5.1. Oracle VDI Hypervisor

5.1.1. Oracle VDI Hypervisor について
5.1.2. Oracle VDI Hypervisor のシステム要件
5.1.3. Oracle VDI Hypervisor のアップデート
5.1.4. Oracle VDI Hypervisor のインストール方法
5.1.5. VRDP ポート範囲の構成方法

5.1.1. Oracle VDI Hypervisor について

Oracle VDI では、特定の Oracle VM VirtualBox リリースがバンドルおよびサポートされています。このリリースは、Oracle VDI Hypervisor と呼ばれています。「「Oracle VDI Hypervisor のシステム要件」」を参照してください。

Oracle VDI Hypervisor には、次の Oracle VDI デスクトッププロバイダ機能が備わっています。

共有メモリー

共有メモリー (メモリーバルーニング) とは、Oracle VDI Hypervisor ホスト上でより多くのデスクトップを実行できるようにする機能です。デスクトップ間で共有するメモリー量を指定することで、Oracle VDI Hypervisor ホストのメモリーがデスクトップ間で必要に応じて自動で再配分されます。共有メモリー機能は、「Pool」カテゴリの「Settings」タブで、0% より大きい 75% までの値を指定することで、プールごとに有効にできます。

メモリー共有のこのパーセンテージは、あるデスクトップが自身のメモリーをすべて必要としない場合に、そのメモリーをほかのデスクトップが使用できる量です。たとえば、デスクトップのメモリーサイズが 1 GB でメモリー共有を 40% に設定している場合、そのデスクトップにはまず 600 MB の実メモリーが割り当てられます。残りの 400 MB は、ほかのデスクトップが必要に応じて使用できます。

Oracle VDI は、メモリー共有を有効にしているデスクトップを常に監視し、メモリー不足にならないようにしています。あるデスクトップの空きメモリーが 64 MB を下回った場合、より多くのメモリーが提供されます。あるデスクトップに必要以上のメモリーがある場合、メモリー共有のパーセンテージに達するまで、メモリーの一部が徐々に失われます。デスクトップのメモリーの変化は、ゲスト OS からはわかりません。

メモリーページング

メモリーページング (メモリーの重複除外) は、Oracle VDI Hypervisor ホスト上でより多くのデスクトップを実行できるようにする機能です。複数のデスクトップのメモリーに同一の内容がある場合、ページを使用してハイパーバイザの実メモリーを 1 度だけ消費します。すべてのデスクトップはそのページを参照するため、同一ページ用に物理メモリーが不要になります。

メモリーページング機能は、「Pool」カテゴリの「Settings」タブでプールごとに有効にできます。

5.1.2. Oracle VDI Hypervisor のシステム要件

Oracle VDI には、Oracle VM VirtualBox の Release 4.0.14 が含まれています。下位互換性を維持するために、以前のリリースの Oracle VDI に含まれていた一部の Oracle VM VirtualBox リリースも引き続き使用できます。このリリースでは、次の Oracle VM VirtualBox リリースのみがサポートされています。

  • Oracle VM VirtualBox 4.0.14

  • Oracle VM VirtualBox 4.0.10

  • Oracle VM VirtualBox 3.2.12

最適なパフォーマンスを実現するためには、このリリースにバンドルされている Oracle VDI Hypervisor をインストールして使用することをお勧めします。

バンドルされている Oracle VDI Hypervisor は、次のプラットフォームにインストールできます。

オペレーティングシステム

サポートされているリリース

Oracle Linux (64 ビット)、x86 プラットフォーム

5.6

Oracle Solaris (64 ビット)、x86 プラットフォーム

Solaris 10 リリース 10/09 (update 8) 以降

注: Solaris 11 はサポートされていません。

どの Oracle VDI Hypervisor ホストにも、AMD (AMD-V) および Intel (VT-x) 対応の仮想化拡張が必要です。

お客様は、x86 CPU 要件を満たすかぎり、新しいハードウェアと既存のハードウェアのどちらを使用することもできます。

Oracle VDI Hypervisor ホストでファイアウォールが有効になっている場合は、次のポートを開く必要があります。

  • ポート 22 (SSH 接続用)

  • ポート 443 (HTTPS 接続用)

  • ポート 49152 ~ 65534 (VRDP 接続用)

