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Oracle Secure Backup管理者ガイド
リリース10.3
B56061-01
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11 Oracle Secure Backupカタログのリカバリ

バックアップの作成に使用するコンピュータの障害に対処するために、Oracle Secure Backupは自らのカタログと設定データを保護します。このメタデータがなければ、Oracle Secure Backupが作成したバックアップはただのテープの山にすぎません。カタログ・データが失われても、障害前の状態にこれらのデータをリストアすることができます。

Oracle Secure Backupが管理サーバーに最初にインストールされたとき、カタログを毎日深夜にバックアップするスケジュール済ジョブがインストーラによって設定されます。

Oracle Secure Backupカタログ・リカバリに関しては、障害が発生しないかぎり、バックアップ管理者が行う作業はありません。構成は必要ではありませんが、バックアップ管理者はカタログ・リカバリを拡張してカスタマイズできます。

Oracle Secure Backupカタログ・リカバリで保護されるのは、管理サーバー上のカタログと設定のみです。オペレーティング・システムやインストールされているその他のソフトウェアは、自動的にバックアップされません。

この章の内容は次のとおりです。

カタログ・リカバリの概要

Oracle Secure Backupカタログ・リカバリによって、次の予約オブジェクトが作成されます。

すべての予約カタログ・リカバリ・オブジェクトは、制限付きの一般Oracle Secure Backupオブジェクトのインスタンスです。これらの予約オブジェクトは削除できません。また、一部のプロパティは変更できません。制限は、カタログ・バックアップを誤って無効化したり、間違った動作をするようにバックアップ設定を変更したりしないためのものです。

カタログ・リカバリ・オブジェクトを変更するには、obtoolコマンド、chschedchmfchsumおよびeddsを使用できます。または、WebツールやOracle Enterprise Managerの同等機能を使用することもできます。インタフェースで変更できない部分がありますが、その他については予約オブジェクトの動作は一般オブジェクトとまったく同じです。

カタログ・リカバリ・スケジュール・オブジェクト

このオブジェクトによって、カタログ・リカバリのバックアップが推進されます。これは、カタログ・リカバリ・データセット・オブジェクト(バックアップ対象のデータを指定)およびカタログ・リカバリ・メディア・ファミリ・オブジェクト(テープ・ボリュームの特性を指定)と関連付けられています。

カタログ・リカバリ・スケジュール・オブジェクトは、全体バックアップを毎日深夜に実行するようにOracle Secure Backupインストーラによって作成されます。優先度はデフォルトの100ではなく50に設定されています。適切な権限を持つOracle Secure Backupユーザーは次の操作を実行できます。

デフォルトでは、Oracle Secure Backupをインストールした後、カタログ・バックアップは無効化されています。カタログのスケジュール済バックアップを有効にするトリガーの日付を明示的に設定する必要があります。

カタログ・オブジェクトの関連するデータセットを変更することはできません。暗号化されない全体バックアップのみが許可されています。リストア操作が複雑になるため、カタログ・データの増分バックアップは認められていません。リストア操作はカタログ・データなしで実行されるため、単純にしておく必要があります。


注意:

自動生成暗号化キーを使用したバックアップは、ディスク上にキー・ストアがないと役に立ちません。キー・ストアは、管理サーバーで障害が発生すると失われることがあります。

カタログ・リカバリ・メディア・ファミリ・オブジェクト

カタログ・リカバリ・メディア・ファミリ・オブジェクトは、カタログ・リカバリ・バックアップで生成されるテープ・ボリュームについて記述します。Oracle Secure Backupインストーラによって、書込みウィンドウが7日間、保存期間が14日間のカタログ・リカバリ・メディア・ファミリ・オブジェクトが作成されます。バックアップで2つのボリューム・セットを交互に使用することをお薦めします。

適切な権限を持つOracle Secure Backupユーザーは次の操作を実行できます。

カタログ・リカバリ・メディア・ファミリ・オブジェクトには、時間管理の有効期限ポリシーが必要です。Oracle Secure Backupでは、カタログ・リカバリ・メディア・ファミリ・オブジェクトをコンテンツ管理にすることは認められていません。ファイルシステム・データのバックアップはコンテンツ管理できないためです。

