第 3 章 |
ここでは、アップグレードを実行する前に必要となる知識と作業について説明します。
SGD バージョン 4.40 には新しい Web ベースの管理ツールである Administration Console が導入され、Object Manager、Array Manager、Configuration Wizard、および Session Manager はこの管理ツールに置き換えられました。その結果、バージョン 4.40 より前のリリースからアップグレードする場合は、SGD 組織階層にいくつかの重大な変更が加えられます。主な変更は次のとおりです。
アプリケーションオブジェクトが必ず作成され、o=applications と呼ばれる新しい組織オブジェクト内で管理されます。
アプリケーションサーバーオブジェクト (以前はホストオブジェクトと呼ばれていた) が必ず作成され、o=appservers と呼ばれる新しい組織オブジェクト内で管理されます。
バージョン 4.40 より前のリリースからアップグレードすると、既存のアプリケーションオブジェクトとアプリケーションサーバーオブジェクト、およびそれらに関連付けられたグループオブジェクトと組織単位オブジェクトが新しい組織に移されます。SGD ではオブジェクト間の関係をできるだけ保持しようとしますが、アップグレード後にユーザーの Webtop 上から一部のアプリケーションがなくなる可能性があります。
バージョン 4.40 より前のリリースからアップグレードする前に、テストを行なって、変更による影響について調べることをお勧めします。これを行うには、本稼働環境をミラー化している本稼働前の環境をアップグレードします。あるいは、セカンダリサーバーをアレイから切り離して、アップグレードします。
SGD の Early Access Program (EAP) ソフトウェアリリースへのアップグレード、および EAP ソフトウェアリリースからのアップグレードはサポートされていません。EAP ソフトウェアリリースは、常に新規インストールを実行する必要があります。
次のバージョンの SGD を使用している場合にのみ、このバージョンへのアップグレードがサポートされます。
その他のバージョンの SGD、または Tarantella Enterprise 3 version 3.30 以前からアップグレードする場合は、Sun のサポートに連絡してください。
サポートされていないアップグレードを実行する場合は、新しいバージョンのソフトウェアをインストールする前に、空ファイル /opt/tarantella/var/UPGRADE を作成する必要があります。SGD インストールは正しくアップグレードされない場合があります。
Solaris OS プラットフォームでアップグレードを実行する場合、pkgadd コマンドはパッケージをインストールする前にいくつかのチェックを行い、ユーザーに変更についての確認を求めます。pkgadd に指示を与える管理ファイルを作成して、これらのチェックを省略し、ユーザーに確認せずにパッケージをインストールすることもできます。
ユーザーの対話的操作を回避するには、管理ファイルに次の行を含める必要があります。
conflict=nocheck instance=unique
SGD をアップグレードする際に、pkgadd -a adminfile コマンドを使用して管理ファイルを指定します。
アップグレードを実行する際に管理ファイルを指定しないと、SGD インストールプログラムによって管理ファイルが作成されます。また、pkgadd コマンドを -a adminfile オプション付きで再度実行できるように、インストールを終了するオプションが提供されます。
アップグレードを実行すると、既存の設定に次の変更が適用されます。
既存の Enterprise Naming System (ENS) データベースが保持され、バックアップされます。
ENS データベースは、SGD 組織階層内の全オブジェクトの格納領域です。
/opt/tarantella/var/ens ディレクトリが /opt/tarantella/var/ens.oldversion ディレクトリにバックアップされます。
このバックアップは変更されません。既存の ENS データベースが変更される可能性があるのは、それを新しいバージョンの SGD で動作できるようにするためにいくつかの変更が必要となる場合です。
注 - このリリースで ENS に加えられるいくつかの重大な変更の詳細は、バージョン 4.40 以降の組織の変更を参照してください。 |
SGD サーバー設定と SGD グローバル設定が保持されます。ただし、バックアップはされません。
この設定は、/opt/tarantella/var/serverconfig ディレクトリに格納されています。
この設定が変更されるのは、新しいプロパティーファイルを追加したり、既存のプロパティーに新しい属性を追加したりする必要がある場合だけです。
/opt/tarantella/var/serverresources ディレクトリ内のすべてのサーバーリソースファイルが置換されます。
SGD ログインスクリプトが保持され、バックアップされます。
/opt/tarantella/var/serverresources/expect ディレクトリが /opt/tarantella/var/serverresources/expect.oldversion ディレクトリにバックアップされます。
カスタマイズ済み SGD ファイルがバックアップされます。ただし、アップグレードはされません。
標準インストールに含まれるファイル (Webtop テーマなど) を変更するか、ユーザー独自のファイル (ログインスクリプトなど) を追加する方法で、SGD をカスタマイズすることができます。
SGD の新しいバージョンのインストール時に、手動アップグレードが必要な可能性のあるファイルが存在する場合、インストールプログラムにより警告が表示されます。これらのファイルのアップグレード方法については、カスタマイズした SGD のインストールのアップグレードを参照してください。
SGD のアップグレード方法は、アップグレードする対象が SGD の評価バージョンかフルライセンスバージョンかによって、および単一サーバーアレイか複数サーバーアレイかよって異なります。SGD をカスタマイズした場合は、カスタマイズしたファイルの手動アップグレードが必要になることもあります。
SGD サーバーにライセンスキーがインストールされていない場合、または SGD サーバーがフルライセンスのアレイに属していない場合、SGD サーバーは「評価モード」になります。30 日の評価期間が終了すると、SGD サーバーは「期限切れ評価モード」になります。
