスクライアントアクセスライセンスモードが設定されていない場合は、セッションは切断されません。 |
Windows プルダウンヘッダー | この設定は、Windows プルダウンヘッダーを有効または無効にする場合に使用します。 | 有効になります |
RDP パケットデータ圧縮 | この設定は、RDP パケットデータの圧縮を有効または無効にする場合に使用します。 | 有効になります |
表示 | ||
発色数 | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションの優先される発色数を指定する場合に使用します。 この設定の有効な値は、8、15、16、24、および 32 です。 注: 発色数は、ユーザーが接続するデスクトップの設定によって制限される可能性があります。その場合は、デスクトップの使用可能な発色数は、デスクトップを含むプールに対して設定されている色深度よりも優先されます。 | 32 |
テーマ | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションのテーマを有効または無効にする場合に使用します。 注: この設定を無効にすると、表示のパフォーマンスを高めることができます。 | 使用不可 |
デスクトップの背景 | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションのデスクトップの背景を有効または無効にする場合に使用します。 注: この設定を無効にすると、表示のパフォーマンスを高めることができます。 | 使用不可 |
ドラッグ中にウィンドウの内容を表示 | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションでウィンドウをドラッグするときに、完全なウィンドウの内容を表示するための機能を有効または無効にする場合に使用します。 注: この設定を無効にすると、表示のパフォーマンスを高めることができます。 | 使用不可 |
メニューの遷移効果 | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションでメニューの使用中に視覚効果を有効または無効にする場合に使用します。 注: この設定を無効にすると、表示のパフォーマンスを高めることができます。 | 使用不可 |
ポインタシャドウ | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションでポインタシャドウの使用を有効または無効にする場合に使用します。 注: この設定を無効にすると、表示のパフォーマンスを高めることができます。 | 使用不可 |
ポインタスキーム | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションでポインタスキームの使用を有効または無効にする場合に使用します。 注: この設定を無効にすると、表示のパフォーマンスを高めることができます。 | 使用不可 |
サウンド | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションでサウンドの質を制御する場合に使用します。 この設定の有効な値は、「高」 (高品質のサウンドを有効にする)、「低」 (低品質のサウンドを有効にする)、および 「オフ」 (サウンドを無効にする) があります。 | 高 |
リダイレクション | ||
スマートカード | この設定は、Sun Ray クライアントからユーザーのデスクトップセッションへのスマートカードのリダイレクションを有効または無効にする場合に使用します。 | 使用不可 |
USB | この設定は、Sun Ray クライアントからユーザーのデスクトップセッションへの USB のリダイレクションを有効または無効にする場合に使用します。 | 有効になります |
シリアルデバイス | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションにリダイレクトされる必要があるシリアルデバイスを識別する場合に使用します。
この設定の有効な値は、 | デフォルトではシリアルデバイスはリダイレクトされません。 |
パス | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションでドライブにリダイレクトされる必要がある、Oracle VDI ホスト上で使用可能なパスを識別する場合に使用します。
この設定の有効な値は、 | デフォルトではパスはリダイレクトされません。 |
プリンタ | この設定は、ユーザーのデスクトップセッションにリダイレクトされる必要があるプリンタキューを識別する場合に使用します。
この設定の有効な値は、 | デフォルトではプリンタキューはリダイレクトされません。 |
USB リダイレクタをインストールすることにより、仮想マシンテンプレートを準備します。
詳細については、『Sun Ray Software 5.2 インストールおよび構成ガイド』の「Windows システムに Windows コネクタコンポーネントをインストールする方法」を参照してください。
VMware vCenter または Microsoft Hyper-V で作成した仮想マシンの USB ドライバをさらに追加します。
Oracle VM VirtualBox 仮想マシンの場合、この手順を実行する必要はありません。詳細については、『Sun Ray Software 5.2 インストールおよび構成ガイド』の「Windows コネクタ」を参照してください。
準備した仮想マシンをテンプレートとして Oracle VDI ホストにインポートします。
