この章では、Legato Storage Manager(LSM)またはLegato Single Server Version(LSSV)からOracle Secure Backupへの移行方法について説明します。この章の内容は、次のとおりです。
この項では、Legato環境からOracle Secure Backup環境への移行の概要を示します。この項の内容は、次のとおりです。
以前のデータベース・リリースでは、Legato Storage ManagerおよびLegato Single Server VersionはOracle Databaseにバンドルされていました。Legato Single Server Versionには、シングルサーバー・バージョンのEMC Legato NetWorkerおよびNetWorker Module for Oracleが組み込まれており、これらによって管理者はOracleデータベースをテープにバックアップできました。
注意: この章では、Legato Storage ManagerとLegato Single Server VersionをまとめてLegatoと表記します。この章での手順は、Oracle Databaseに以前バンドルされていたLegatoバージョンにのみ適用されます。 |
オラクル社は、メディア管理ソリューションとしてOracle Secure BackupおよびOracle Secure Backup Expressの提供を開始しました。Oracle Secure Backup Expressは、以前にバンドルされていたLegatoバージョンにかわる最適なソリューションとして推奨されます。この章の手順ではOracle Secure Backupと表記していますが、Oracle Secure BackupおよびOracle Secure Backup Expressのいずれにも同じように適用されます。
Oracle Secure Backupメディア管理ソフトウェアを使用すると、ファイル・システム上のファイルをテープにバックアップできます。また、このソフトウェアはRMANと完全に統合され、ネットワーク環境内の1つ以上のOracleデータベースに対してデータ保護サービスを提供します。
この章では、Legato環境からOracle Secure Backup環境に移行するためのベスト・プラクティスについて説明します。この章では、Oracle Secure Backupのインストールや構成の方法については説明しません。これらの作業の詳細は、『Oracle Secure Backupインストレーションおよび構成ガイド』および『Oracle Secure Backup管理者ガイド』を参照してください。
この章ではLegatoからOracle Secure Backupへの移行を中心に説明していますが、この章で説明するプラクティスおよび推奨事項の多くは他のメディア管理製品からの移行にも適用できます。
関連項目: 『Oracle Secure Backupライセンス情報』 |
LegatoからOracle Secure Backupへの基本的な移行段階は、次のとおりです。
LegatoインフラストラクチャのコンポーネントがOracle Secure Backupとともに機能することを確認します。
この段階の詳細は、「互換性の確認」を参照してください。
Oracle Secure Backup管理ドメインを計画します。この段階では、Legatoが現在使用されている環境と、その環境内にOracle Secure Backupをデプロイする方法について考慮する必要があります。
この段階の詳細は、「Oracle Secure Backupドメインの計画」を参照してください。
Oracle Secure Backupをインストールし、レガシーLegatoバックアップを廃棄、保持またはコピーします。
この段階の詳細は、「Oracle Secure Backupに移行する際のLegatoバックアップの管理」を参照してください。
LegatoインフラストラクチャのコンポーネントについてOracle Secure Backupでの動作が保証されていることを確認します。次の情報を収集します。
Oracle Secure Backupをインストールするホストのハードウェア・タイプおよびオペレーティング・システム・バージョン
LegatoからOracle Secure Backupに移行する前に、Oracle Secure Backupをインストールする場所と、Oracle Secure Backupを使用してバックアップを作成する方法を決定します。また、「Oracle Secure Backupに移行する際のLegatoバックアップの管理」で説明されているように、レガシーLegatoバックアップを移行するか廃棄するかを決定する必要もあります。
この項の内容は、次のとおりです。
通常、Legato環境には小規模から中規模の数のホストが存在し、それぞれがローカルに接続された少数のテープ・デバイスにデータをバックアップします。Oracle Secure Backupでも同じモデルを使用し、ローカルに接続されたデバイスを使用するように各ホストを構成できます。あるいは、バックアップ環境を統合して、1つの管理ドメイン内の集中メディア・サーバーにバックアップが送信されるようにすることもできます。この項では、両方のアプローチについて説明します。
複数ドメイン・アーキテクチャは、既存のLegatoアーキテクチャに最も近いものです。このアーキテクチャでは、以前にLegatoがインストールされていた各ホストにOracle Secure Backupをインストールし、テープ・デバイスはそのままにしておきます。各ホストは管理サーバー、メディア・サーバーおよびクライアントとして機能します。
図1-1に、ホストが3つ存在するネットワークの例を示します。各ホストがOracleデータベースと連携してLegatoを実行しており、それぞれにテープ・デバイスがローカルに接続されています。移行時には、各ホストにOracle Secure Backupをインストールし、クライアント、メディア・サーバーおよび管理サーバーのロールを割り当てます。
このアーキテクチャを実装するには、次の手順に従います。
各Oracleデータベース・ホストにOracle Secure Backupをインストールします。
各ホストに管理サーバー、メディア・サーバーおよびクライアントのロールを割り当てます。
データベース・バックアップ用にOracle Secure Backup SBTインタフェースを使用するようにOracleホームを構成することを要求された場合は、必ずyes
