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SGD のアップグレード

この章では、以前のバージョンの SGD からアップグレードするための要件と手順について説明します。

この章の内容は次のとおりです。


アップグレードを実行する前に

ここでは、アップグレードを実行する前に必要となる知識と作業について説明します。

バージョン 4.4 と組織の変更

SGD バージョン 4.4 には、新しい Web ベースの管理ツールである SGD Administration Console が含まれており、Object Manager、Array Manager、Configuration Wizard、および Session Manager はこの管理ツールに置き換えられています。その結果、SGD 組織階層にいくつかの重大な変更が加えられています。主な変更は次のとおりです。

アップグレードを行うと、既存のアプリケーションオブジェクトとホストオブジェクト、およびそれらに関連付けられたグループオブジェクトと組織単位オブジェクトが新しい組織に移されます。SGD ではオブジェクト間の関係をできるだけ保持しようとしますが、アップグレード後にユーザーの Webtop 上から一部のアプリケーションがなくなる可能性があります。

アップグレードを実行する前に、テストを行なって、変更による影響について調べることをお勧めします。これを行うには、本稼働環境をミラー化している本稼働前の環境をアップグレードします。あるいは、セカンダリサーバーをアレイから切り離して、アップグレードします。

アップグレードと Early Access Program ソフトウェア

SGD の Early Access Program (EAP) ソフトウェアリリースへのアップグレード、および EAP ソフトウェアリリースからのアップグレードはサポートされていません。EAP ソフトウェアリリースは、常に新規インストールを実行する必要があります。

アップグレードを実行するための条件

次のバージョンの SGD を使用している場合にのみ、このバージョンへのアップグレードがサポートされます。

その他のバージョンの SGD、または Tarantella Enterprise 3 version 3.3 以前からアップグレードする場合は、Sun のサポートに連絡してください。

サポートされていないアップグレードを実行する場合は、新しいバージョンのソフトウェアをインストールする前に、空ファイル /install‐dir/var/UPGRADE を作成する必要があります。SGD インストールは正しくアップグレードされない場合があります。

Solaris OS プラットフォーム上でアップグレードを実行する前に

Solaris OS プラットフォームでアップグレードを実行する場合、pkgadd コマンドはパッケージをインストールする前にいくつかのチェックを行い、ユーザーに変更についての確認を求めます。pkgadd に指示を与える管理ファイルを作成して、これらのチェックを省略し、ユーザーに確認せずにパッケージをインストールすることもできます。

ユーザーの対話的操作を回避するには、管理ファイルに次の行を含める必要があります。

conflict=nocheck
instance=unique

SGD をアップグレードする際に、pkgadd -a adminfile コマンドを使用して管理ファイルを指定します。

アップグレードを実行する際に管理ファイルを指定しないと、SGD インストールプログラムによって管理ファイルが作成されます。また、pkgadd コマンドを -a adminfile オプション付きで再度実行できるように、インストールを終了するオプションが提供されます。

Linux プラットフォーム上の version 4.2 からアップグレードする前に

Linux プラットフォーム上の SGD version 4.2 からアップグレードする場合は、アップグレードする前に、SGD ソフトウェアのすべてのオプションパックを手動で削除する必要があります。

インストール済みのすべての SGD ソフトウェアパックを一覧表示する場合:


# rpm -qa | grep -i tta

SGD ソフトウェアのオプションパックは次のとおりです。


パッケージ SGD ソフトウェアパック名
ttasecure Security Pack
tta3270 Mainframe Connectivity Pack
tta5250 AS/400 Connectivity Pack
ttafandr Andrew X フォント
ttafhang Hangul X フォント
ttaficl ICL X フォント
ttaforie Oriental X フォント
ttafscot SCO Term X フォント

SGD ソフトウェアのすべてのオプションパックを削除する場合:


# rpm -e package ...

アップグレードと既存の設定

アップグレードを実行すると、既存の設定に次の変更が適用されます。


アップグレードの実行

SGD のアップグレード方法は、アップグレードする対象が SGD の評価バージョンかフルライセンスバージョンかによって、および単一サーバーアレイか複数サーバーアレイかよって異なります。SGD をカスタマイズした場合は、カスタマイズしたファイルの手動アップグレードが必要になることもあります。

SGD の評価バージョンのアップグレード

SGD サーバーにライセンスキーがインストールされていない場合、または SGD サーバーがフルライセンスのアレイに属していない場合、SGD サーバーは評価モードになります。30 日の評価期間が終了すると、SGD サーバーは期限切れ評価モードになります。