カタログ・リカバリ・データセット・オブジェクト

カタログ・リカバリ・データセット・オブジェクトは、バックアップする対象のデータを指定します。カタログ・データを指定するinclude catalogデータセット・ディレクティブが組み込まれます。このディレクティブは、Oracle Secure Backupによって、カタログ・リカバリ・バックアップに含める必要があるすべてのファイルとデータベースの定義に拡張されます。カタログ・データそのものは、暗号化ポリシーに関係なく、常に記憶域暗号化なしでバックアップされます。

その他のファイルやホストを、カタログ・リカバリ・データセット・オブジェクトに追加できます。管理サーバー上のファイルやパスをカタログ・バックアップに追加するには、データセットのinclude catalogディレクティブの下のブロック・デリミタ内にそれらを指定します。include catalogブロックには次のディレクティブを追加できます。

  • include path

  • exclude path

  • exclude name

これら以外のディレクティブは、include catalogブロックに指定できません。次の例のディレクティブでは、管理ホストの/usr/local/binのファイルがすべてのカタログ・バックアップに組み込まれます。

include catalog {
    include path "/usr/local/bin"
}

注意:

include catalogディレクティブはinclude hostブロックに追加できません。これは暗黙に管理サーバーのみに適用されるためです。この場合、データセット・パーサーによってエラーが報告されます。

他のデータセットにinclude catalogディレクティブを追加することもできます。このディレクティブを含むデータセットによって他に何がバックアップされるかには制限はありません。ただし、拡張されたカタログ・ディレクティブとその子は、スケジューラでは別のジョブとして処理されます。

適切な権限を持つOracle Secure Backupユーザーは、標準データセット言語を使用してカタログ・リカバリ・データセット・オブジェクトを変更できます。ただし、Oracle Secure Backupでは、カタログ・リカバリ・データセット・オブジェクトからinclude catalogディレクティブを削除することは許可されません。


関連項目:

Oracle Secure Backupのデータセット言語の詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

カタログ・リカバリ・サマリー・オブジェクト

カタログ・リカバリ・サマリー・オブジェクトにより、過去24時間のすべてのバックアップ操作の詳細を記載したサマリー・レポートがOracle Secure Backupで生成されます。このレポートは--catalogオプションを使用して生成されます。このオプションにより、カタログ・リカバリ・バックアップに関する詳しい情報が組み込まれます。サマリー・レポートが--catalogを使用して生成される場合、Oracle Secure Backupによってカタログ・バックアップの障害もチェックされます。障害が検出された場合は、バックアップ管理者宛ての電子メールが生成されます。


注意:

Oracle Secure Backupインストーラで、adminユーザーの電子メール・アドレスの指定が要求されます。Windowsの場合は、電子メール・サーバーの情報も要求されます。電子メール・アドレスを指定しない、またはWindowsの場合に電子メール・サーバーを指定しないと、電子メール通知が送信されません。

--catalogオプションを設定して生成されるレポートには、次の情報が含まれます。

  • カタログ・バックアップのボリュームIDとバーコード

  • カタログ・バックアップのファイル番号

  • 検証ステップの結果

カタログ・バックアップは、各バックアップ・ジョブの情報を含むサマリー・レポートにも記載されますが、カタログ・バックアップとして特別に扱われるわけではなく、他のバックアップ・ジョブに混ざって表示されます。--catalogオプションは、バックアップ管理者が、カタログ・バックアップのステータスを他のバックアップ・ジョブとは別に調べやすくするためのものです。

カタログ・バックアップ・ジョブ

カタログ・リカバリ・バックアップ・ジョブには、常にカタログ・バックアップが含まれます。他のファイルを含むこともできます。カタログ・バックアップ・ジョブは、include catalogデータセット拡張機能を使用して、管理サーバーのすべてのカタログ・データをバックアップに含めることを指定します。カタログ・バックアップ・ジョブはすべて全体バックアップです。定期的なカタログ・バックアップ・ジョブを実行するように、Oracle Secure Backupはインストール時に構成されています。

記憶域暗号化は、すべてのカタログ・バックアップ・ジョブで無効です。暗号化されたバックアップ・データは暗号化ウォレットがないとリカバリできません。ただし、障害が発生した場合、暗号化ウォレットは、カタログ・データの一部であるために失われる恐れがあります。このため、カタログ・バックアップ・データを暗号化しておくと、復号化する方法がないことになります。カタログ・バックアップでは一時パスフレーズ暗号化を使用できます。これは、ウォレットを必要としません。一時パスフレーズ暗号化は、デフォルトではカタログ・バックアップに対して有効化されていませんが、通常の方法で追加することができます。