Oracle VDI Hypervisor をインストールする場合は、HTTPS ポートを構成できます。VRDP プロトコルを使用してデスクトップに接続する場合は、VRDP ポートのみが必要です。詳細については、「VRDP と MS-RDP の比較」を参照してください。使用されるポートの範囲は構成可能です。詳細は、「VRDP ポート範囲の構成方法」を参照してください。

5.1.2.1. Oracle Solaris プラットフォームでの Oracle VDI Hypervisor のシステム要件

Solaris プラットフォームでは、zfs_arc_min が設定されていない場合、Oracle VDI Hypervisor インストールスクリプトによって警告が表示されます。専用の Oracle VDI Hypervisor ホストに推奨される設定は 512 MB です。

zfs_arc_min として 512 MB を設定するには、root ユーザーでログインし、/etc/system に次の行を追加します。

set zfs:zfs_arc_min = 536870912

Oracle Solaris プラットフォームで Oracle VDI Hypervisor が正しく動作するようにするには、特定のパッケージをインストールする必要があります。必要なパッケージは次のとおりです。

  • SUNWapch2r

  • SUNWapch2u

  • SUNWapch2d

ホストにパッケージがインストールされているかどうかを確認するには、root ユーザーで次のコマンドを実行します。

# pkginfo -x <package-name>

5.1.2.2. Linux プラットフォームでの Oracle VDI Hypervisor のシステム要件

Oracle Linux プラットフォームで Oracle VDI Hypervisor が正しく動作するようにするには、特定のパッケージをインストールする必要があります。必要なパッケージは次のとおりです。

  • distcache.i386 (32 ビットバージョン)

  • distcache.x86_64 (64 ビットバージョン)

  • gcc

  • glibc-devel

  • glibc-headers

  • httpd

  • kernel-devel または kernel-uek-devel (Linux カーネルによって異なる)

  • kernel-headers または kernel-uek-headers (Linux カーネルによって異なる)

  • libgomp

  • mod_ssl

  • SDL

ホストにパッケージがインストールされているかどうかを確認するには、root ユーザーで次のコマンドを実行します。

# rpm -q <package-name>

必要なパッケージをインストールするには、root ユーザーで次のコマンドを実行します。

# yum install <package-name>

5.1.2.3. Oracle VDI Hypervisor のストレージ要件

Oracle VDI Hypervisor を使用する場合、Oracle VDI で使用される仮想マシンを格納するためのストレージサーバーが必要になります。このサーバーは、Oracle VDI Hypervisor ホスト自体とは別に必要です。

サポート対象の詳細は、「サポートされているストレージサーバープラットフォーム」を参照してください。

ストレージを準備する手順の詳細は、次のセクションを参照してください。

5.1.3. Oracle VDI Hypervisor のアップデート

Oracle VDI Hypervisor をアップデートするには、Oracle VDI リリースにバンドルされている新しいリリースをインストールします。アップデートする場合、最初に既存の Oracle VDI Hypervisor をアンインストールする必要があります。新しいリリースをインストールする際には、インストールスクリプトによって既存のリリースをアンインストールするように求められます。または、vb-install -u コマンドを使用して、既存のリリースを手動でアンインストールすることもできます。

Oracle VDI Hypervisor をアンインストールする際には、稼働中の仮想マシンをすべてシャットダウンするように求められます。稼働中の仮想マシンをすべてシャットダウンしてから、アンインストールを開始してください。また、仮想マシンの登録解除と削除も求められます。登録解除と削除を行うと、アップデート後にそれらの仮想マシンを再登録できなくなります。

Oracle VDI Hypervisor のアップデート後に、すべてのテンプレートおよびデスクトップで Guest Addition をアップデートする必要があります。

5.1.4. Oracle VDI Hypervisor のインストール方法

このセクションでは、Oracle VDI にバンドルされている Oracle VM VirtualBox リリースをインストールする方法について説明します。

インストールを開始する前に、ホストがインストール要件を満たしていることを確認してください。「Oracle VDI Hypervisor のシステム要件」を参照してください。

Oracle VDI Hypervisor をアップデートする場合は、「Oracle VDI Hypervisor のアップデート」を参照してください。

Oracle VDI Hypervisor のインストールスクリプトについて

Oracle VDI Hypervisor のインストールとアンインストールは、vb-install スクリプトを使用して行います。Oracle VDI リリース 3.3 では、法的な理由でインストールプロセスが変更されています。Oracle VDI Hypervisor は、2 つのパッケージとして提供されています。オープンソースパッケージ (Base Pack) と Oracle 専有パッケージ (Extension Pack) の 2 つです。