次のセクションを参照してください。
Oracle VDI Manager で、「プール」に移動します。
プールを選択します。
「設定」タブに移動します。
「RDP 設定の編集」を選択します。USB を有効にして設定を保存します。
「カスタマイズされた RDP 設定を使用する」を選択して、ふたたび保存します。
(省略可能) Sysprep を有効にしていくつかの仮想マシンを複製します。
仮想マシンが使用できるようになったら、任意のユーザーのセッションを取得して、仮想マシンにログインします。
「コンピュータ」 → 「プロパティ」 → 「ハードウェア」 → 「デバイスマネージャ」を選択して、ドライバが「USB (Universal Serial Bus) コントローラ」の下に表示されることを確認します。
仮想マシンで任意の USB ディスクをリダイレクトできるようになります。
Sun Ray クライアントからスマートカードを取り外したときのユーザーのデスクトップへの表示方法を制御できます。スマートカードの取り外しポリシーを使用すると、一定時間 Sun Ray クライアントからスマートカードを取り外された状態のときに、ユーザーのデスクトップを停止、中断、またはリサイクルする必要があることを示すことができます。一定時間が経過する前にユーザーがスマートカードを再度挿入した場合、デスクトップ上の関連する動作はキャンセルされます。スマートカードの取り外しポリシーは、プールごとに構成可能で、Oracle VDI、Microsoft Hyper-V、および VMware vCenter プールすべてで利用可能です。このポリシーは、Oracle VDI Manager または CLI. を使用して構成できます。
リサイクルは、デスクトップがフレキシブル割り当てになっている場合にのみ適用されます。スマートカードの取り外しポリシーにリサイクルのオプションを選択すると、個人で割り当てたデスクトップには影響しません。
Oracle VDI Manager で、「プール」に移動します。
プールを選択します。
「設定」タブに移動します。
「Sun Ray」セクションで、「カード取り外し時のアクション」メニューを使用して、シンクライアントからのスマートカードの取り外しに関連付けるアクションを指定します。
「アクションなし」 - スマートカードを取り外しても Oracle VDI が無視するようにする場合に選択します。
「デスクトップのリサイクル」 - デスクトップがリサイクルされるようにフレキシブルに割り当てる場合に選択します。
「デスクトップのシャットダウン」 - デスクトップをシャットダウンする場合に選択します。
「中断」 - デスクトップを中断させる場合に選択します。
「アクションの遅延」フィールドで、シンクライアントからスマートカードが取り外されてからアクションが実行されるまでの時間 (秒) を指定します。
「保存」をクリックします。
スマートカードの取り外しに関連付けるデスクトップアクションを設定します。
# /opt/SUNWvda/sbin/vda pool-setprops \ -p card-removed=desktop action
pool name
シンクライアントからスマートカードが取り外されてからアクションが実行されるまでの時間 (秒) を指定します。
# /opt/SUNWvda/sbin/vda pool-setprops \ -p card-removed-timeout=time in seconds
pool name
次の例では、シンクライアントからスマートカードが取り外されたあと、30 秒が経過してから実行されるデスクトップアクションを設定しています。
# /opt/SUNWvda/sbin/vda pool-setprops \ -p card-removed=suspend,card-removed-timeout=30 MyPool
Sun Ray キオスクモードセッションに引数を渡すよう定義することで、キオスクモードの設定を構成できます。キオスクモードの設定は、プールごとに構成可能で、Sun Ray キオスクプールでのみ利用できます。キオスクセッション引数は、コマンド行構文でテキストとして指定します。設定は、Oracle VDI Manager または CLI から構成できます。
各キオスクセッションタイプでは、サポートされるオプションと引数が定義されています。キオスクセッションタイプで定義されているデフォルト引数は、指定した引数によってオーバライドされます。詳細については、『Sun Ray Software 5.2 管理ガイド』の「キオスクモード」と該当するキオスクセッションタイプのドキュメントを参照してください。
Sun Ray キオスクセッションについては、「「Sun Ray キオスクセッションプロバイダについて」」を参照してください。
Oracle VDI Manager で、「プール」に移動します。
プールを選択します。
「設定」タブに移動します。
「キオスク設定」フィールドに、キオスクセッションに渡す引数を入力します。
「保存」をクリックします。
プールに対してキオスクモードの設定を構成します。
# /opt/SUNWvda/sbin/vda pool-setprops -p kiosk-settings="kiosk session arguments
" "pool name
"
次の例では、Sun Ray VMware View Connector キオスクセッションの設定を構成しています。