関連項目:

一時パスフレーズ暗号化の詳細は、「一時バックアップ」を参照してください。

Oracle Secure Backupカタログのリストア

管理サーバーのOracle Secure Backupカタログが破損または消失した場合は、カタログをリストアする必要があります。この項では、メディア障害または管理サーバーの損失の場合に、adminディレクトリをリストアする基本手順について説明します。

Oracle Secure Backupデバイスの接続の記録を保管しておくことをお薦めします(特に、障害時リカバリで使用するデバイスの場合)。これは傷害が発生した後に、Oracle Secure Backupを再インストールするときに非常に役立ちます。カタログ・リカバリの緊急事態への備えとして推奨される方法は次のとおりです。

この項では、リモート・メディア・サーバーを使用していることを前提にしています。管理サーバー上のローカルに接続されたテープ・ドライブを使用している場合は、ローカルに接続されたドライブ用の手順をリモート・テープ・ドライブ用の手順と置き換えることができます。これらの手順は、必要に応じて示されます。

Oracle Secure Backupカタログをリストアするには、次のタスクを順に実行します。

  1. Oracle Secure Backupカタログのリストアの準備

  2. obtarによるOracle Secure Backupカタログのリストア

  3. 管理ドメインを機能させる

Oracle Secure Backupカタログのリストアの準備

カタログをリストアするには、Oracle Secure Backup管理サーバーを最初からインストールしておく必要があります。カタログ・バックアップをリストアする最も簡単な方法は、テープ・ドライブを管理サーバーに接続することです。ただし、この方法がいつも使用できるとはかぎりません。管理サーバーにテープ・デバイスが接続されていない場合は、新しく作成されたドメインに、リモート・メディア・サーバーを追加する必要があります。

Oracle Secure Backupカタログのリストアを準備するには、次のようにします。

  1. 次のいずれかのオプションを選択します。

    • テープ・ドライブが管理サーバーにローカルに接続されている場合は、手順2に進みます。

    • テープ・ドライブがリモート・メディア・サーバーに接続されていて、このリモート・ホストがOracle Secure Backupソフトウェアを実行していない場合は、手順2に進みます。

    • テープ・ドライブがリモート・メディア・サーバーに接続されていて、このリモート・ホストがOracle Secure Backupソフトウェアを実行している場合は、次の手順を実行します。

    1. リモート・メディア・サーバーで、Oracle Secure Backupプロセスを停止します。

      オペレーティング・システムに固有のobservicedコマンドの構文は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

    2. リモート・メディア・サーバーで、obディレクトリ(LinuxおよびUNIXの場合)またはdbディレクトリ(Windowsの場合)の名前を変更します。

      次のLinuxまたはUNIXの例では、/usr/etc/ob/usr/etc/ob-savedに変更します。

      # mv /usr/etc/ob /usr/etc/ob-saved
      

      次のWindowsの例では、C:\Program Files\Oracle\Backup\dbC:\Program Files\Oracle\Backup\db-savedに変更します。

      C:\>cd C:\Program Files\Oracle\Backup
      C:\Program Files\Oracle\Backup>move db db-saved
      
    3. リモート・メディア・サーバーで、Oracle Secure Backupプロセスを再起動します。

      オペレーティング・システムに固有のobservicedコマンドの構文は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

  2. 管理サーバー・ホストで、次の操作を実行します。

    1. Oracle Secure Backupをインストールし、管理サーバー・ドメインを選択します。

    2. Windowsにインストールしていて、テープ・デバイスがローカルに接続されている場合は、プログラム機能の選択ダイアログ・ボックスで、ローカルに接続されたメディア・デバイスの構成を選択します。

    Oracle Secure Backupのインストール手順の詳細は、『Oracle Secure Backupインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。

  3. 管理サーバーで、管理権限を持つユーザーとしてobtoolにログインし、ドメイン内のホストをリスト表示します。

    次の例では、ホストbrhost1でOracle Secure Backupにログインします。

    $ obtool
    Oracle Secure Backup 10.3.0.1.0
    login: admin
    ob> lshost
    brhost1          admin,client        (via OB)   in service
    
  4. メディア・サーバーが管理サーバーと別であるかどうかによって、次のオプションのいずれかを選択します。

    • メディア・サーバーが別のホストにある場合は、mkhostコマンドを使用してメディア・サーバー・ホストを作成します。

      次のいずれかを実行します。

      • リモート・ホストがNDMPテープ・サーバーでない場合は、次の例に示す構文を使用して管理ドメインに追加します。

        ob> mkhost --role mediaserver brhost2
        Info: waiting for host to update certification status...
        