評価モードまたは期限切れ評価モードになっている SGD サーバーは、次のバージョンのソフトウェアをインストールすることでアップグレードします。

期限切れ評価モードで稼働していた SGD サーバーは、アップグレード後も期限切れ評価モードのままです。期限切れ評価モードになると、SGD サーバーにログインできなくなります。

期限切れ評価モードのサーバーにライセンスを付与するには、tarantella license add コマンドを使用して有効なライセンスキーを追加するか、またはすでにフルライセンスが付与されているアレイにそのサーバーを連結する必要があります。

procedure icon  フルライセンスの単一サーバーアレイをアップグレードする方法

  1. 中断中のセッションも含めて、実行中の Webtop セッションやエミュレータセッションがアレイ内に存在しないことを確認します。

  2. 新しいバージョンの SGD をインストールしてサーバーをアップグレードします。

procedure icon  フルライセンスの複数サーバーアレイをアップグレードする方法

複数サーバーアレイ内のすべての SGD サーバーは、同じバージョンの SGD ソフトウェア上で実行する必要があります。このため、アレイをアップグレードする場合は、アレイを解除してサーバーを個別にアップグレードしてから、アレイを再構築する必要があります。

  1. 中断中のセッションも含めて、実行中の Webtop セッションやエミュレータセッションがアレイ内に存在しないことを確認します。

  2. アレイを解除します。

    プライマリ SGD サーバー上で次のコマンドを実行して、セカンダリ SGD サーバーをアレイから切り離します。


    # tarantella array detach --secondary server
    



    caution icon

    注意 - セカンダリ SGD サーバーは、一度に 1 つずつ切り離してください。アレイの変更がアレイのすべてのメンバーにコピーされてから、次の SGD サーバーを切り離します。各アレイメンバーで tarantella status コマンドを実行して同じ結果が返されるときには、コピーが完了していると判断できます。



    セカンダリ SGD サーバーはアレイから切り離されるとライセンスキーを失います。そのため、一時的にこのホストの SGD にログインできなくなる場合があります。

  3. 新しいバージョンのソフトウェアをインストールしてプライマリ SGD サーバーをアップグレードします。

  4. 新しいバージョンのソフトウェアをインストールしてセカンダリ SGD サーバーをアップグレードします。

  5. アレイを再構築します。

    プライマリ SGD サーバー上で次のコマンドを実行して、セカンダリ SGD サーバーをアレイに追加します。


    # tarantella array join --secondary server
    



    caution icon

    注意 - セカンダリ SGD サーバーは、一度に 1 つずつ追加してください。アレイの変更がアレイのすべてのメンバーにコピーされてから、次の SGD サーバーを追加します。各アレイメンバーで tarantella status コマンドを実行して同じ結果が返されるときには、コピーが完了していると判断できます。



    セカンダリ SGD サーバーはアレイに追加されると、プライマリ SGD サーバーにインストールされているすべてのライセンスキーを取得します。

カスタマイズした SGD のインストールのアップグレード

アップグレード時に、SGD インストールプログラムは検出したカスタマイズ済みファイルを保持しますが、それらのアップグレードは行いません。これらのファイルは手動でアップグレードする必要があります。アップグレードが必要な可能性があるのは、次の 2 セットのファイルです。

アップグレードの完了後に、次の 2 種類のカスタマイズされたファイルに注意を払う必要があります。

カスタマイズ済み SGD Web サーバーファイルのアップグレード

アップグレード時に、SGD インストールプログラムは、検出したすべてのカスタマイズ済み SGD Web サーバーファイルをバックアップします。バックアップされたファイルとその場所のリストは、install‐dir/var/log/webservercustomized.list ログファイルに記録されます。

カスタマイズ済みファイルをアップグレードするには、diffpatch などのユーティリティーを使用して、バックアップされたファイルと標準の SGD インストールに含まれるファイルを比較し、相違点をマージします。

SGD インストールプログラムは、検出したすべてのビスポーク SGD Web サーバーファイルを新しいインストールにコピーします。これらのファイルは変更されません。

カスタマイズ済み SGD サーバーファイルのアップグレード

アップグレード時に、SGD インストールプログラムは、検出したカスタマイズ済み SGD サーバーファイルおよびビスポーク SGD サーバーファイルをバックアップし、次のログファイルを生成します。

  • install-dir/var/log/upgraded.files - 変更内容の要約です。

  • install-dir/var/log/customized.list - 管理者が編集または追加したファイルのリストです。

  • install-dir/var/log/customizedchanged.list - アップグレードによって変更され、管理者が編集したファイルのリストです。