と答えてください。
関連項目: Oracle Secure Backupのインストールおよび構成の方法については、『Oracle Secure Backupインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。 |
このアーキテクチャでは、メディアおよびバックアップ・カタログを集中管理できるという利点があります。図1-2に、図1-1と同じLegatoネットワークを示します。移行時には、3つのホストそれぞれにOracle Secure Backupをインストールし、各ホストにクライアントのロールを割り当てます。テープ・デバイスは4番目のホストであるメディア・サーバー上に集中化されます。5番目のホストは、管理ドメインを管理する専用管理サーバーです。
このアーキテクチャを実装するには、次の手順に従います。
管理サーバーとなるホストを特定し、このホストにOracle Secure Backupをインストールします。
図1-2に示すように新しいホストを構成してこのロールを割り当てることも、既存のホストを使用することもできます。既存のホストを使用する場合、集中化されたRMANリカバリ・カタログがホストの1つに含まれていれば、そのホストが管理サーバーとして適しています。
テープ・デバイスを管理するホストを特定し、これらのホストにOracle Secure Backupをインストールします。これらのホストにメディア・サーバーのロールを割り当てます。
データベース・ホストにOracle Secure Backupをインストールし、それぞれにクライアント・ロールを割り当てます。
データベース・バックアップ用にOracle Secure Backup SBTインタフェースを使用するようにOracleホームを構成することを要求された場合は、必ずyes
と答えてください。
関連項目: Oracle Secure Backupのインストールおよび構成の方法については、『Oracle Secure Backupインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。 |
Oracle Secure Backupでは、ファイル・システム・バックアップとデータベース・バックアップの両方がサポートされています。Oracle Secure Backup環境の実装内容に応じて、バックアップの手順およびスクリプトを変更する必要がある場合があります。
Oracle Secure Backup SBTインタフェースを介してバックアップを作成するようにRMANを構成した後、追加で次のような変更を加える必要がある場合があります。
移行中にデータベース・バックアップに使用するテープ・ドライブの数を変更する場合は、RMANテープ並列性を変更します。この作業は、CONFIGURE DEVICE TYPE SBT PARALLELISM
コマンドを使用して実行できます。
SBTモジュールまたはベンダー固有の環境変数の名前を提供するPARMS
パラメータを削除します。Oracle Secure Backupでは、これらのPARMS
設定は必要ありません。
注意: 移行中の一定期間、既存のメディア・マネージャ構成を保存する必要がある可能性があるため、削除するのは不要になったPARMS 設定のみにしてください。 |
Oracle Secure Backup内にデータベース・バックアップ記憶域セレクタを作成します。単純なインストールの場合、通常は記憶域セレクタは必要ありません。異なるタイプまたはクラスのメディアへのバックアップを指定する必要がある場合のみ、記憶域セレクタを作成してください。
1つ以上のOracle Secure Backup事前認可を作成します。Oracle Secure Backupでは、RMANバックアップを実行したオペレーティング・システム・ユーザーに対して事前認可アクセス権限を付与できます。
関連項目:
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管理ドメインを計画した後は、Oracle Secure Backupをインストールし、ドメインを構成できます。手順は、レガシーLegatoバックアップをどのように処理するかによって異なります。次のオプションから選択できます。
Legatoテープ・バックアップを廃棄する。
この場合、環境をOracle Secure Backupに移行した後でLegatoバックアップをリストアすることはできませんが、Legatoバックアップを保持またはコピーするオーバーヘッドがありません。
この手法の詳細は、「Legatoバックアップの廃棄」を参照してください。
Legatoテープ・バックアップを保存するが、Oracle Secure Backupにより管理されるテープにはコピーしない。
この場合、Oracle Secure Backup環境と、LegatoバックアップをリストアできるLegatoインストールの両方を管理する必要があります。
この手法の詳細は、「Legatoバックアップの保存」を参照してください。
Legatoテープ・バックアップの一部または全部をOracle Secure Backupにより管理されるテープにコピーする。
この場合、移行後にLegatoインストールを保持する必要はなく、Legatoに保管されていたデータの一部または全部はOracle Secure Backupによってリストアすることができます。このソリューションでは、古いLegatoバックアップをOracle Secure Backupにより管理されるテープにコピーするオーバーヘッドが必要になります。これは、Legatoを使用してバックアップから各テープのコンテンツをリストアした後で、Oracle Secure Backupを使用してリストアしたファイルをバックアップするためです。
どのオプションが使用する環境に最適かは、バックアップ保存ポリシーによって決まります。
このオプションでは、データベース・ホストからLegatoをアンインストールしてOracle Secure Backupをインストールし、古いLegatoテープを再利用するか廃棄します。このオプションではオーバーヘッドは必要ありません。このオプションは、次のいずれかの基準を満たすデータベースに適しています。
履歴を保存する必要のないデータベース
プライマリ・バックアップがテープでなくディスクに保管されているデータベース
Oracle Secure Backupのインストール後すぐに新しい完全バックアップを使用できる場合以外は、レガシー・テープを廃棄しないでください。