      • リモート・ホストがNDMPテープ・サーバーである場合は、次の例に示す構文を使用して管理ドメインに追加し、pingします。

        ob> mkhost -r mediaserver -u root --ndmppass passwd -a ndmp brhost2
        ob> pinghost brhost2
        
    • 管理サーバーがメディア・サーバーとして動作している場合は、メディア・サーバーのロールを管理サーバーに追加します。

      たとえば、次のコマンドを入力して、メディア・サーバーのロールを管理サーバーbrhost1に追加します。

      ob> chhost --addrole mediaserver brhost1
      
  5. カタログ・バックアップを含むライブラリとテープ・ドライブを構成または検出します。

    次のいずれかを実行します。

    • メディア・サーバーがNDMPテープ・サーバーでない場合は、mkdevコマンドを実行してデバイスを構成します。

      たとえば、LinuxまたはUNIXで、ライブラリlib1およびテープ・ドライブtape1をリモート・メディア・サーバーbrhost2に追加するには、次のコマンドを入力します。

      ob> mkdev --type library --attach brhost2:/dev/obl0 lib1
      ob> mkdev --type tape --attach brhost2:/dev/obt0 -d 1 -l lib1 tape1
      

      次の例では、Windowsメディア・サーバーでの類似のコマンドを示します。

      ob> mkdev --type library --attach brhost2://./obl0 lib1
      ob> mkdev --type tape --attach brhost2://./obt0 -d 1 -l lib1 tape1
      
    • メディア・サーバーがNDMPテープ・サーバーでない場合は、discoverdevコマンドを実行してNDMPで接続されたテープ・デバイスを検出します。

      次の例では、NDMPテープ・サーバーbrhost2のテープ・デバイスを検出します。

      ob> discoverdev --host brhost2
      Info: beginning device discovery for brhost2.
      
         lib1  (new library)
            WWN: [none]
            new attach-point on brhost2, rawname mc0
      
         tape1  (new drive)
            WWN: [none]
            new attach-point on brhost2, rawname nrst1a
      
  6. テープ・ライブラリのpingを実行して、アクセス可能であることを確認します。

    たとえば、次のコマンドを入力して、ライブラリlib1をpingします。

    ob> pingdev lib1
    Info: library lib1 accessible.
    Info: drive 1 tape1 accessible.
    
  7. ボリュームを含むライブラリを初めて使用する前に、最初にinventoryを実行してください。

    たとえば、ライブラリlib1で次のコマンドを実行します。

    ob> inventory --force -L lib1
    

    この手順は、どのボリュームにOSB_CATALOGバックアップが含まれているかがわかっている場合でも必要です。

  8. テープ・ライブラリのボリュームをリスト表示します。

    たとえば、次のコマンドを入力して、ライブラリlib1のボリュームをリスト表示します。

    ob> lsvol -L lib1
    Inventory of library lib1:
        in    3:             occupied
        in    4:             unlabeled
        in    5:             unlabeled
        in    6:             unlabeled
        in    7:             unlabeled
        in    8:             unlabeled
        in    9:             unlabeled
    
  9. カタログ・バックアップを含むボリュームを特定します。

    次のいずれかのオプションを選択します。

    • カタログ・バックアップのジョブ・サマリーがある場合、カタログ・バックアップのボリュームID、バー・コードおよびファイル番号をサマリーから取得します。

      カタログ・バックアップのジョブ・サマリーの例を次に示します。

      Job ID      Scheduled At        Completed At       Content
        Backup Size  File #   Volume ID (Bar Code)
      admin/1.1   2008/03/26.11:48    2008/03/26.11:49   *catalog brhost1
        455 KB         1      OSB-CATALOG-MF-000002 (e744f09c4eeb4dabf3ac02ae2d332c0)
      
    • カタログ・バックアップを含むボリュームがテープ・ライブラリにあり、どのボリュームにバックアップが含まれているか不明な場合は、identifyvolコマンドとlsvolコマンドを実行してボリュームを検出します。