評価モードまたは期限切れ評価モードになっている SGD サーバーは、次のバージョンのソフトウェアをインストールすることでアップグレードします。
期限切れ評価モードで稼働していた SGD サーバーは、アップグレード後も期限切れ評価モードのままです。期限切れ評価モードになると、SGD サーバーにログインできなくなります。
期限切れ評価モードのサーバーにライセンスを付与するには、tarantella license add コマンドを使用して有効なライセンスキーを追加するか、すでにフルライセンスが付与されているアレイにそのサーバーを連結する必要があります。
複数サーバーアレイ内のすべての SGD サーバーは、同じバージョンの SGD ソフトウェア上で実行する必要があります。このため、アレイをアップグレードする場合は、アレイを解除してサーバーを個別にアップグレードしてから、アレイを再構築する必要があります。
プライマリ SGD サーバー上で次のコマンドを実行して、セカンダリ SGD サーバーをアレイから切り離します。
# tarantella array detach --secondary server |
注 - セカンダリ SGD サーバーは、一度に 1 つずつ切り離してください。アレイの構造に変更を加えた場合は、その変更がアレイ内のすべての SGD サーバーにコピーされるのを待ってから、次の変更を行うようにしてください。アレイの状態を確認するには、プライマリ SGD サーバー上で tarantella status コマンドを実行します。 |
セカンダリ SGD サーバーはアレイから切り離されるとライセンスキーを失います。そのため、一時的にこのホストの SGD にログインできなくなる場合があります。
プライマリ SGD サーバー上で次のコマンドを実行して、セカンダリ SGD サーバーをアレイに追加します。
# tarantella array join --secondary server |
注 - セカンダリ SGD サーバーは、一度に 1 つずつ追加してください。アレイの構造に変更を加えた場合は、その変更がアレイ内のすべての SGD サーバーにコピーされるのを待ってから、次の変更を行うようにしてください。アレイの状態を確認するには、プライマリ SGD サーバー上で tarantella status コマンドを実行します。 |
セカンダリ SGD サーバーはアレイに追加されると、プライマリ SGD サーバーにインストールされているすべてのライセンスキーを取得します。
アップグレード時に、SGD インストールプログラムは検出したカスタマイズ済みファイルを保持しますが、それらのアップグレードは行いません。これらのファイルは手動でアップグレードする必要があります。アップグレードが必要な可能性があるのは、次の 2 セットのファイルです。
アップグレードの完了後に、次の 2 種類のカスタマイズされたファイルに注意を払う必要があります。
アップグレード時に、SGD インストールプログラムは、検出したすべてのカスタマイズ済み SGD Web サーバーファイルをバックアップします。バックアップされたファイルとその場所のリストは、/opt/tarantella/var/log/webservercustomized.list ログファイルに記録されます。
カスタマイズ済みファイルをアップグレードするには、diff や patch などのユーティリティーを使用して、バックアップされたファイルと標準の SGD インストールに含まれるファイルを比較し、相違点をマージします。
SGD インストールプログラムは、検出したすべてのビスポーク SGD Web サーバーファイルを新しいインストールにコピーします。これらのファイルは変更されません。
アップグレード時に、SGD インストールプログラムは、検出したカスタマイズ済み SGD サーバーファイルおよびビスポーク SGD サーバーファイルをバックアップし、次のログファイルを生成します。
/opt/tarantella/var/log/customized.list - 管理者が編集または追加したファイルのリスト
/opt/tarantella/var/log/customizedchanged.list - アップグレードによって変更され、管理者が編集したファイルのリスト
/opt/tarantella/var/log/docrootjava.log - 元のインストールに新規追加されたか、元のインストールから変更された Java テクノロジファイルのリスト
これらのログファイルを使用して、手動でアップグレードする必要のあるファイルを特定します。
customizedchanged.list ログファイルには、手動でアップグレードする必要のある、カスタマイズ済みファイルのリストが含まれています。このログファイルにリスト出力されるファイルごとに、システムには次の 3 つのバージョンが保持されています。
古いカスタマイズされていないバージョン。/opt/tarantella/etc/templates.oldversion ディレクトリに格納されています。
新しいカスタマイズされていないバージョン。/opt/tarantella/etc/templates ディレクトリに格納されています。
diff などのユーティリティーを使用して、カスタマイズされていない古いファイルを、カスタマイズされていない新しいファイルと比較します。これで、SGD のバージョン間での変更内容がわかります。
patch などのユーティリティーを使用して、手順 2 で特定した変更内容をカスタマイズ済みファイルのコピーに適用します。
ここでは、SGD 拡張モジュールと SGD Client のアップグレード方法について説明します。
SGD 拡張モジュールをアップグレードして、UNIX オーディオモジュールをインストールすると、UNIX オーディオモジュールがすでに実行中であることを示すメッセージが表示されることがあります。このメッセージが表示されるのは、SGD オーディオドライバが現在使用中であり、停止することができないからです。SGD オーディオドライバはこのリリースで変更されていないため、このメッセージは無視しても問題ありません。
Solaris プラットフォームに SGD 拡張モジュールをインストールする方法を参照してください。
新しいバージョンの SGD Client をインストールします。
Solaris OS プラットフォームおよび Linux プラットフォームに SGD Client を手動でインストールする方法を参照してください。
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