  • install-dir/var/log/docrootjava.log - 元のインストールに新規追加されたか、元のインストールから変更された Javatrademark テクノロジファイルのリストです。

これらのログファイルを使用して、手動でアップグレードする必要のあるファイルを特定します。

procedure icon  カスタマイズ済み SGD サーバーファイルを手動でアップグレードする方法

  1. カスタマイズ済みファイルのコピーを作成します。

  2. SGD のバージョン間での変更内容を特定します。

    customizedchanged.list ログファイルには、手動でアップグレードする必要のある、カスタマイズ済みファイルのリストが含まれています。このログファイルにリスト出力されるファイルごとに、システムには次の 3 つのバージョンが保持されています。

    • 古いカスタマイズ済みのバージョン。次のディレクトリのいずれかに格納されています。

      • install-dir/var/docroot.oldversion - 旧 Webtop ファイル用。

      • install-dir/var/serverresources.oldversion - ログインスクリプト用。

      • install-dir/etc/data.oldversion - カラーマップなどその他のファイル用。

    • 古いカスタマイズされていないバージョン。install-dir/etc/templates.oldversion ディレクトリ内に格納されています。

    • 新しいカスタマイズされていないバージョン。install-dir/etc/templates ディレクトリ内に格納されています。

    diff などのユーティリティーを使用して、カスタマイズされていない古いファイルを、カスタマイズされていない新しいファイルと比較します。これで、SGD のバージョン間での変更内容がわかります。

  3. 変更内容をカスタマイズ済みファイルに適用します。

    patch などのユーティリティーを使用して、手順 2 で特定した変更内容をカスタマイズ済みファイルのコピーに適用します。

  4. アップグレードしたカスタマイズ済みファイルを、新しい SGD インストールの正しい場所にコピーします。

procedure icon  ビスポーク SGD サーバーファイルを手動でアップグレードする方法

  1. ビスポークファイルのコピーを作成します。

  2. SGD のバージョン間での変更内容を特定します。

    docrootjava.log および customized.list ログファイルには、手動アップグレードが必要な可能性のあるビスポークファイルのリストが含まれています。

    ビスポークファイルをアップグレードする唯一の方法は、標準 SGD ファイルをバージョン間で比較して変更内容を特定し、それらの変更をビスポークファイルに適用することです。

    diff などのユーティリティーを使用して、カスタマイズされていない古いファイルを、カスタマイズされていない新しいファイルと比較します。これで、SGD のバージョン間での変更内容がわかります。

    変更内容を特定するには、次のファイルを比較します。

    • 旧バージョンの標準 SGD ファイル。install‐dir/etc/templates.oldversion ディレクトリ内に格納されています。

    • 新バージョンの標準 SGD ファイル。install-dir/etc/templates ディレクトリ内に格納されています。

  3. 変更内容をビスポークファイルに適用します。

    patch などのユーティリティーを使用して、手順 2 で特定した変更内容をビスポークファイルのコピーに適用します。

  4. アップグレードしたビスポークファイルを、新しい SGD インストールの正しい場所にコピーします。


ほかの SGD コンポーネントのアップグレード

ここでは、SGD 拡張モジュールと SGD Client のアップグレード方法について説明します。

procedure icon  Microsoft Windows 対応 SGD 拡張モジュールをアップグレードする方法

procedure icon  UNIX および Linux プラットフォーム対応 SGD 拡張モジュールをアップグレードする方法

SGD 拡張モジュールをアップグレードして、UNIX オーディオモジュールをインストールすると、UNIX オーディオモジュールがすでに実行中であることを示すメッセージが表示されることがあります。このメッセージが表示されるのは、SGD オーディオドライバが現在使用中であり、停止することができないからです。SGD オーディオドライバはこのリリースで変更されていないため、このメッセージは無視しても問題ありません。

procedure icon  SGD Client を自動的にアップグレードする方法

SGD Client を自動的にアップグレードできるのは、次の条件を両方満たしている場合だけです。

  • 以前のバージョンの SGD Client が自動的にインストールされた。

  • ユーザーの Web ブラウザに、サポートされている Java プラグインツールがあり、Java テクノロジが有効になっている。

  1. 既存の Web ブラウザセッションをすべて終了します。

  2. 新しい Web ブラウザセッションを開始します。

  3. SGD にログインします。

    SGD にログインする方法を参照してください。

procedure icon  SGD Client を手動でアップグレードする方法

以前のバージョンの SGD Client を手動でインストールした場合のみ、ここで説明する手順に従ってください。