# /opt/SUNWvda/sbin/vda pool-setprops \ -p kiosk-settings="-s myvdmserver.domain -https -- -E theming" "VDM-Pool"
Oracle VDI では、仮想デスクトップでのデータの送受信にリモートデスクトッププロトコル (RDP) が使用されます。Oracle VDI は、Oracle VM VirtualBox (VRDP) と Microsoft RDP (MS-RDP) の 2 種類の RDP をサポートします。
VRDP を使用すると、Oracle VDI をマシンレベルで仮想デスクトップに接続できます。この特性により、ユーザーは実際のコンピュータと同じように仮想マシンの起動の様子を確認でき、デスクトップセッションが表示されるまでの時間が短く感じられます。また VDRP では、ネットワークアドレス変換 (NAT) ネットワーク接続か、ホストネットワーク接続 (ブリッジネットワーク接続) のどちらかを選択できます。NAT ネットワーク接続は、仮想マシンから外部ネットワークにアクセスするための最も簡単な方法です。一般にこの接続では、ホストネットワークや仮想マシンに対して設定を行う必要はありません。
MS-RDP では、Oracle VDI はオペレーティングシステムレベルで接続します。ユーザーはマシンの起動の様子を確認できません。また、仮想マシンが起動して RDP 接続を受け付けられるようになるまで待つ必要があるため、デスクトップセッションが表示されるまでに時間がかかるように感じられます。
Oracle VDI デスクトッププロバイダによってホストされる仮想デスクトップでは、VRDP または MS-RDP のどちらかを使用できます。プールのネットワーク設定で必要なプロトコルとネットワーク接続方法を選択します (「「プールごとのネットワークを設定する方法」」を参照)。デフォルトでは、プールが VRDP および NAT ネットワーク接続を使用するように設定されています。MS-RDP を使用するには、ホストネットワーク接続を選択する必要があります。
その他のデスクトッププロバイダではすべて、MS-RDP が使用されます。
次の表に、VRDP と MS-RDP によってサポートされる機能の一覧を示します。
機能 | 説明 | VRDP | MS-RDP |
---|---|---|---|
録音 (入力オーディオ) | クライアントデバイスから仮想デスクトップへの記録が可能になります。 | ✓ | ✓ |
オーディオリダイレクション | 仮想デスクトップのオーディオコンテンツをクライアントデバイスで再生可能になります。 | ✓ | ✓ |
自動ログイン | ユーザーがリモートデスクトップに自動的にログイン可能になります。 | ✓ | ✓ |
クリップボードリダイレクション | クライアントデバイスと仮想デスクトップの間でテキストのコピー&ペースト機能が使用可能になります。 | ✓ | ✓ |
COM ポートマッピング | クライアントデバイスに接続されているシリアルデバイスへのアクセスが可能になります。 | ✗ | ✓ |
圧縮 | 仮想デバイスで送受信されるデータの一括圧縮が可能になります。 | ✗ | ✓ |
ドライブリダイレクション (クライアントドライブマッピング) | クライアントデバイスのドライブへのアクセスが可能になります。 | ✓ (USB のみ) | ✓ |
マルチデスクトップ | 複数のモニターをクライアントデバイスに接続している場合に複数の仮想デスクトップを表示可能になります。 | ✓ | ✓ |
マルチモニター | クライアントデバイスに接続されている複数のモニターが使用可能になります。複数のモニターで 1 つまたは複数のデスクトップセッションが表示可能になります。 | ✓ | ✓ (RDP 7 のみ) |
ネットワークセキュリティー (暗号化レベル) | 仮想デスクトップ間のデータの暗号化伝送が可能になります (オプションでホスト検証を使用)。 | ✓ | ✓ |
セッションディレクトリ | 既存の仮想デスクトップセッションへの自動再接続が可能になります。 | ✗ | ✓ |
スマートカードデバイスの切り替え | クライアントデバイスに接続されているスマートカードデバイスへのアクセスが可能になります。 | ✓ (USB のみ) | ✓ |
タイムゾーンリダイレクション | 仮想デスクトップの時刻がクライアントデバイスのタイムゾーンに一致するように調整可能になります。 | ✗ | ✓ |
USB デバイスリダイレクション | クライアントデバイスに接続されている USB デバイスへのアクセスが可能になります。 | ✓ | ✓ |
ビデオの高速化 | 拡張機能によってビデオストリームおよび Adobe Flash コンテンツのパフォーマンスを向上させることが可能になります。 | ✓ | ✓ |
Windows プリンタマッピング (クライアント出力) | クライアントデバイスに接続されているプリンタへの出力、または仮想デスクトップや Sun Ray Software サーバーに接続されているローカルプリンタまたはネットワークプリンタへの出力が可能になります。 | ✓ (ローカルクライアント USB プリンタのみ) | ✓ |
上記の表に示した機能一覧は、それぞれのプロトコルで利用可能かどうかを述べたものに過ぎません。仮想デスクトップで実際に使用できる機能は、デスクトップ (クライアント) へのアクセスに使用する方法やデスクトップ自体の設定によって異なります。詳細については、「「デスクトップへのアクセス方法について」」と次の注記を参照してください。
VRDP では、キーボードやマウスなどのヒューマンインタフェースデバイス (HID) は、USB リダイレクションを使用してもしなくても影響を受けません。
