プライマリ・コンテンツに移動
Oracle® Real Application Clustersインストレーション・ガイド
11g リリース2 (11.2) for Linux and UNIX Systems
B56272-08
  目次へ移動
目次
索引へ移動
索引

前
 
次
 

5 Oracle Real Application Clusters環境のサーバー・パラメータ・ファイルの構成

この章では、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境でのサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)の配置および構成について説明します。この章の内容は次のとおりです。

5.1 パラメータ・ファイルおよびOracle RAC

Oracle Databaseは、パラメータ・ファイルのパラメータ設定を使用して、様々なデータベース・リソースの制御方法を決定します。パラメータの管理には、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)または従来のクライアント側のパラメータ・ファイルの2種類のファイルを使用できます。

SPFILEを使用してパラメータを管理することをお薦めします。クライアント側のパラメータ・ファイルを使用する場合、セルフ・チューニングで行ったパラメータの変更は、Oracleの停止後に保存されません。

5.2 Oracle RACでのサーバー・パラメータ・ファイルの使用

デフォルトでは、Oracle Databaseは1つのSPFILEを基にして各ノードのthe initパラメータ・ファイル(PFILE)を作成します。サーバー・パラメータ・ファイルはバイナリ・ファイルであるため、SPFILEファイルのパラメータ設定は、Oracle Enterprise ManagerまたはSQL文のALTER SYSTEM SETを使用した場合にのみ変更できます。このファイルは、手動では編集しないでください。


注意:

セルフ・チューニング・パラメータの値を変更しないことをお薦めします。これらの設定を変更すると、パフォーマンスが著しく低下する場合があります。

以前のリリースのOracle Databaseからアップグレードする場合は、次のOracle RACのサーバー・パラメータ・ファイルに関する項を参照してください。

5.2.1 サーバー・パラメータ・ファイルの概要

Oracle Database 11g リリース2以上のデータベースでは、srvctlコマンドsrvctl add/modify -p spfileで指定した値に基づいて、データベース・エージェントがSPFILEを自動的にメンテナンスします。spfileは、SPFILEの名前です。initORACLE_SID.oraファイルを作成またはメンテナンスする必要はありません。

サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)のデフォルトの位置は次のパスになります。

$ORACLE_HOME/dbs/spfile$ORACLE_SID.ora 

すべてのインスタンスは同じサーバー・パラメータ・ファイルを使用する必要があるため、ノード上の記憶域を使用する場合、サーバー・パラメータ・ファイルのデフォルトの位置は、Oracle RACデータベースおよびOracle ASMインスタンスには適切ではありません。

このため、次のディレクトリでPFILEを使用することをお薦めします。

$ORACLE_HOME/dbs/init$ORACLE_SID.ora

このパスは各インスタンス用のものであり、単一の共有初期化パラメータ・ファイルを参照します。たとえば、NFS記憶域を使用する場合、LinuxまたはUNIXシステムでは、ファイルに次のようなエントリが必要です。

SPFILE='/nfs/db/oracle_dg/dbspfile'

ただし、クラスタ・ファイル・システムを使用する場合は、次のいずれかのファイルの位置を使用します。

LinuxおよびUNIXベースのシステムの場合

SPFILE='/shared_mount/dbname/spfiledbname.ora'

この構文例では、shared_mount変数は共有マウント・ポイントで、dbname変数はデータベース名です。

DBCAを使用して、データベースを作成したり、サーバー・パラメータ・ファイルを使用するには、DBCAを起動します。「初期化パラメータ」ページが表示されたら、「ファイルの位置」タブの下の「サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を作成」を選択します。このオプションを選択した場合、次に、共有ファイル・システムのファイル名を入力するか、または「サーバー・パラメータ・ファイル名」フィールドに記憶域パスを入力します。


注意:

DBCAを使用してサーバー・パラメータ・ファイルを作成する場合、SPFILEのデフォルトのファイル名は$ORACLE_HOME/dbs/init$ORACLE_SID.oraになります。

