7.4. リモートデスクトップクライアント (RDC)

7.4.1. バンドル版の RDP ブローカについて
7.4.2. Microsoft RDC によるデスクトップへのアクセス方法

7.4.1. バンドル版の RDP ブローカについて

Oracle VDI には、リモートデスクトッププロトコル (RDP) を使用して容易にデスクトップにアクセスできる組み込み型の RDP ブローカが含まれています。これにより、ユーザーは既存の RDP クライアント (Windows XP のリモートデスクトップ接続など) をデスクトップへのアクセスに利用できます。

7.4.1.1. 動作原理

  1. RDP クライアントは、最初に Oracle VDI RDP ブローカにアクセスして、ユーザー名やパスワードなどの情報を渡します。

  2. RDP ブローカはクライアントの代わりに Oracle VDI サービスにアクセスし、目的のデスクトップの起動を要求します。

  3. Oracle VDI サービスは、サービス側でクライアント認証が有効になっている場合 (デフォルト)、最初にユーザー名とパスワードの組み合わせを確認します。「「クライアント認証を無効にする方法」」を参照してください。

  4. 認証が成功した場合、対応するデスクトップが起動され、Oracle VDI サービスは、IP と、必要に応じてデスクトップを実行する仮想マシン (VM) の RDP ポートを返します。

  5. RDP ブローカはこの情報を使用して、次のいずれかを含む RDP サーバーリダイレクションパケットを作成します。

    • リダイレクト先のサーバーとしての VM ホスト/IP アドレス (Windows RDP を使用している場合、VMware Infrastructure 3 と同じ)

    • または、エンコードされた IP アドレスと RDP ポート情報を含むルーティングトークン (Oracle VM VirtualBox RDP (VRDP) を使用している場合)

      後者は、VRDP が標準の Windows RDP ポートを使用しないために必要です。したがって、RDP ブローカは IP と RDP ポート情報の両方を返す必要があります。ルーティングトークンのエンコーディングについては、『Session Directory and Load Balancing Using Terminal Server』 (http://download.microsoft.com/download/8/6/2/8624174c-8587-4a37-8722-00139613a5bc/TS_Session_Directory.doc) の「Routing Token Format」セクションを参照してください。

  6. 最後に、この RDP リダイレクションパケットは RDP クライアントに送り返され、クライアントはそれに応じてリダイレクトします。

7.4.1.2. サポートされる RDP クライアント

前記のすべての機構をサポートし、Oracle VDI でのテストが完了している RDP クライアントは、次のとおりです。

  • Microsoft RDP クライアント (リモートデスクトップ接続)

  • Sun Ray Windows コネクタ (uttsc)

  • Oracle Secure Global Desktop リモートデスクトップクライアント (ttatsc)

ほかのクライアントも動作する可能性がありますが、QA ではテストしていません。

7.4.1.3. uttsc を使用した例

プールからいずれかのマシンに接続する場合は、次を実行します。

/opt/SUNWuttsc/bin/uttsc -u username::pool=poolname \
-d domain IP of broker -- any secondary server

特定のデスクトップに接続する場合は、次を実行します。

/opt/SUNWuttsc/bin/uttsc -u username::pool=poolname,desktop=desktopId \
-d domainIP of broker -- any secondary server

7.4.1.4. セキュリティーの考慮事項

Oracle VDI では、ユーザーがデスクトップにサインインするたびにユーザーを認証します。この機能を無効にする場合は、「「クライアント認証を無効にする方法」」セクションを参照してください。

7.4.2. Microsoft RDC によるデスクトップへのアクセス方法

Oracle VDI には、リモートデスクトッププロトコル (RDP) を使用して容易にデスクトップにアクセスできる組み込み型の RDP ブローカが含まれています。これにより、ユーザーは既存の Windows PC を利用してデスクトップにアクセスできます。通常は、使用している PC に追加のソフトウェアをインストールする必要はありません。Windows XP と Windows Vista の両方には、必要な機能があらかじめ備えられています。次に示すスクリーンショットでは、Windows XP を使用してエンドユーザー側からデスクトップにアクセスする方法を示します。

手順

  1. スタート」 > 「すべてのプログラム」 > 「アクセサリ」 > 「リモートデスクトップ接続」の順にクリックします。

  2. ダイアログで、Oracle VDI を実行するホストの名前または IP アドレスを「コンピュータ」に指定します。

  3. ユーザー名を指定します (Windows ドメインは省略可能)。「接続」をクリックします。

  4. ポップアップダイアログが表示され、ユーザーパスワードの入力を求められます。パスワードを入力し、「OK」をクリックします。

  5. しばらくすると、デスクトップが表示されて使用できる状態になるはずです。

    図7.11 Microsoft RDC 接続

    Windows の「スタート」メニューで選択した「リモートデスクトップ接続」オプションと「「リモートデスクトップ接続」ダイアログを示しているスクリーンショット。


    使用しているコンピュータ上のリモートデスクトップ接続は、パフォーマンスを最適化するように設定されている場合があります。そのため、使用している設定では、デスクトップの背景、テーマ、メニュー、およびウィンドウアニメーションなどの特定の要素が表示されないこともあります。これらの設定 (リモートデスクトップ接続の「エクスペリエンス」タブを参照) は、ユーザーごとの要件に合わせて容易に調整ができます。

特定のデスクトップまたはプールへのアクセス

ユーザーに複数のデスクトップが割り当てられている場合、Oracle VDI はデフォルトのデスクトップに接続されます。デフォルトのデスクトップは、Oracle VDI Manager を使用して定義できます。

また、リモートデスクトップ接続を開いたときに目的のデスクトップまたはプールを指定することもできます。そのためには、次の構文を使用して、ユーザー名、その後ろにプール名、およびデスクトップ ID (任意) を入力します。

username::pool=poolname[,desktop=desktopId]

通常は、プール名を指定するだけで済みます。ただし、同じプールから複数のデスクトップを割り当てている場合は、プール名とデスクトップ ID を両方とも指定してください。Oracle VDI CLI で /opt/SUNWvda/sbin/vda user-desktops ユーザー名を実行すると、デスクトップ識別子を一覧表示できます。

図7.12 Microsoft RDC でのプール名とデスクトップ ID の指定

プール名とデスクトップ ID の指定方法を示している Microsoft RDC ダイアログのスクリーンショット。


複数のデスクトップを頻繁に切り替える場合は、「接続設定」で「名前を付けて保存」ボタンを使用して、各デスクトップのリモートデスクトップ接続設定を RDP ファイルに保存しておくと便利です。その後、これらのファイルへのショートカットを作成すれば、マウスをダブルクリックするだけで接続を開始できるようになります。