Oracle VDI ソフトウェアアーカイブには、Extension Pack のみが含まれています。vb-install スクリプトを実行すると、wget プログラムを使用して Base Pack が自動的にダウンロードされます。ネットワーク接続の問題などが原因でこの処理が失敗した場合は、スクリプトが終了します。その場合、Base Pack を手動でダウンロードする必要があります。Oracle VDI ダウンロードページから Base Pack と Extension Pack をダウンロードできます。

Oracle VDI Hypervisor をインストールする際には、ユーザー名、パスワード、および SSL 接続用のポート番号を入力するように求められます。ユーザー名とパスワードは、ホストでハイパーバイザを実行するユーザーのものです。デフォルトでは、root ユーザーが使用されます。Oracle VDI Hypervisor には、仮想マシンを一時停止および再開するための機能が備わっています。一時停止および再開機能が確実に動作するようにする最も簡単な方法は、root ユーザーでハイパーバイザを実行することです。別のユーザーを使用する場合は、そのユーザーにホームディレクトリを割り当てる必要があります。このホームディレクトリは、Oracle VM VirtualBox が稼働する複数のシステム間で共有されていてはなりません。デフォルトではポート 443 が使用されますが、別のポートを指定することもできます。

次の表に、vb-install スクリプトで使用できるパラメータを示します。スクリプトでこれらのパラメータを使用して、複数のサーバーへのインストールを自動化できます。

パラメータ

説明

-f

既存の仮想マシンを強制的に削除します。

-n <user>

Oracle VM VirtualBox ユーザーのユーザー名を指定します。

-o <port>

Oracle VM VirtualBox への接続に使用する SSL ポートを指定します。デフォルトはポート 443 です。

-p

パスワードが安全に入力されるように、標準入力 (stdin) からの入力を要求します。

-u

現在インストールされている Oracle VM VirtualBox リリースをアンインストールします。

手順

  1. root ユーザーで仮想化ホストにログインします。

  2. メイン Oracle VDI ソフトウェアアーカイブをダウンロードします。

  3. メイン Oracle VDI ソフトウェアアーカイブを解凍して、作業用ディレクトリを展開先ディレクトリに変更します。

    • Oracle Solaris ホストで、次のコマンドを実行します。

      # unzip vda_3.3.1_solaris_amd64.zip
      # cd vda_3.3.1_solaris_amd64
    • Oracle Linux ホストで、次のコマンドを実行します。

      # unzip vda_3.3.1_linux.zip
      # cd vda_3.3.1_linux
  4. Oracle VM VirtualBox アーカイブを解凍して、作業用ディレクトリを展開先ディレクトリに変更します。

    # unzip vbox_4.0.zip
    # cd vbox_4.0
  5. Oracle VM VirtualBox をインストールします。

    # ./vb-install

    インストールスクリプトによって、Oracle VM VirtualBox の Base Pack がダウンロードされ、Base Pack と Extension Pack の両方がインストールされます。ソフトウェアライセンス契約書に合意したあと、ユーザー名、パスワード、および SSL 接続用のポート番号を入力してインストールを完了します。

    Base Pack のダウンロードに失敗した場合は、Oracle VDI ダウンロードページから手動でダウンロードする必要があります。必ず、このリリースの Oracle VDI にバンドルされているサポート対象のリリースをダウンロードしてください。Base Pack を vb-install スクリプトと同じフォルダにコピーし、スクリプトを再実行してください。

5.1.5. VRDP ポート範囲の構成方法

VRDP プロトコルをデスクトッププロトコルとして選択した場合、Oracle VDI から Oracle VDI Hypervisor ホストへの接続に、49152 ~ 65534 のポート範囲が使用されます。VRDP ポート範囲を構成するには、vda settings-setprops コマンドを使用します。

  • root ユーザーで次のコマンドを実行します。

    #  /opt/SUNWvda/sbin/vda settings-setprops -p \
    vbox.rdp.port.range="<StartPort>-<EndPort>"
    

    次はその例です。

    #  /opt/SUNWvda/sbin/vda settings-setprops -p \
    vbox.rdp.port.range="50000-60000"