5.3 Oracle RACでのパラメータ・ファイルの検索順序

パラメータ・ファイルは、次の順序で検索されます。

  1. $ORACLE_HOME/dbs/spfilesid.ora

  2. $ORACLE_HOME/dbs/spfile.ora

  3. $ORACLE_HOME/dbs/initsid.ora

5.4 Oracle RAC環境でのSPFILEへの移行

SPFILEへ移行するには、この項で説明する手順でサーバー・パラメータ・ファイルを作成および編集します。この項の内容は次のとおりです。

5.4.1 Oracle RACでのサーバー・パラメータ・ファイルの配置

単一ノードのクラスタ対応の構成の場合や、Oracle ASMディスク・グループまたはクラスタ・ファイル・システムを使用している場合は、Oracle ASMディスク・グループまたはファイル・システム上にサーバー・パラメータ・ファイルを置きます。それ以外の場合は、5MB以上の共有RAWデバイスにサーバー・パラメータ・ファイルを置きます。

5.4.2 サーバー・パラメータ・ファイルへの移行手順

次の手順に従って、SPFILEファイルへ移行します。

  1. すべてのインスタンスの初期化パラメータ・ファイルを1つのinitdbname.oraファイルに結合します。dbnameはデータベース名で、すべての共有IFILEの内容はそのままコピーされます。IFILEパラメータ・ファイルに定義されているすべてのパラメータはグローバルです。このため、SID接頭辞なしでparameter=valueという書式で作成します。

  2. 次の構文を使用して、initsid.oraファイルからインスタンス固有のすべてのパラメータ定義をコピーします。sid変数はインスタンスのSIDです。

    sid.parameter=value 
    
  3. クラスタ・ファイル・システムを使用している場合は、次のコマンドを使用して新しいSPFILEの位置を定義することをお薦めします。spfileは、SPFILEの名前です。

    srvctl modify database -p spfile
    

    CREATE SPFILE文を使用して、サーバー・パラメータ・ファイルを作成することもできます。次に例を示します。

    CREATE SPFILE='?/dbs/spfile_dbname.ora'
    FROM PFILE='?/dbs/initdbname.ora'
    

    Oracle ASMを使用する場合は、次の構文を使用してサーバー・パラメータ・ファイルを作成します。disk_group_nameはディスク・グループ名、db_uniquenameはデータベース名、dbnameはデータベース名、Oracle_homeはOracleホームのパスです。

    CREATE SPFILE='+disk_group_name/db_uniquename/spfiledbname.ora'
    FROM PFILE='Oracle_home/dbs/initdbname.ora'
    

    これらの文は、IFILEをマージして作成した結合済のinitdbname.oraファイルを読み取り、パラメータの設定を、マージしたファイルからサーバー・パラメータ・ファイルに転送します。

  4. PFILESPFILEへのポインタとして使用して、SPFILEを使用することをお薦めします。これを行うには、次の例に示すように、STARTUPコマンドを実行します。initsid.oraファイルのSID変数sidは、手順3からSPFILEエントリで使用しているSIDです。次に例を示します。次に例を示します。

    STARTUP PFILE=$ORACLE_HOME/dbs/initsid.ora
    

    このSTARTUPコマンド構文を使用する場合、Oracle Databaseはinitsid.oraファイルに指定されているサーバー・パラメータ・ファイルのエントリを使用します。


    注意:

    Oracle ASM 11g リリース2以上のリリースでは、Oracle ASMインスタンスのSPFILEをOracle ASMに格納できます。Oracle ASMインスタンスのSPFILEは、ファイル・システムに配置することもできます。また、Oracle ASMインスタンスごとに従来のクライアント側パラメータ・ファイルを使用することもできます。


    関連項目:

    Oracle ASMインスタンスの管理方法の詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

5.5 Oracle RACでのサーバー・パラメータ・ファイルのエラー

Oracle Databaseは、サーバー・パラメータ・ファイルの作成中または起動時のファイルの読取り中に発生するエラーをレポートします。パラメータの更新時にエラーが発生した場合、OracleはALERT.LOGファイルにエラーを記録し、ファイルに対するパラメータの残りの更新を行いません。このエラーが発生した場合は、次のいずれかを選択できます。

  • インスタンスを停止し、サーバー・パラメータ・ファイルをリカバリし、インスタンスを再起動する。

  • 残りのパラメータの更新は行わずに、インスタンスの実行を続ける。

Oracle Databaseは、ALTER SYSTEM SET文を誤って使用して行ったパラメータ変更のエラーを表示します。Oracle Databaseは、サーバー・パラメータ・ファイルに対する読取りまたは書込み時にエラーが発生した場合に、この処理を行います。


関連項目:

SPFILEのバックアップ方法の詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。