上記の表に示した機能や、MS-RDP および Sun Ray Windows コネクタの使用に関する情報については、『Sun Ray Software 5.2 管理ガイド』の「Windows コネクタ」という章を参照してください。
VRDP については、Oracle VM VirtualBox のドキュメントの「リモート仮想マシン」という章を参照してください。
多くの RDP クライアントプログラムには、リモートデスクトップのパフォーマンス向上に使用できる設定が用意されています。たとえば、Sun Ray クライアントの場合、こうした設定を使用してプールを構成できます (「「プールごとに RDP オプションを設定する方法」」を参照)。パフォーマンス設定では、発色数、マウスカーソルの影、ウィンドウとメニューのアニメーションなどを制御できます。ただし、VRDP プロトコルを使用してデスクトップに接続する場合は、これらの設定は有効になりません。VRDP はオペレーティングシステムレベルではなくマシンレベルで接続するためです。
Oracle VDI Hypervisor によってホストされる
Windows
デスクトップで自動ログインを使用するには、Oracle VM VirtualBox
Windows Guest Addition
モジュールをテンプレートまたはデスクトップにインストールする必要があります。Guest
Additions は、コマンド行で
/with_autologon
スイッチを指定してインストールしてください。
MS-RDP プロトコルを使用して仮想デスクトップに接続している場合、Sun Ray クライアントから録音 (入力オーディオ) のサポートを設定するには、Sun Ray Windows コネクタのオーディオ入力コンポーネントをテンプレートまたはデスクトップにインストールする必要があります。このコンポーネントは、Windows XP と Windows Server 2003 でのみサポートされます。
詳細については、『Sun Ray Software 5.2 インストールおよび構成ガイド』の「Windows システムに Windows コネクタコンポーネントをインストールする方法」を参照してください。
オーディオ入力はデフォルトで無効になっています。有効にするには、uttsc
コマンドの -r
soundin:[low|medium|high|off]
オプションを使用します。このオプションを実装するには、Oracle VDI
キオスクセッションを適用する必要があります。詳細については、「Oracle VDI Sun Ray キオスクセッションについて」を参照してください。
マルチモニターサポートでは、Oracle VDI はモニター接続ごとに別々の Sun Ray Windows コネクタインスタンスを実行します。
Oracle VDI では、ワンタイムパスワードを設定して VRDP 接続のセキュリティーを向上させています。正しいユーザー名とワンタイムパスワードを指定しないと、RDP クライアントは接続に失敗します。
MS-RDP プロトコルを使用して仮想デスクトップに接続している場合、Sun Ray クライアントから USB リダイレクションのサポートを設定するには、Sun Ray Windows コネクタの USB リダイレクションコンポーネントをテンプレートまたはデスクトップにインストールする必要があります。詳細については、「USB リダイレクトを有効にする方法」を参照してください。
Oracle VM VirtualBox では、VRDP 用のビデオリダイレクション機能をサポートしています。VRDP サーバーは仮想マシンのビデオストリームを頻繁に更新される長方形として自動検出します。ビデオフレームは Motion JPEG (M-JPEG) 形式を使用して圧縮されるので、標準的な RDP のビットマップ圧縮方法に比べて高い圧縮率が実現できます。ビデオリダイレクション機能は、ゲストに追加ソフトウェアをインストールせずに動作します。この機能をオフにしたり、圧縮率を変更したりすることはできません。
ビデオリダイレクション機能は、VRDP を使用するサポートされるすべてのデスクトップでサポートされ、Sun Ray クライアント、RDP Version 7 をサポートするクライアントからアクセスされます。Sun Ray クライアントでは、M-JPEG ビデオストリームは SunFlash チャネルを経由して配信されます。
ビデオの高速化は、RDP Version 7 を使用する接続でサポートされます。
MS-RDP プロトコルを使用して仮想デスクトップに接続している場合、Sun Ray クライアントからビデオの高速化のサポートを設定するには、Sun Ray Windows コネクタの次のコンポーネントをテンプレートまたはデスクトップにインストールする必要があります。
マルチメディアリダイレクション: Windows Media Player のパフォーマンスを向上させます。
Adobe Flash の高速化 - Adobe Flash コンテンツの再生機能を強化します。
オーディオ/ビデオ同期: マルチメディアコンテンツのオーディオ/ビデオ同期を強化します。
これらのコンポーネントは、Windows XP と Windows Server 2003 でのみサポートされます。
コンポーネントのインストール方法については、『Sun Ray Software 5.2 インストールおよび構成ガイド』の「Windows システムに Windows コネクタコンポーネントをインストールする方法」を参照してください。
Sun Ray Windows コネクタコンポーネントについては、『Sun Ray Software 5.2 管理ガイド』の「Windows コネクタ」という章を参照してください。