      カタログ・ボリュームを特定する方法の例を次に示します。

      ob> identifyvol --import -D tape1 3-9
      
      Seq       Volume              Volume    Archive     Client      Backup
       #         ID                  Tag     File Sect     Host        Level
       1    OSB-CATALOG-MF-000002              1   1    brhost1     0
      Archive Create
       Date & Time
      2008/03/23 10:39:54s
      
      ob> lsvol -L lib1
      Inventory of library lib1:
         in    3:             volume OSB-CATALOG-MF-000002, 6891336 kb remaining, expires 2008/04/13.10:39
      
    • カタログ・バックアップを含むボリュームがテープ・ライブラリになく、どのボリュームにバックアップが含まれているか不明な場合は、追加のタスクを実行する必要があります。正しいボリュームを特定できるまで、次の手順を実行してください。

      • ライブラリのボリュームをアンロードする。

      • 新しいボリュームをロードする

      • 手順7からinventoryコマンドを実行する

      • ボリュームごとにidentifyvolコマンドを実行する

  10. OSB-CATALOG-MFバックアップ・ボリュームをテープ・ドライブにロードします。

    たとえば、次のコマンドを入力して、記憶域要素3からテープをドライブtape1にロードします。

    ob> loadvol -D tape1 3
    

obtarによるOracle Secure Backupカタログのリストア

この項の例では、ロードされたテープのファイル番号1に必要なカタログ・バックアップが含まれているものとします。

ファイルをリストアするときは、管理サーバーのOracle Secure Backupのインストールに上書きしないようにするため、obtarコマンドの構文および空白の設定に正確に従ってください。上書きすると、ソフトウェアをアンインストールしてから、再インストールが必要になります。

コマンド構文は次のとおりです。tape_pathはリストア対象のディレクトリ名で、disk_dirはリストアされたディレクトリの保存先です。

obtar -R -Fn -xvf drive -s,tape_path,disk_dir, tape_path

-s、tape_pathdisk_dirおよびtape_pathの文字列と2番目のインスタンスの間に空白を1つ入れます。


注意:

管理サーバー上の重要なデータやオペレーティング・システム・ファイルの上書きを回避するために、代替パスを指定する必要があります。

Oracle Secure Backupカタログをリストアするには、次のようにします。

  1. ロードされたボリュームの内容をリスト表示し、正しいボリュームおよびファイル・セクションであることを確認します。

    たとえば、LinuxおよびUNIXでは、次のようにobtarを実行してtape1(サンプル出力が含まれている)のテープの内容をリスト表示します。

    $ obtar -R -tf tape1 -F 1
    Searching tape for requested file.  Please wait...
    
    /usr/local/oracle/backup/admin/
    /usr/local/oracle/backup/admin/config/
    /usr/local/oracle/backup/admin/config/class/
    .
    .
    .
    /usr/etc/ob/wallet/b64certificate.txt
    /usr/etc/ob/wallet/crl.txt
    /usr/etc/ob/wallet/ewallet.p12
    /usr/etc/ob/wallet/nscreq.txt
    /usr/etc/ob/xcr/
    

    たとえば、Windowsでは、次のようにobtarを実行してtape1(サンプル出力が含まれている)のテープの内容をリスト表示します。

    C:\>obtar -R -F1 -tf tape1
    
    C:/Program Files/Oracle/Backup/admin/
    C:/Program Files/Oracle/Backup/admin/config/
    C:/Program Files/Oracle/Backup/admin/config/class/
    C:/Program Files/Oracle/Backup/admin/config/class/admin
    C:/Program Files/Oracle/Backup/admin/config/class/operator
    C:/Program Files/Oracle/Backup/admin/config/class/oracle
    .
    .
    .
    C:/Program Files/Oracle/Backup/db/xcr/1195
    C:/Program Files/Oracle/Backup/db/xcr/1198
    C:/Program Files/Oracle/Backup/db/xcr/1200
    
  2. obtarを使用してobディレクトリ(LinuxおよびUNIXの場合)またはdbディレクトリ(Windowsの場合)をディスクにリストアします。

    例11-1では、テープ上のLinuxまたはUNIXのディレクトリ/usr/etc/obをディスク上の/usr/etc/ob-restoredにリストアします。2番目の/usr/etc/obの前の空白に注意してください。

    例11-1 LinuxおよびUNIXのobディレクトリのリストア

    $ obtar -R -F1 -xvf drive1 -s,/usr/etc/ob,/usr/etc/ob-restored, /usr/etc/ob
    
    /usr/etc/ob-restored/
    /usr/etc/ob-restored/.hostid
    .
    .
    .
    /usr/etc/ob-restored/wallet/nscreq.txt
    /usr/etc/ob-restored/xcr/
    