Oracle Secure Backupに移行し、レガシー・テープ・バックアップを廃棄するには、次のようにします。
Oracle Secure Backup SBTインタフェースにバックアップするデータベースを特定します。
前の手順で特定したデータベースの一貫性停止を実行します。
構成が次の両方の基準を満たしている場合は、データベースを停止する必要はありませんので注意してください。
ディスクとテープの両方にバックアップしようとしていること
移行中に障害が発生した場合にリカバリできる必要なバックアップがディスクに存在していること
構成が前述の基準を満たしていない場合は、Oracle Secure Backupを使用して新しいバックアップを作成する前に障害が発生すると、データが失われる可能性があります。Oracle Secure Backup移行中にデータベースを停止できない場合、およびディスク・バックアップが存在しない場合は、一時ディスク・バックアップを作成してください。このバックアップにより、移行中に障害が発生した場合にもデータは保護されます。一時バックアップは、Oracle Secure Backupを使用してバックアップを作成した後で廃棄できます。
データベースごとに、RMANコマンドDELETE BACKUP DEVICE TYPE sbt
を実行してLegatoバックアップを削除します。
「メディア管理アーキテクチャ」で選択したアーキテクチャに従って、管理ドメイン内の各ホスト上にOracle Secure Backupをインストールおよび構成します。
Oracle Secure Backupのインストールおよび構成の方法については、『Oracle Secure Backupインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。
Oracle Secure Backupとともに機能するようにRMANスクリプトを変更します。
「データベース・バックアップ」で説明されているように、Legatoインタフェースを介してバックアップする際にRMANにより使用されるPARMS
設定を変更する必要がある場合があります。メディア・マネージャとともに使用するようにRMANを構成する方法については、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
各データベースをテープにバックアップします。
ディスク・バックアップを使用しない場合は、データベースを開く前にデータベースをテープにバックアップします。ディスク・バックアップを使用すると、バックアップがスケジュールされた時刻までに障害が発生した場合にもデータが保護されます。Oracle Secure Backupを使用してデータベースをバックアップする方法については、『Oracle Secure Backup管理者ガイド』を参照してください。
RMAN RESTORE VALIDATE
コマンドを使用して、新しいOracle Secure Backupバックアップをリストアできることを確認します。
データベースを開き、ユーザーに対して使用可能にします。
このオプションでは、Legatoからのバックアップをリストアする必要がある期間、LegatoとOracle Secure Backupのデュアル・インストールをホスト上に保持します。レガシーLegatoテープとOracle Secure Backupテープの両方を保持する必要があります。
このオプションは、次のいずれかの基準を満たすデータベースに適しています。
長期間保存する必要のあるデータベース
古いバックアップをOracle Secure Backupにコピーすることが望ましくない、またはコピーできないデータベース
移行中に停止できない、または保護されていない状態になっているデータベース
Oracle Secure Backupに移行し、Legatoでのレガシー・バックアップを保存するには、次のようにします。
「メディア管理アーキテクチャ」で選択したアーキテクチャに従って、管理ドメイン内の各ホスト上にOracle Secure Backupをインストールおよび構成します。
Oracle Secure Backupのインストール方法については、『Oracle Secure Backupインストレーションおよび構成ガイド』を参照してください。
注意: この計画ではLegatoとOracle Secure Backupを一定期間共存させる必要があるため、テープ・リソースの割当て方法を考慮してください。LegatoとOracle Secure Backupはテープ・リソースを共有できません。 |
Oracle Secure Backupとともに機能するようにRMANスクリプトを変更します。
「データベース・バックアップ」で説明されているように、Legatoインタフェースを介してバックアップする際にRMANにより使用されるPARMS
設定を変更する必要がある場合があります。Oracle Secure Backupで使用するようにRMANを構成する方法については、『Oracle Secure Backup管理者ガイド』を参照してください。
RMANスクリプトを作成して、Legatoからバックアップをリストアします。
一定期間中は、LegatoまたはOracle Secure Backupのいずれかからバックアップをリストアする必要がある可能性があります。この期間中は、LegatoからリストアするためのRMANスクリプトが必要です。これらのスクリプトでは、手動で割り当てた、Legato共有ライブラリを指定するチャネルを使用する必要があります。
オプションで、LegatoとOracle Secure Backup両方の共有ライブラリを参照するリストア・スクリプトを作成すると、RMANによりLegatoまたはOracle Secure Backupのいずれからでもバックアップをリストアできます。例1-1に、このタイプのサンプル・スクリプトを示します。このスクリプトを実行すると、RMANにより自動的に適切なチャネルが使用されて、必要なバックアップがリストアされます。
新しいOracle Secure Backup環境でファイルをバックアップできることを確認します。
バックアップできるかどうかテストするには、サイズの小さい制御ファイル・バックアップ、いくつかのデータファイル、およびいくつかのアーカイブREDOログがあれば十分です。
RMAN RESTORE VALIDATE
コマンドを使用して、LegatoとOracle Secure Backupの両方からファイルをリストアできることを確認します。