    例11-2では、テープ上のWindowsのディレクトリC:\Program Files\Oracle\Backup\dbをディスク上のC:\db-restoredにリストアします。2番目のC:\Program Files\Oracle\Backup\dbの前の空白に注意してください。カレット(^)は行が続いていることを示すもので、構文の要素ではありません。

    例11-2 Windowsのdbディレクトリのリストア

    C:\>obtar -R -xvf tape1 -F1 ^
    -s,"C:\Program Files\Oracle\Backup\db",C:\db-restored, "C:\Program Files\Oracle\Backup\db"
    
    C:\db-restored/
    C:\db-restored/.hostid
    C:\db-restored/obconfig.txt
    C:\db-restored/report/
    .
    .
    .
    C:\db-restored/xcr/1195
    C:\db-restored/xcr/1198
    C:\db-restored/xcr/1200
    
  3. obtarを使用してadminディレクトリをディスクにリストアします。

    例11-3では、テープ上のLinuxまたはUNIXのディレクトリ/usr/local/oracle/backup/adminをディスク上の/usr/local/oracle/backup/admin-restoredにリストアします。バックスラッシュ(\)は行が続いていることを示すもので、構文の要素ではありません。

    例11-3 LinuxおよびUNIXのadminディレクトリのリストア

    $ obtar -R -F1 -xvf tape1 \
    -s,/usr/local/oracle/backup/admin,/usr/local/oracle/backup/admin-restored, /usr/local/oracle/backup/admin
    

    例11-4では、テープ上のWindowsのディレクトリC:\Program Files\Oracle\Backup\adminをディスク上のC:\admin-restoredにリストアします。カレット(^)は行が続いていることを示すもので、構文の要素ではありません。

    例11-4 Windowsのadminディレクトリのリストア

    C:\>obtar -R -xvf tape1 -F1 ^
    -s,"C:\Program Files\Oracle\Backup\admin",C:\admin-restored, "C:\Program Files\Oracle\Backup\admin"
    
    C:\admin-restored/
    C:\admin-restored/.hostid
    C:\admin-restored/obconfig.txt
    C:\admin-restored/report/
    .
    .
    .
    C:\admin-restored/xcr/1195
    C:\admin-restored/xcr/1198
    C:\admin-restored/xcr/1200
    
  4. 管理サーバーで、Oracle Secure Backupプロセスを停止します。

    オペレーティング・システムに固有のobservicedコマンドの構文は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

  5. メディア・サーバーで、Oracle Secure Backupプロセスを停止します。

    オペレーティング・システムに固有のobservicedコマンドの構文は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

  6. リストア済のディレクトリの内容をリスト表示して、カタログ・ファイルが正常にリストアされたことを確認します。

    次のLinuxおよびUNIXの例は、リストアされたobディレクトリとadminディレクトリの一覧を示します。

    $ ls /usr/local/oracle/backup/admin-restored
    config  encryption  history  log  security  state
    
    $ ls /usr/etc/ob-restored
    osbdevs  report  wallet  xcr
    

    次のWindowsの例は、リストアされたobディレクトリとadminディレクトリの一覧を示します。

    C:\>dir /w c:\admin-restored
     Volume in drive C has no label.
     Volume Serial Number is 240F-6921
    
     Directory of c:\admin-restored
    
    [.]              [..]        [config]     [encryption]
    [history]        [log]       [security]   [state]
                   0 File(s)               0 bytes
                   8 Dir(s)  254,307,901,952 bytes free
    
    C:\>dir /w c:\db-restored
     Volume in drive C has no label.
     Volume Serial Number is 240F-6921
    
     Directory of c:\db-restored
    
    [.]         [..]           .hostid     obconfig.txt
    [report]    [wallet]       [xcr]
                   2 File(s)             488 bytes
                   5 Dir(s)  254,307,901,952 bytes free
    
  7. 管理サーバーで、Oracle Secure Backupホームから次のディレクトリを削除します。

    • obディレクトリ(LinuxおよびUNIXの場合)またはdbディレクトリ(Windowsの場合)

    • adminディレクトリ

    次のLinuxおよびUNIXの例では、/usr/etc/obおよび/usr/local/oracle/backup/adminディレクトリを削除します。

    $ rm -rf /usr/etc/ob
    $ rm -rf /usr/local/oracle/backup/admin
    

    次のWindowsの例では、C:\Program Files\Oracle\Backup\adminおよびC:\Program Files\Oracle\Backup\dbを削除します。

    C:\>cd C:\Program Files\Oracle\Backup
    C:\Program Files\Oracle\Backup>del /S admin
    C:\Program Files\Oracle\Backup>del /S db
    
  8. リストア済のOracle Secure Backupディレクトリを管理サーバーの元の場所に移動します。

    次のLinuxおよびUNIXの例では、リストアされたディレクトリの名前を変更します。

    $ mv /usr/local/oracle/backup/admin-restored /usr/local/oracle/backup/admin
    $ mv /usr/etc/ob-restored /usr/etc/ob
    

    次のWindowsの例では、リストアされたディレクトリの名前を変更します。

    C:\>cd C:\Program Files\Oracle\Backup
    C:\Program Files\Oracle\Backup>move /Y C:\db-restored db
    C:\Program Files\Oracle\Backup>move /Y C:\admin-restored admin
    

管理ドメインを機能させる

カタログ・ファイルのリストアおよびウォレットの再作成が完了しても、管理ドメインはまだ正常に機能する準備ができていません。この項では、ドメインが正常に機能するように準備する方法について説明します。

管理ドメインを機能させるには、次のようにします。

  1. 次のいずれかのオプションを選択します。

    • テープ・ドライブが管理サーバーにローカルに接続されている場合は、手順2に進みます。

    • テープ・ドライブがリモート・メディア・サーバーに接続されていて、このリモート・ホストがOracle Secure Backupソフトウェアを実行していない場合は、手順2に進みます。

    • テープ・ドライブがリモート・メディア・サーバーに接続されていて、このリモート・ホストがOracle Secure Backupソフトウェアを実行している場合は、次の手順を実行します。

    1. リモート・メディア・サーバーで、obディレクトリ(LinuxおよびUNIXの場合)またはdbディレクトリ(Windowsの場合)の名前を変更します。

      たとえば、LinuxおよびUNIXでは次のコマンドを実行してobディレクトリを削除します。

      # rm -rf /usr/etc/ob
      

      たとえば、Windowsでは次のコマンドを実行してobディレクトリを削除します。

      C:\>cd C:\Program Files\Oracle\Backup
      C:\Program Files\Oracle\Backup>del /s db
      
    2. リモート・メディア・サーバーで、obディレクトリ(LinuxおよびUNIXの場合)またはdbディレクトリ(Windowsの場合)の保存済コピーを元の場所にリストアします。

      たとえば、LinuxおよびUNIXでは次のコマンドを実行してob-savedという名前をobに変更します。

      # mv /usr/etc/ob-saved /usr/etc/ob
      

      たとえば、Windowsでは次のコマンドを実行してdb-savedという名前をdbに変更します。

      C:\>cd C:\Program Files\Oracle\Backup
      C:\Program Files\Oracle\Backup>move db-saved db
      
    3. リモート・メディア・サーバーで、observicedデーモンを起動します。

      オペレーティング・システムに固有のobservicedコマンドの構文は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

  2. 管理サーバーで、不明瞭化された暗号化ウォレットを再作成します。

    Oracle Secure Backupでは、パスワードで保護された暗号化ウォレットも管理サーバーにリストアされますが、セキュリティ上の理由から、不明瞭化ウォレットはバックアップされません。リストア操作後に、元の暗号化ウォレットの作成時に使用したパスワードを指定して、手動でウォレットを再作成する必要があります。


    注意:

    このタスクを実行するには、元の暗号化ウォレット・パスワードが必要です。

    次の例では、mkowコマンドを使用してウォレットを再作成します。

    obcm mkow -k -p wallet_password
    
  3. 管理サーバーで、observicedデーモンを起動します。

    オペレーティング・システムに固有のobservicedコマンドの構文は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。

  4. 管理サーバーで、ボリュームを含むライブラリを初めて使用する前に、最初にinventoryを実行してください。

    たとえば、ライブラリlib1で次のコマンドを実行します。

    ob> inventory -L lib1
    
  5. リストアされたOracle Secure Backup管理ドメインがOracleであることを確認します。

    デバイス、データセット、ボリューム、ジョブ、メディア・ファミリおよびその他の関連するOracle Secure Backupオブジェクトを調べて、それらが存在しており、リストアされたドメインで実行中であることを確認します。